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読書感想文#5「荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方」

ただいま2025年1月7日、帰省により実家にいるため時間がたっぷりある。学生最後の冬休みを大満喫中だ。私はいつから居酒屋に行くより、ブランドの店が並んだショッピングモールに行くより、本屋さんを巡る方がワクワクして楽しい気持ちになるようになったのだろうか。あと古着屋も追加で。

そんなこんなで家族で車を走らせ「ジャスコ」に行った。
何度も言うが「イオン」ではない、俺にとっては「ジャスコ」である。
二度とイオンって言うな。
今までジャスコに行ったときは映画館だったり、だだっ広いゲームセンターで遊んでいて本屋などには目もくれなかったのだが。先日行った際にはほとんど本屋にいた。そこで偶然見つけて手に取ったのが本書である。
当然私が「ジョジョの奇妙な冒険」を人生でトップ3漫画・アニメ作品に挙げていることは周知の事実だと思う、そんな私が本書を買わないわけにはいかなかったのだ。
(ちなみに残りは進撃の巨人とガンダムシリーズです。)

すべての要素は「同時進行」で作られる

漫画は、大事な順に、①キャラクター②ストーリー③世界観④テーマの4つの基本的な構造があり、それを絵が包括していると荒木先生は語る。著作権的なことが怖いので内容については詳しく記述しないが、これは漫画だけでなく物語、ひいては作品を作るうえで全てに当てはまると感じた。絵がそれを包括しているというのは漫画ならではかもしれないが、物語を作るには先述の基本四大構造は恐らくすべてに当てはまる。
本書でも書いているが、「融合」というのが大事な鍵なのだろう。原子や分子たちが最も安定した形でいるように、感覚的な話だが、荒木先生はものごとの流れというものを重要視している。それのあるべき形、状態へ融合していく繋がりを意識して物語を書いているのだと。流れを考える上での第一原則、幹となるのがキャラクターなのだと語っている。

もうびっくりである。あの荒木飛呂彦の漫画を作る時の大原則、物語を作る上での考え方を事細かに教えてもらえているのだから。
これが1,000円ってマジ?みんなも買おう。
みんなとは言わないが、一次創作をする上では欠かせない本だと思う。
ゲームやアニメは漫画や小説の土台があって作られるケースが多い。だからこそオリジナルでゲームやアニメを作りたいなら余計に読んでおくべき一冊だと感じた。

だがあくまでも周知していただきたいのは、荒木先生がこの本で紹介しているのは漫画の書き方の王道であるということ。だから変則的?な漫画の書き方については書かれていない。だが王道を知らずして邪道が書けるわけがない、というわけで全ての一次創作者に見ていただきたい一冊だ。

ジョジョ制作秘話?

漫画の書き方もそうだがシンプルに「ジョジョファン」として制作秘話を知れるのは最高だった。荒木先生は話を考えるにあたってキャラクターの「身上調査書」を書いてからストーリーなどを考え始めるらしく、DIOや吉良吉影の身上調査書が掲載されていた。
荒木先生マジでこの筆跡なんだ…とすげえ感動した。字上手すぎ。
身上調査書もそうだが、メモ書きのようなものもまるでジョジョの世界の中から出てきているような錯覚を少し覚えた。
ヴァレンタイン大統領が小太りなチビから話を重ねるごとに高身長イケメンマッチョになっていった理由も書いてある、7部が一番好きな私からしたら気になるポイントだった。

漫画家としての生き方

「漫画の王道を歩み続けるために」といった章では、漫画家としてどう歩んでいくかや、暗闇の荒野に進むべき道を切り開くための方法など、漫画家としてあるための姿勢も書いてあった。漫画を描かない自分でも見習うべき内容だと思ったし、こうありたいという姿を学ばせていただいた。

最後にジョジョみたいな漫画を描きたい人に向けて荒木先生からメッセージがあったので引用させていただいて終わろうと思う。

『ジョジョ』は、そんなふうに戦いのことばかり考えている中で、「戦うときに何が一番怖いだろうか、時間を止められたりするのも怖いけど、やっぱり先祖のわけのわからない因縁が世代を超えて自分に降りかかってくるのが一番の恐怖なんじゃないか」というところから生まれた漫画です。『ジョジョ』が大好きで『ジョジョ』みたいな漫画を描きたいと思っている人は、絵やセリフを真似るのではなく、「自分の一番怖いものは何だろう?」と考えてみれば、「『ジョジョ』みたいな漫画」がきっと描けると思います。なぜなら、それが『ジョジョ』の本質だからです。

荒木飛呂彦の新・漫画術 悪役の作り方 |荒木飛呂彦| 集英社新書


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