朝食に「ちょい足し」するならゆで卵 理想のたんぱく質を摂取できる食材リストとメニューを紹介
現代日本人が「たんぱく質不足」の状態にあることをご存じだろうか? そこで、筋肉を維持するだけではなく、将来のサルコペニアやフレイルを防ぐために、早稲田大学の宮地元彦教授監修で、ほりえさちこさんが料理を担当した書籍『美容・健康・免疫力アップ からだづくりに欠かせない たんぱく質のきほんとレシピBOOK』(朝日新聞出版)から、たんぱく質の摂取量を増やす方法を紹介したい。
厚生労働省の食事摂取基準では、体重1キロあたり1日に1.2グラムのたんぱく質の摂取が望ましいとされている。体重が50キロなら、1日に摂取するべきたんぱく質は60グラム。ただし、これは筋肉を「維持」するために必要な量だ。将来のサルコペニアやフレイルを防ぐには、筋肉を増やして貯金しておいたほうがいい。そのために適正な量は、体重1キロあたり1.3~1.5グラム。体重50キロなら65~75グラムということになる。
1日のたんぱく質摂取量が多いほど増える筋肉の量も多くなるのだが、無限に増えるわけではなく、ある部分で頭打ちになる。それが、ちょうど体重1キロにつき1.3~1.5グラムのあたり。つまり、一番効率よく筋肉を増やせるたんぱく質摂取量ということになる。
摂取量を増やすために手っ取り早いのは、いつもの食事にたんぱく質を含む食品を意識してプラスすることだ。
まず、どんな食材にどれくらいのたんぱく質が含まれているのかをまとめると……。
これらの食材を1日3食のいつものメニューに加えれば、たんぱく質の摂取量を15グラム以上増やせることになる。
次は、具体的なメニューの形で見ていこう。
【朝食1】
トースト(食パン+バター)+ブラックコーヒーというメニューだと、摂取できるたんぱく質は5グラム程度。でも、トーストをピザトースト(食パン+ベーコン+チーズ+ピーマン+トマトケチャップ)に、ブラックコーヒーを牛乳を入れたカフェオレにして、ゆで卵を加えると、たんぱく質摂取量を18グラム程度にまで増やすことができる。
【朝食2】
コンビニおにぎりとカップの味噌汁を買って会社で食べる、という場合も、おにぎりの具や味噌汁の種類を変えるだけで、たんぱく質摂取量を増やすことができる。梅おにぎりとなめこの味噌汁なら5.5グラムほど。これを、鮭のおにぎりと豚汁にして、冷ややっこを加えれば、たんぱく質の量は15グラムほどと、実に3倍。変えない手はない。
【昼食1】
釜揚げうどん+かき揚げというチョイスは、サクサクのかき揚げのコクで満足感は高いものの、糖質と脂質が中心でたんぱく質は6グラム程度。同じうどんでも、牛肉入りの肉うどんを選び、おひたしなどの小鉢で野菜を補うというチョイスに変えると、たんぱく質は16グラムを越えてくる。
【昼食2】
ラーメンを食べる場合も、野菜たっぷりのタンメンより、チャーシュー麺に煮卵と野菜(ほうれん草など)をトッピングするほうがいい。前者が含むたんぱく質は10グラムほどだが、後者は20グラムほどと、一気に倍増。言うまでもなく、チャーシューは脂質も多いので食べすぎに注意して。
【夕食】
会社帰りに町中華で夕食をとるという場合は、餃子定食より八宝菜定食がおすすめ。餃子にわかめスープ、ザーサイ、ごはんといった構成だと、含まれるたんぱく質は10グラムほどだが、餃子を八宝菜に置き換えるだけで、たんぱく質は17グラムほどに増える。食物繊維やビタミンも摂取できるので、栄養バランスも整って一石二鳥だ。
もちろん、たんぱく質さえ増やせばいい、ということではない。たんぱく質が体に取り込まれ、筋肉につくり替えられる過程では、ビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素が関わっている。たんぱく質を取ろうとすると不足しがちになる食物繊維にも、腸内の善玉菌の餌になり、腸内環境を整える働きがある。つまり、大切なのはバランス。バランスのいい食事という基本があってこそ、たんぱく質の「ちょい足し」が効果を発揮するのだ。
(構成:生活・文化編集部 森香織)