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『Sable』レビュー

Sable (セーブル)』は、砂漠の惑星を舞台とした、三人称視点のオープンワールドのSFアドベンチャーゲームだ。

この世界では皆、大人への通過儀礼としてホバーバイクに乗って自分の運命を決める『グライドの旅』へ出る。放浪の民アイベスク族の少女セーブルもまた、旅立ちの日を迎えようとしていた。

開発:Shedworks
販売:Raw Fury
配信日:2021年9月23日 / 日本語サポート有
Steamにも同レビューを公開中:Link

ゲームシステム

本作の目的は旅そのものだ。

世界を旅しながら人々と出会い、彼/彼女たちに認められたり、手助けをすることで職業に応じたバッジを集めると仮面を得ることができる。

この世界の人々はみな職業を象徴する仮面をかぶっており、それが旅を終えたものの一生の生業となる。仮面はいくつ集めても良く、旅を終えたときにひとつを選ぶことになるのだ。

本作はオープンワールドなので世界は広いが、戦闘やサバイバル要素はなく、あくまで探索とクエストがメインだ。移動は徒歩か地面ぎりぎりを飛行する乗り物のホバーバイク。ホバーバイクは屋外ならばいつでも呼び出せ、測量士から地域の地図を購入すればファストトラベルも可能。

探索やナラティブな要素を持った物語性が重視されているので、余計なストレスなく旅に集中してほしいということなのだろう。

日本語サポート

リリースから約1年2ヶ月後の 2022.11.30 に公式に日本語が追加された。

UI/テキストが日本語に対応。ローカライズサポートは架け橋ゲームズ、翻訳は小川公貴氏 (@transneko) が共訳で担当されている。

本作は主人公セーブルの一人称のひとり語りと、それ以外の登場人物とのセリフとでフォントを含めて表現が分けられている。特にセーブルの語り口は彼女視点の印象描写を交えたもので、物語が理解しやすい。

これは翻訳の妙なので、日本語化における大きなポイントだろう。待ち望んだ甲斐があったというものだ。

キャラクターのフレーム数について

キャラクターのみフレーム数が制限されていて、動作がぎこちなく感じられると思うが、これはもともと意図的なゲームデザインとして全体が30fpsで製作されていた名残りだ。

プレイフィールへのフィードバックを経てゲームそのもののフレームレート制限は解除されたが、仕様上、キャラクターのフレーム数はそのままとなっている。

この経緯を知らないプレイヤーにとっては違和感があるかも知れないが、理解すればこれも味のある表現だろう。もともと開発者が意図していた表現でプレイしたければ、設定からゲーム全体を30fpsにロックするといい。キャラクターの動きがマッチしていることに気づくはずだ。

総評

本作の目的は旅だ。なにかに追い立てられるようなものではなく、自分の意志で気の向くままに各地を巡っていく。

ほとんど砂一色の世界ではあるが、トゥーンレンダリングで描かれたアートデザインは美しく、細部にこだわって添えられたBGMや音響効果も効果的だ。

この種のゲームには文字や文章が登場しないサイレントなものも多いが、本作は主人公視点での言葉によって物語を補完してくれている。そうした意味で、プレイヤー自身の想像力よりも、ゲーム側が情報を提供してくれるナラティブなゲーム性を求めているプレイヤーにおすすめだ。

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