母と兄の夢(主に兄)
哀しいけれど甘やかな夢を見た。兄が死ぬ夢だ。実際死んだときは他人事のように感じた。
夢を見て私は悲しんでいた。
兄とはいつもふざけあってゲラゲラ笑っていた。そんな兄との夢である。
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どこか九州とか南の方に旅をして、泊まっている。母と兄と父とニューハーフの女性と5人だ。
私はニューハーフの女性と、ばれないように手をつないでいる。
私は折りたたみのスマホを持っている。メッシュの半透明の袋に入っている。レシートも入っている。スマホは母の物という設定だ。
レシート捨てていいか聞くとダメと言われる。
旅は最後の夜らしく、せっかくだから飲みに行きたいと思う。母はもう夜なのにと渋ったが、せっかくだからと説得して兄と外出する。
20畳はありそうなエレベーターに乗る。私たちは3階に泊まっていて、降りるが、私が靴を忘れて取りに行くもまた忘れる。
財布は兄が持っている。黒い二つ折りのやつ。ほとんど荷物の入っていない手提げ袋の中に。
ホテル周辺の店をチラシで選ぶ。エレベーターの中で、男友達Aと思って面と向かってじっと見つめていたら別人、現地の人だった。
もうひとり知らない人(Aの友人という設定)と兄とで、堤防のようなところをぶらぶら歩く。このシーンだけが真っ白い午後。
Aいわく、こっちの地域では男は結婚したら相手に尽くさないとだめで、結婚式は派手で、ホテルでやるらしい。
ジャリジャリと何か痛いと思ったら私はまた靴をはいていない。兄にスリッパをもらって履く。
兄の荷物にナイフのような剃刀が入っており、私が手にするとわずかに切れて血が滲んだ。
舞台はホテルに戻る。私は履いているショーツがきつくてぎゅっと履く。兄は浴衣をパンツに入れてホテル内をふざけて走っている。追いかける私はゲラゲラ笑っている。
今度こそ外に出る、夜で、やっぱり私はスマホも靴も持っていない。
兄がでかい黒いリュック、ブルゾンでもコートでもないフード付きの上着。リュックも上着もそのうち私があれをもらう気がした。
兄のリュックから黄色のタグがついたチラシがはみ出ている。引っ張ると、不動産屋のチラシで、平成5年のものだった。やっぱ死ぬまでの期間なんだなとふと思う(実際死んだのは2014年)。
と同時に、兄は突然消えてしまう。
私は、おにいちゃんおにいちゃんと半泣きになって叫んで探す。走り回って見回すけどどこにもいない。
兄は、それまで出会った旅先の人も、ニューハーフの人にも、周りの人々に兄は見えていなかった。私一人で滑稽な会話に見えたはずだ。
気付くと私は兄がさっきまで着ていたブルゾンを着ていて、ホテルの鍵はポケットに入っていた。
時計を見る。もう1:20。部屋へ帰ることにした。
エレベーターに乗ると9階まで止まらないやつだった。たくさんの合宿男性が乗っており、みんなよく似ている。部屋について行くが、そこではでかい和室にたくさん布団を敷いて寝るらしい。というのを見て自分の部屋へ戻ることにした。
すると男友達Bとばったり会う。今度は本物だった。浴衣姿をしていた。
飲みに行こうと誘って、エレベーターで降りる。Bに、財布持ってる?と聞く。あとで払うつもりで。持っていないと言われる。
部屋に戻って財布を取りに行きたいが、もう寝なさいと言われそうで行けない。
再び3階に昇る(降りる?)エレベーターの閉まるボタンを押すと、見知らぬおばちゃんから、閉ボタンを押したらドアが全部閉まっちゃうからとやんわり指摘される。青森では勝手に家のなかに入るのはありえないとおばちゃんは言っている。
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そこで目覚めた。
起きたら5時過ぎだった。
目覚めて、悲しくなって哀しみに浸った。
すぐ寝て忘れてしまうのが悲しくて、アイコスを吸いながら必死でメモを取った。
母も兄も、ふたりとも、アイコスを知らずに死んでいった。
でも夢の中で兄とふざけあっていてよかった。
よかったんだ、きっと。