鈴木あさい

1979年生まれ

鈴木あさい

1979年生まれ

最近の記事

いいとしこいて

誕生日を迎えるたびに、この歳になる頃にはもう少しちゃんとした大人になってると思ってた。と思うけれど、 死の淵にいる母を前に、父に対して お前が代わりに死ねばいいのに とか相変わらず思っている。なんなら言いそう。 それでも、何年も前だったらすでに言っているだろう。 少しでもちゃんとした大人になってきていると、言えるだろうか。 右足が痛いと言った母。それからずっと、父は母の右足をさすっている。 父が席を外している時に、左足も痛いと言った母。だから私は左足をさすっていたのに。

    • 近況

      先週はあんまり風が強いので、母がさらわれてしまうような気がしてさみしい気持ちになった。 押しのけられてしなる枝の先で芽吹いたばかりの葉っぱが形を変えてはいたけれど、しっかりとつかまっているそれらは、とてもさらわれそうには見えなかった。 私は臥る母を見舞うようで、自分のために毎日母に会いに行く。 私は、じゃあいつならいいのと問いながら、まだ死なないでと思っている。

      • いきなりつらい話

        母が死にそうだ。 今日明日の話ではないが、医師によるとそう遠くない未来とのこと。 母には死なないでほしい。 でも、このような書き方はどうかと思うが、そこそこで死んでほしい。 当然ながら私もいずれ死ぬ。母に確認したことはないが、私が死んだらとても悲しむだろう。そうでなくても悲しませることが多い娘としては、母には先に死んでおいてほしい。 私にとって、母が死ぬということは、はじめてだ。妹にとってもはじめてだし、父も配偶者を亡くすということはおそらくはじめてだ。 母にしても死ぬこ