【衝撃】飲料業界に進化が！？ FLOX-AIって？
当社では安全・安心な商品をお届けするため、商品の製造にあたって品質の検査を行っています。この重要な工程の中に、昨年からAIを活用した検査法を導入しました！ その名も「FLOX-AI（フロックスアイ）」です。最新技術を活用したこの検査法の運用は業界初の取り組みです。そこで、今回はこの「FLOX-AI」の開発に奮闘した社員のインタビュー内容をお届けします。
「FLOX-AI」についてはこちらもご覧ください↓
https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2023/pick_0630.html
https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2023/pick_1129_2.html
【プロフィール】
アサヒ飲料株式会社 技術研究所所属。
微生物分析技術に関わる研究開発などを担当。 特技は手を使った水鉄砲。
AIを活用した業界初の微生物迅速検査法
――微生物迅速検査法「FLOX-AI」とはどういったものですか。
微生物迅速検査法「FLOX-AI」は、蛍光染色法とAI（ディープラーニング画像処理技術）を融合させた当社独自の技術です。飲料等の製品に、万が一、有害な微生物が混入してしまうと、最悪の場合、食中毒の発生などお客様に重大な危害を引き起こす可能性があります。そのため、製造工程や製品中に有害な微生物がいないかどうか検査することは非常に重要であり、多くの手間と時間をかけています。この工程に用いる検査法にAIを組み合わせることでより効率的に検査を行えるようにしました。
――蛍光染色法とは何でしょうか。
蛍光染色法とは、生きている微生物だけに反応する特殊な蛍光試薬で染色し、蛍光検出型装置によって微生物の有無を確認する方法のことです。通常用いられることが多い培養法よりも迅速に検出できますが、乳や果汁を多く含む清涼飲料水を検査した場合、蛍光染色法では微生物とそれ以外の物質を明確に区分することが困難でした。そこで、微生物の蛍光撮影画像を、AIを用いて両者の形状や色調等の特徴や量の違いを学習させることで、迅速かつ高感度に微生物有無を検出するアルゴリズム（学習済みモデル）の構築を行いました。
――「FLOX-AI」開発の経緯について教えてください。
従来の検査法では、微生物を検査するのに３日以上必要としていて、さらに微生物がいるかどうかの判定はすべて目視で行われることから、時間と労力がかかってしまうという課題がありました。そこで、目視では判定が難しい状態の微生物を特殊な試薬で光らせることで従来法よりも早く検査が可能になる蛍光染色法という技術と、最新のAIを組み合わせた当社独自技術「FLOX-AI」を開発することで、「早い検査」「簡単な検査」を実現することができました。
地道な研究・検証の積み重ね
――「FLOX-AI」の開発で大変だった点、苦労した点はどういったことですか。
「FLOX-AI」の開発には多くの画像データが必要で、論文には取得した画像データは360枚と記載していますが、実際には予備試験等も含めて何倍もの数の画像データを取得しています。データを取得するためには、緻密に設計された試験方法を丁寧に何度も何度も繰り返す必要があるので、精神的にも体力的にも疲弊する作業です。また、取得したデータから微生物の特徴をAIに教える作業がありますが、これもすべて手作業なので、とても骨の折れる作業でした。
――開発にあたって、どのような人たちと、どのように協力したのですか。
工場の品質管理部で微生物検査を担当しているメンバーに協力してもらい、テスト運用を繰り返し実施しました。「FLOX-AI」の動作が安定するかを検証したり、新しい検査法として社内の検査基準に登録する作業を生産部のメンバーに協力したりしてもらいました。ほかにも、検査が終わるまで出荷ができない仕組みになっているため出荷日の調整に関わる方、さらに、新商品の開発に関わる方、外部のシステム会社とも協力して、「FLOX-AI」の開発と工場への導入を実現することができました。また、私が所属する技術研究所のメンバーにも日々多くの支援をしてもらいました。このように、みなさんのさまざまなご協力のお陰で「FLOX-AI」は開発できたと思っています。
技術の力でお客様の安全・安心に貢献
――今後この技術は、どのようなことに役に立つと考えられるでしょうか。
飲料や食品業界では製品の微生物検査に時間や労力が必要です。「FLOX-AI」を使うことで誰でも簡単に迅速な検査が実現でき、物流コストの削減や、生産性の向上に貢献できると考えています。
――技術研究を通して、100年後をどんな未来にしたいか教えてください。
今後、日々進化していくAIなどの最先端技術を活用して、お客様の安全・安心に貢献できるような技術研究をしていきたいです。特許に関わる可能性があるので具体的には話せませんが、お客様が今までよりも安心して日々の食事をもっとワクワク楽しめるような未来を実現したいと思っています。
――ありがとうございました！
いかがでしたか？
最先端の技術を生かし、安全・安心な製品をより効率的に皆さんのもとにお届けすることにつなげています。
商品をお届けするまでの裏側の取り組みの一つとしてぜひ注目していただけるとうれしいです。