【エッセイ】いったんもめん
身長と体型のわりに肩幅が広いものだから、ゆったりしたデザインのワンピースなんかを着ると一反木綿みたいになってしまう。
肩のフレームはしっかりしているのに裾のほうがペランペランだ。
それを姉に訴えたところ「ほんとだ。イッタンモンメだ」とうれしそうに言い、その後も「イッタンモンメ、イッタンモンメ」とことあるごとに口にした。
たぶん、わざとではない。一反木綿をイッタンモンメだと勘違いしているらしい。鬼太郎で何を学んできたんだ。奴は真剣に見ていなかったにちがいない。なんともけしからん。
「イッタンモンメじゃなくて一反木綿だから」
心の中で何度も指摘する。気になって仕方ない。しかしまだ、面と向かって告げる勇気はない。つまらない争いも面倒だ。
一反木綿、いったんもめん。ときどきつぶやいて確認する。そうしないとモンメに侵蝕されてしまいそうだ。
いいなと思ったら応援しよう!
より素敵な文章となるよう、これからも長く書いていきたいです。ぜひサポートをお願いいたします。