いいとしこいて
誕生日を迎えるたびに、この歳になる頃にはもう少しちゃんとした大人になってると思ってた。と思うけれど、
死の淵にいる母を前に、父に対して
お前が代わりに死ねばいいのに
とか相変わらず思っている。なんなら言いそう。
それでも、何年も前だったらすでに言っているだろう。
少しでもちゃんとした大人になってきていると、言えるだろうか。
右足が痛いと言った母。それからずっと、父は母の右足をさすっている。
父が席を外している時に、左足も痛いと言った母。だから私は左足をさすっていたのに。
そんなに怒らなくてもいいのにね。
お優しい旦那さんですね、と看護師さんが言う。
母におやすみを言って、私は家に帰る。
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