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今だからこう思う『演劇』との向き合い方、関わり方

こんにちは。エンタメ演劇分野をビジネス視点で語るAsakawaです。

私に演技を教えてくれたある講師が稽古中にこんなことを言ったことがあります。

何度もトライをするがなかなか思うように演技が出来ない生徒に対して言った一言なのですが・・・、

「ねっ。演技ってすごい難しいでしょ?誰でも簡単に出来るものじゃないんだよ。
だからそれが出来る人には普通に働いてもとても一度に稼げないような金額の報酬が貰えるんだよ

この言葉を聞いてまだ演技を学び始めて一年目の私は俳優の演技に対する報酬単価はとても高いものだと思いました。

が、今この言葉を振り返って思うのは一体いつの時代の話をしていていたのだろう?です・・・😓

確かに「演劇」というカテゴリが大盛況だった時代はあったでしょう。小劇場ブームなんて現象もあったそうですし。かつて、ある遊園地内で一日に何回か行われていたショーに出演していた人はその仕事だけで生活出来るだけの稼ぎがあったと聞いたことありますし、その講師の方も50代だったので若い頃は良い思いをしていたのかもしれません。

しかし、今となっては俳優が素晴らしい演技を、監督・演出家の要望通りの演技をすれば、それだけで高い報酬が貰えるというのは滅多にない事だという認識です。

高度な技術が求められているとはいえ、そういう技術的なことよりも自身の人気があるのかないか、どれだけあなたは作品の売り上げに貢献したかで報酬が決められる側面の方が強いのです。

全てはその出演作品がどれだけ大盛況だったのか、儲かったのかで決まるのです。なのでぶっちゃっけ出演者の演技はいまいちでも大きな劇場で全公演ソールドアウト、映画で観客動員数が何百万人などを達成しているのならそれ相応の報酬が貰えるのかもしれません。

先週はこんなつぶやきをしたのですが↓

今が旬とも言えるあるミュージシャンのスケジュールは膨大なライブ本数をこなしており、はたから見れば大変だなと思いました。

で、好きでやっているのもあるんだろうけど食っていくためにはこのくらいの活動をしないといけない、とも言及しました。

おそらく音楽で食っていくための条件の一つに自身が作った曲がミリオンセラー、あとは今は単純にCDの売り上げだけでは(再生数、ダウンロード数など)測れないものもあるのでそれに近いヒットを飛ばすのがあると思います。

これが達成されたらたくさん印税も入ってくるでしょうし、少なくとも何年かは生活できるくらいの収入は入ってくると思います。

が、人気はあるけどそこまで世間に浸透している楽曲がない場合は今度はライブをたくさんこなしていくしかないと思います。

そう、上記のようにライブの次の日にまた別でサポートメンバーで参加しているライブをやって、また次の日は自分のバンドに戻ってきてライブのように(ちなみに移動もすごく大変そうで東京でライブの後に、大阪に行って、次は名古屋など・・・)

同じく演劇でも、それで食っていきたいんだったら一つの仕事の報酬単価がとてつもなく高くない限り一般のサラリーマンと同じように週に5日みたいに働かないと難しいだろうとこれまでも述べてきました。

声優だったらランク制でギャラが固定されている事情もあり、なおさら毎週休む暇がないくらい働かないと無理です。

そんな毎週、仕事があるなんて羨ましいじゃないかと思う一方で、
例えばですけど複数の台本を抱えていて同時並行で違う役を演じなければいけないとなった時に自分は全ての役を高水準で演じることができるだろうか?という不安もあるなと思いました。

ってかそれに近い経験なら専門学校時代にしたことがありますね。ここであれば色々な授業で台本を貰い同じ週に幾つもの役を演じる経験をすることができます。

で、やはりそうなってくると出てくるのが・・・、
「私、〇〇先生の授業の台本で頭が一杯で、申し訳ないけど他の授業の台本はあんまり読んでないわ・・・」という人が出てきます・・・💧

一つの役を演じるだけでも大変なのに、そんな同時に二つや三つなんて無理!っていう人が出てきて人によって力を入れている授業とそうでない授業が生まれてくるのです。

これって思えば、すなわち自分は複数の役を同時進行で演じることができませんって言っているようなもので、プロとして、純粋に作品出演だけで食っていくのは無理ですと宣言しているようなものなのですよね〜⤵️

これだけ一つの役を演じるのは大変なんだから、単価が高いという望みもありませんでした。

私もこのnoteで公開しているような台本分析、役作りを二つ、三つの台本で同時に、同じ精度で出来ると言われたら厳しいと思います💦

それをやってのけてしまう人がいるなら、それは台本をパッと見ただけで出来てしまうとてつもない才能の持ち主なんだろうなと思います。あとは天才ではないけど、体力が尋常じゃないくらいある人でしょうかね 笑

こんな感じでこの世界で食っていきたいと思って飛び込んだわけだけど、それを実現したければはたから見たら倒れるんじゃないかと心配になるくらい活動しないと駄目で、そんなスケジュールだったのかそれで現に体調を崩してしまって活動休止した人もいますよね。

私は人生に彩りを添えるための手段として、演劇とはとても素晴らしい居場所だったと思っております。これまで金銭的な報酬は少なかったけど、様々な出会いがあり人生が楽しくなっていたのは間違えがありません。

だからきっともしも経済的に自立をしていたのなら演劇の方にそれは求めず、築いてきたコミュニティーの中で今も何かしらの形で関わっていたであろうと思っています。

演劇以外で生活費などを稼いで、経済的には自立した上で演劇活動をするというのもまた難しいと思いますが、また私が演劇に、あちこちの稽古場や劇場、現場へ赴くような関わりをするならその条件が満たされた時だと思いますね。

今の私にとって「演劇」とは頭がパンクするくらい詰め込んで活動をするものではなく、一つの活動を全身全霊で取り組んでいくものだと位置付けます。だから活動量もそんなに多くはできないし、演劇だけで食っていくのは無理ということです。

演劇など芸術分野を人生に組み込むと充実はするけど、これを商業的に成功させるとなると途端に苦しくなるのでやっぱり難しい世界ですね。

同期に「もしもオセローを紀伊國屋ホールとか本多劇場で演じることができたらもう俺の芝居人生はそれで終わってもいい」と豪語する人がいましたが、

私も気持ち的にも似たようなもので一生の内に一度でも歴史に残るような、自分が求めていたような名作に出演することが出来たのなら、それだけで芝居人生大成功じゃないかという考え方なのかもしれませんね。

個人的にはnoteでも紹介したOVA版「ブラックジャック」のような重厚な作品に出演できたのならもう身を退いて良いくらい悔いはないのかもしれません 笑

他の芸術・エンタメ分野に関わっている皆さんはそれとどう向き合っている、関わっているでしょうか?

では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。


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