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【エッセイ】ヤツ
ヤツが出た。春先なのでまだ小柄だった。
帰宅して部屋の電気を点けると、ストーブのところからサササ、と走ってきた。
ゲジゲジだった。
年に何度か現れる。おそらく部屋に生息しているのではなく、ときどき隙間から入ってくるようだ。
(実家では大小のヤツらが頻繁に現れる。あれは家の中に生息している。天井から大物が目の前にポトリと落ちてきたときは、悲鳴すらあげられなかった)
いつもは殺虫剤を使うのだが、敷物が気になったので打撃でいくことにする。予測不能な動きをするから、見失わないように目のはしでヤツを見ながらほうきを用意する。しかし、目を離した一瞬でヤツは姿を消した。
待て待て、慌てることはない。
敷物をちょっとめくる。ヤツは身を縮めてそこにいた。
御免!
残酷とは知りつつ、ヤッとほうきを振り下ろす。何度目かでヤツは動きを止めた。数本の毛がまわりに散らばっている。
夜なのでほうきとコロコロで念入りに片付けをして、なんとか切り抜けた。
もう、しばらく対決はごめんだ。
(実はゲジゲジより、クモとの対決のほうが多い)
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