主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者向けの持続化給付金について考えた(6/26現在)

6月26日に新たな持続化給付金の申請要領がウェブサイトで公表されました。サブタイトルにあるとおり、「主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者向けの持続化給付金」になります。申請できるかどうか考える場合には、サブタイトルと自分の申告内容やお仕事の状況が合致しているかを考える必要があると思います。

そもそも持続化給付金とは

持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症による営業自粛等により、特に大きな影響を受けた事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧とするための「事業全般に広く使える給付金」です。個人事業者は最高100万円まで給付されます。

給付額の算定方法は、次のとおりとなります。
前年の総売上(収入)-(2019年月平均比▲50%月の収入×12か月)

簡単に言えば、昨年の一年間の収入を12で割り、その金額の半分を下回る収入の月(今年)があれば、持続化給付金の対象になる可能性があります。

前年の総売上(収入)が給付額の上限になりますので、前年の収入が少ない方は給付額が少なく計算されます。

新たな持続化給付金の給付対象について

新たな持続化給付金の給付対象者については、当初の持続化給付金の給付対象者の問題点として指摘されていた「事業所得で申告するべきところを、雑所得や給与所得で申告している納税者への拡大」というポイントに限定されているような気がします。

例えば、請負契約のプログラマーとしての収入で生計を立てているにもかかわらず、所得区分を深く考えず、雑所得で申告したり、報酬を給与と同様に考え、給与所得で申告した方を給付対象に含めるための拡大ということですね。

つまり、本来は事業所得であるにもかかわらず、所得区分を間違えて「雑所得」や「給与所得」で申告した方が、申告書の所得区分の記載を誤っただけで、持続化給付金を支給されないのはおかしいのではないかという問題点を解消するための給付対象の拡大と考えられます。

申請要領に記載されている給付対象の方の一例

雇用契約によらず、業務委託契約等に基づく事業活動からの収入がある方で、これらの収入を確定申告における主たる収入として、雑所得又は給与所得として確定申告した方

委任契約に基づく音楽教室や学習塾の講師など

請負契約に基づくエンジニア、プログラマー、WEBデザイナーなど

業務委託契約に基づく特定商品の販売や集金をする方など

ただし、会社等に雇用されている方は対象になりません。2019年中に会社に雇用されていた時期はあるけれど、退職して独立・開業された方は、対象になると記載されています。

申請要領に記載されている給付対象外の方の一例

確定申告書上で、事業所得で確定申告をした方(当初発表された持続化給付金要領に従って申請できます。)

会社に雇用されている方

被扶養者の方

その他、事業活動によらない収入については、給付額算定の対象外となっています。

「被扶養者の方」というところが意外ですが、扶養に該当する所得でお仕事をされている場合は、主たる収入は扶養者の方の事業収入や給与収入等と考えるのでしょうか。この考え方は、当初の持続化給付金の申請要領には記載されていなかった点です。

新たな持続化給付金の申請要領に合致している方はどうするか

1社又は数社で業務委託契約等により主たる収入を得られている方について、確定申告で誤って「雑所得」又は「給与所得」のどちらかの所得区分で申告された場合は、新たな持続化給付金の制度主旨が合致していますので、申請が可能になると思われます。

申請書類が以前の持続化給付金よりも複雑となっていますので、早めに、①業務委託契約書等、②支払調書、源泉徴収票、支払明細書、③通帳の写し、などの証拠書類をそろえられることをお勧めします。

新たな持続化給付金の申請要領に合致していない方はどうするか

例えば、一部の業務委託契約による少額の収入(数十万円程度)を事業所得として申告され、その他の業務委託収入を給与(数百万円程度)で申告されているような場合は、新たな持続化給付金の対象にはなりません。

また、サラリーマンの方で年収が300万円、副業(雑所得)が200万円である場合、会社に雇用されていますので、新たな持続化給付金の対象にはなりません。

さらに、ご主人がサラリーマン、奥様がイラストレーターやライターで、扶養の範囲で自営業として働かれている(雑所得)場合、こちらも被扶養者であるがために、新たな持続化給付金の対象とはなりません。

これらの給付対象に該当しない方について、持続化給付金の申請をするためには、修正申告や更正の請求により、正しい所得の計算を行い、事業所得として申告するしかないと思います。

申告方法が分からない場合や記帳・収支内訳書の記載方法が分からない場合は、税務署か税理士にお聞きになるしかないと思います。

6/25に記事を書いた後、翌日に新たな持続化給付金の申請要領がアップされました。6/25の記事も参考にご確認くださいね。

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