【俳優・声優は様々な役を演じられるようにならないといけないってよく言われるけど・・・】 今の時代は『万能型』より『特化型』の方が良いのでは?というお話
こんにちは。エンタメ・演劇分野をビジネス視点で語るAsakawaです。
タイトルがやたら長くなってしまいましたが・・・笑
前回書いた記事では↓
何歳から演劇を始めても、
その時の自分の年齢、キャラ、見た目に合った役が振られるだろうから意外と理解できる部分も多くさまになる演技ができるものだ、
みたいな文章を書いたのですが・・・ここの部分を読み返してみてふと引っ掛かったことがあります。
あれ、でも俳優や声優になりたければ、演じやすい役ばかり来るわけないんだからどんな役が来ても良いように準備しておかなければいけないって教わったよな・・・、
声優も、
今や演技だけではなく歌が上手くないと、ダンスも踊れないといけない!って言われるようになってから久しいです。
だから専門学校では歌やダンスの授業もあるし、イベント出演を想定してフリートークの練習、さらに司会者みたいなポジションを任されるかもしれないと進行役とゲストで役割分担してラジオ番組みたいな台本を渡されたり、他にもナレーションに朗読と・・・要は俳優・声優関連で想定される代表的なお仕事を一通りやらされるわけですが・・・、
今となってはこういう広く浅くみたいな方針は賢くないんじゃないかと思いました。
確かに演劇舞台用台本には途中でダンスが、歌が挟まれる作品は珍しくありませんのでそれに備えて・・・という言い分も分からなくもありませんが、
普通に考えたらそんなダンスが苦手な人、歌が下手な人がキャスティングされるなんてことはないと思うのですよ 😓
やはり誰にでも得意不得意はあります。
中には元から身体が柔らかくてダンスにキレがある人はいます、歌のレッスンなんて受けたことがないのにある程度、聴き惚れるような歌声を持っている人が同期にもいましたが、その逆で全然ダメだな・・・という人も当然いました。
ならば常識的に「ダンスが、歌が上手い君に任せようか」となりますよね。
自分は歌、ダンスでは勝負できないと判断したのであれば、
それを少しでも改善しようとせず自身の得意な領域を徹底的に伸ばしていった方が今の時代は得策なんじゃないか?
って話ですね。
苦手な領域を少しでも上手くなるために時間を使うくらいなら、得意領域を徹底的に伸ばしましょう。
この「なんでもできるようにならなければ!」という精神は、
その業界が人手不足、選ぶ側もそんな贅沢は言ってられないという事情があるのみ有効な方針です。
欲しい人数は10人なのにその需要に対して何百人が押し寄せるような世界です。選定する側は今回のコンテンツに最も相応しい人材に合格の判を押すことでしょう。
「苦手だったけど少しは上手くなったんです!」と言われても「元から得意でダンサーと言っても差し支えない人がいたのでそちらを選びます」と言われて終わりです。
なら自分は俳優・声優の本業である「演技一本」で勝負するぞ!と決めたとしても、さらにそこから突き詰めましょう。
先ほども申しました通りここでも、
「様々な役をできるようになる!」ではなく、自分はどんな役がぴったりなのかを自己分析して見極めていきましょう。
これも人手不足ではないんだから、あまりにも演者自身とはかけ離れた(年齢・見た目など)人物像の役が振られることはそうそうないだろうという理由です。
それにやはり選ぶ側だって何かしらの要素を見て「この役はこの人にぴったりだね!」とそれが決め手となってキャスティングするはずです。
そのおかげで絶望的に演技が下手だと言われた方が、その演技なんてする必要ない、今の君のままで台詞を言ってくれたらオッケー!と言われるまでに役と奇跡的に一致していたということでオーディションに合格した例もあるくらいなので、どんな役者にも一つくらい居場所はあると思います 笑
その「あなたにぴったりな役とは?」を探していってください。
ちなみに自分は、
「初登場ではすごい優しい人だったのに、ラストで実は世間を騒がせていたあの連続殺人犯であった・・・みたいなギャップのある役」が似合っていると思うからいつかそんな役をやらせてあげたいとある演出家から言われたことがあります 笑
「普段は優しいんだけど、過去の悲劇から復讐心を抱えていて実は裏で壮大な犯罪を計画している今作の犯人」
といったところでしょうかね。
他人から言われると自分でも気がつかないことを言ってくれる可能性が高いので聞いてみるのもいいと思います。
演技の他にも「ナレーション」を中心にやっていきたいというのも有りですよね。
ビジネス視点で見れば俳優・声優の人気のお仕事といえばやはり役を演じるですが間違いなく舞台、ドラマ、映画、アニメよりもナレーションの方が仕事の数は多いのでより現実的な選択になります。
ここでも自分の声質からどんなCMのナレーションに合っているのか?
ドキュメンタリー番組みたいな重厚なコンテンツに合っているんじゃないか?
音声教材のナレーションはどうだ?・・・など。
とにかくここで伝えたいのは人材が溢れていて、選び放題の業界では、
「万能型」にならず「特化型」を目指しましょうということです。
「私はこんな役が得意です!」「このお仕事なら私にお任せを!」
といった感じでセルフプロデュースして売り込んでいき、
起用する側にも「この役ならあの人が適任でしょ!」「ナレーションならあの人を使うのが間違いないか」とイメージを植え付けさせればきっと定期的に仕事も舞い込んでくることでしょう。
「なんでもやります!」と言う人は多いですが、具体的に「こんな役、お仕事ならお任せください!」と言える人は意外にも少ないのでこれだけで大多数の中から差別化を計ることができます。
こういうのを「ブランディング』と言うのです。
これでせっかく色んな事ができる俳優・声優をやっているのに同じような役、仕事しかこない・・・みたいな不満もあるかもしれませんが「仕事」というのはそういうもんじゃないですかね?
求められていることを遂行する、だから報酬が貰えるのです。俳優・声優とは依頼が来て初めて動き出すことができる下請け業者なので、ビジネス的には弱い立場にあるのも忘れてはなりません。
それにある役でヒットしたら次も似たような役がくる・・・というのは現に起きていてこの世界では避けられない宿命かもしれません。
そういう色々な事をやらせてもらえる、やりたい事をやらせてもらえる立場になるためには圧倒的な人気を得て、自分を起用するだけである程度の売り上げが見込める、そこまで高めていくしかりません。
そうなれば「あの人気俳優が今度はこれまでのイメージを覆す役に挑戦!」などの宣伝文句も使えます。
立場の弱いうちは得意分野で戦っていき、そこで認められてから徐々に活動範囲を広げていく、これが賢いのではないでしょうか?
そういう意味でも最初の演技トレーニングである「己を知る」というのは非常に理にかなったスタート地点ですね↓
このようにただ漠然と手当たり次第トレーニングを積むのではなく活動方針を具体的に決めて、その戦略のもと立ち回りを決めていく方がこの世界で取引先として生き残っていくには非常に有効なのでぜひ皆さんもこのことを頭に入れておいてくださいませ。
では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。
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