夏号は創作2本が充実!さらに長期連載4本が堂々完結<「小説TRIPPER」2022年夏季号ラインナップ紹介>
◆創作
小川哲 「君のクイズ」
『Q-1グランプリ』決勝戦。競技クイズプレイヤーの三島玲央は、対戦相手・本庄の不可解な勝利に不正工作の疑念を抱く。真相を知るべく、彼について調べ試合を1問ずつ振り返る三島はやがて――。今夏大注目の鬼才による、クイズに材を取った新作274枚を一挙掲載します!
櫻木みわ 「カサンドラのティータイム」
スタイリスト見習いとして働く友梨奈と、牛肉加工工場でパートをしている主婦の未知。孤独に自分を責め苦しみながら夜を過ごしている、誰かと誰か。現代社会で生きていく女性のやるせなさを見事な筆致で描きつつ、他者と他者がつながれることを希求する、期待の新鋭の飛躍作。一挙掲載218枚。
◆連載完結
河﨑秋子 「介護者D」
父親の介護より推しのライブを優先したい私は介護者「D」ランクなのだろうか――東京で派遣社員として働く30歳の琴美。父親の体調のため札幌へ戻ることを決意したが、地元の同級生は結婚し子育て真っ最中、そしてコロナ禍へ。現代的な問題を軸に描く著者の新境地。
新庄耕 「新郷地」
東京の大手企業から北陸の自治体広報監へとUターン転職を果たした結子。動画を一人で制作する地道な広報活動が実を結び始めた矢先、結子の発信力を当てにした知人から深刻な相談が舞い込む。結子の取るべき選択とは? ついに連載完結! 本作は23年春までに書籍化の予定です。
丸山正樹 「キッズ・アー・オールライト」
SNS上に〈このままだとあたし おばあちゃんころしちゃうかも〉と書き込んだ少女。社会から排除され、日々を戦いながら生きる日系ブラジル人の少年・ダヴィ。彼らを優しく見つめるNPOの男たち、声なき子どもたちの人生が交錯する時――社会派の雄によるエンタメ。9月刊行予定。
真保裕一 「英雄」
実の父親・南郷英雄を殺害した真犯人を探し求める植松英美がたどりついた驚愕の真実とは? 敗戦後に裸一貫で巨大企業総帥にまで上り詰めた英雄の隠された過去とは? 昭和・平成・令和をつないで描かれる壮大な長編サスペンス、感動の完結編です。9月刊行予定。
◆追悼・青山真治
阿部和重 「Break Up To Make Up ――青山真治追悼」
阿部和重さんによる映画監督・青山真治さんへの追悼文は、これまで読売新聞、「群像」「文學界」に発表されています。それらをすべて包摂するような追悼文をいただきました。「破壊から創造(和解)へ」という青山さんが日本映画に向けて試みた大きな軌跡が、鮮やかに映し出されています。R.I.P.