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座右の書 大槻文彦『言海』

大槻文彦『言海』(筑摩書房、2004年)

「文庫で引ける明治の辞書 夏目漱石も折口信夫も新村出も・・・みんなが愛した明治の辞書」

と帯にあった。そして、開高健も愛用者であった。

以前、読んだ「辞書屋」から、ずっと興味を持っていた。

言海とは、日本はじめての近代的な国語辞書である。

初版は明治22(1888)年、小形の昭和6(1931)年版の復刊という。

本書のあとがき「ことばのうみ の おくがき」 によれば、名前の由来は、続古今集による。

「敷島ややまと言葉の海にして拾ひし玉はみがかれにけり 後京極」

この文章では、大槻の人生から辞書編纂に至るまで振り返っている。
妻子を病で失い、完成後も数年間も「しみのすみか」になっていた原稿。
辞書編纂にかけた壮絶な人生であった。

英語の引用で、締めくられている。

There is nothing so well done,but may be mended.
この世に補正を要しないほど上手くできたものはない。

明治以降の文学作品を読む際に、
我が家の蔵書でいちばん古い辞書 辭林 とともに、活用しようと思う。

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