インソムニアのともだち

身体が火照って眠れない夜
両側から顔の下へ手を入れて
一つ、二つ、三つ、四つ、冷たいつるりとした感触を弄ぶ

愛を知らない私の枕は
綿ではなく
羽でもなく
白い碁石がつめられている

碁石は清潔な硬さで
私の理想の死の姿

自分の歯の滑らかさを舌で確認しながら
碁石と碁石を噛み合わせ
朝になったら
私の身体は蒸発して
丸く研磨されていた歯は碁石と混ざり合い
明後日には質屋に売られて
いつか運が良ければ
こちりと碁盤の上に並べられる

そんなことを想像すると
なんだか安心できるのです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?