【#2 現状維持バイアス】 新しい自分になんてなりたくない脳 ~ 幸せに生きるための行動経済学・心理学 ~
おはようございます、日々野あさひ です🌅
私の記事に興味を持っていただき、ありがとうございます。
今回は、"幸せに生きるための行動経済学・心理学"シリーズの第2回目ということで、第1回目に少し触れました
”現状維持バイアス”
についてお話ししたいと思います。
現状維持バイアスとはなんぞやということから、幸せに生きることにどう関係するのかまで、私見を交えてお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください🌞
ちなみに、前回の記事はこちらです。
現状維持バイアスとは
まず、現状維持バイアスとは何なのでしょうか。
簡単に言うと、
変化を恐れて現状を維持しようとする心理傾向
のことです。
バイアスというのは「偏見」「先入観」などと訳されますが、私たちの思考や行動に非合理的な偏り・歪みを生じさせる「脳のクセ」のようなものです。
要は、私たちが何かを考えたり、行動を起こそうとしたりするとき、無意識に非合理的な現状維持をしようとしている、ということです。
例えば、今の職場に何かしら不満があり、転職することで解決できる可能性が高いだろうと考えながら、なかなか転職活動を始めることができない。
こういう状態も、現状維持バイアスの働きによるところが大きいと思われます。
現状維持バイアスが強いワケ(考察)
なぜ、私たちの合理的な判断を挫くほどに、現状維持バイアスが強くかかるのでしょうか。
一説によると、私たちの脳は1万年以上前、人類が狩猟採集で生活をしていた時代からあまり変わっていないそうです。
その時代は、食料が安定的に確保できて、安全に暮らせる環境であれば、その現状を維持することが生存戦略として有効だったのでしょう。
新しい食料にトライしたり、新しい環境に移るというのは、生存戦略的には大きなリスクを孕むので、背に腹は変えられないというとき以外は避けたかったはずです。
とすると、現状維持バイアスは、マズローの欲求階層説で言うところの生理的欲求や安全欲求のような、より根源的な欲求を満たすために発達してきたバイアスだと考えることができそうです。
つまり、
”現状維持バイアス”は、生存本能として備わった脳のクセ
だと考えることができるので、私たちの思考の過程において、より高次の欲求である”変わりたい気持ち”よりも、優先的に適用されてしまうのではないかと思います。
現代社会では現状維持バイアスが足枷に
しかし、最近では平均寿命が80歳を超える国も増えてきており、物質的な豊かさの追求ではなく、精神的な豊かさ(well-being)を求めるフェーズに移ってきています。
また、ここ30年でインターネットが急速に普及して、人々の暮らしが以前と大きく変わるなど、社会環境も目まぐるしく変化しており、私たちはそれに適応し続けていかないといけない時代になっています。
そんな現代社会において幸せな人生を送るためには、この”現状維持バイアス”が、ときに大きな足枷となってしまいます。
例えば、
健康に長生きするために運動習慣を身につけたいのに、脳は運動していない今の生活を維持しようとする。
老後に年金が十分に貰えない未来を見据えて、自分で稼ぐ力を身につけた方が良いと思っているのに、脳は慣れた今の仕事を続けようとする。
企業の存続のためにはDX(デジタルトランスフォーメーション)しなければとわかっているのに、脳は今までの仕事のやり方を安心に感じてしまう。
このように、現状維持バイアスの働きによって、望ましい変化にもブレーキがかかってしまい、いけないとわかっていながら、ずるずると今までの生活を続けてしまうことがよく起こります。
このような経験は、当然私にもありますし、ほとんどの人が思い当たる節をお持ちなのではないでしょうか。
幸せに生きるための現状維持バイアスとの付き合い方
では、現状維持バイアスにはどのように対処すれば良いのでしょうか。
心理テクニックなどを活用した細かな対処方法は色々ありますが、それはまた個別に記事にしていくとして、今回は私が考える大原則のようなものをお伝えします。
それは、自分の意志力に頼らないことです。
先ほど申し上げたように、現状維持バイアスは生存本能の一部のようなものなので、逃れることは困難です。
そして、意志の力で現状維持バイアスに打ち勝つというのは、本能を理性で押さえつけるようなもので、相当なエネルギーを要します。
なので、元気な時には「いける!」と思っても、疲れていたりして脳にエネルギーが足りていないと、簡単に負けてしまうんです。
そんな経験、ありませんか?
そんな現状維持バイアスを上手にかわして望ましい変化を実現するためには、自分の意志の力だけに頼らず、環境を味方にすることが一番です。
参考に、私が実践している例を少しだけご紹介します。
運動は嫌いだけど運動習慣をつけるために、自転車通勤にしています。毎日片道30〜40分ほどかかりますが、通勤時間を運動時間に転用できることで、仕事前や仕事後にわざわざ運動時間を別で設ける必要がなく、かれこれ7年ほどは続いています。
新しいことにチャレンジする時間確保のため、スマホでだらだら遊ばないように、スマホのホーム画面には予定表、電子書籍アプリ、電子決済アプリ、連絡アプリくらいしか置かないようにしています。アプリ一覧を開いて探しにいくというワンクッションを挟まないと検索すらできないようにしたら、そんなに不便は感じず、無駄にスマホを触る時間がかなり減りました。
読書を続けるために、読みかけの本は棚に戻さず、机の上に出したままにしています。自然と目に入ってすぐ手に取れるところに置いておき、読書のために本棚から本を出す、という意識的な行為を省略することで、継続しやすい環境にしています。
これらは一人でも実践できる身の回りの環境整備ですが、コミュニティに参加するなどして、仲間がいる環境に身を置くのも効果的です。
私も護身術は道場に通って習っていますが、やはり仲間がいると続きやすいということは実感していますので、可能であれば、同じ目的を持った誰かと一緒に始めてみる、というのが良いと思います。
まとめ
それでは最後に、本記事の内容をざっくりとまとめておきます。
現状維持バイアスとは、変化を恐れて現状を維持しようとする心理的傾向
狩猟採集時代までに、生存本能として備わったバイアスだと考えられる
目まぐるしい変化に適応していかないといけない現代社会で幸せに生きるには、このバイアスが足枷になることが
自分の意志力のみに頼らず、環境を味方につけることで上手に現状維持バイアスと渡り合っていこう!
といったところで、今回は以上とさせていただきます。
最後までご覧いただき、ありがとうございました🌄
この記事が、幸せな人生を送るヒントとなりましたら幸いです。
(※2024年11月12日:タイトル修正しました)