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雑談のノリで余命宣告されたので

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先日、雑談のノリで余命宣告受けまして。 ”希望としまして、延命措置せず「ピンピンころり」を選択しました。" 父と暮らした数カ月の話
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2024年4月の記事一覧

再会

再会

「もしもし、どうしたの?」
「今日って時間ある?昨日のMRIの結果でお話ししたいことがあるんだけど。」
「ない。じゃ、」
「あ、待って!水族館デートしませんか?」
「は?むり。」と言って切った。
なぜ、私がMRIを受けたことを知ってるんだ?仮に病院の職員だとしても、守秘義務という観点で先に個別で電話をかけるのはいかがなものか。そもそもいつサトシと電話番号交換した?
朝から腹立たしい。

車ではなく

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誕生日、人間ドックへ行くことに

誕生日、人間ドックへ行くことに

「最近、イカロス…鳥人間コンテストしながら島から脱出するみたいな夢見るのよね。」
「なんだかICO(昔の孤島脱出ゲーム)みたいだね。」
ユナのくちびるが桜色に塗り変わる。春色のリップいいな。

「毎回流れは一緒なんだけど、駅員さんから返される切符の有効期限だけ、どんどんカウントダウンしてくの」
「えー、余命宣告みたい」
「でも健康診断でどこも異常ないんだよ?」
「いうて、今までバリウムとか血液検査

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プロローグ: パイプ椅子のイカロス

プロローグ: パイプ椅子のイカロス

夢の中で空を飛ぶ。
よくある夢のひとつだと思う。
でも、「パイプ椅子振り回してたら空飛んでたわ」
なんて人は稀だと思う。

その夢の中でパイプ椅子を操って、翼のように自在に飛べた。
「エーゲ海はええ下界…」
しょうもないことを言った瞬間、バランスを崩して落ちかけた。
幸い近くの駅に無事降り立つことができた。
よく見ると蔦が絡まり、廃屋と化した駅舎だった。

誰もいない。
左から快速電車が颯爽と駆け

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