わたしたちの"おうち時間と素直な気持ち"⑦
イマのわたしたちの頭のドアを開けてみよう
という心意気で、毎回出される1つのテーマを メンバーそれぞれのあたまとことばで
表現するのが目標です
という趣旨の「月刊ゆるゆる、ドアノブ」。
今回のテーマは、新型コロナウイルスによる生活の変化と私たちついて。
2020年が始まってから、この数ヶ月の間で世界は激変してしまった。今までにない、制限のある生活が私たちを取り巻いている今日この頃。
頭を抱える苦しい時間も、徒然なるままに過ぎていく時間も、ささやかで楽しい時間もある。
世界が体力を取り戻し、未来で笑って生きるわたしへ、記録のお手紙を届けるつもりで書きます。
わたしたちのイマの生活、考えごと、素直なきもち。
文:きのと
はじめまして、木弟(きのと)です。まずは簡単な自己紹介を。
私は20卒で就職したばかりの、いわゆる新社会人です。デイサービスという通所介護施設でお年寄りとお話したり、体操したり、車でご自宅まで送迎したり、1人でお風呂入れない人をお手伝いしたり、そういうお仕事をしています。
ゆるドアのメンバーは大学の頃のサークルの友人です。
木弟という名前は大学時代に文芸部で使っていたペンネームです。本名をもじっています。はしご(梯)じゃないよ。きのとだよ。
さて。
今はテレビをつけてもコロナだなんだとうるさいですね。私は介護職なので自粛なんてどこ吹く風、土日祝日も関係なく出勤しています。私の職場は"お風呂特化短時間デイサービス"を売りにしているので、ご利用者の皆さんも「お風呂は入らなきゃよねえ」と言って来てくださいます。コロナ不況で倒産する会社がある中、"お客様"がいるのはありがたいことです。
福祉系はよっぽどのことがなければ倒産することはありません、たぶん。世間でも"エッセンシャルワーカー"という言葉が頻繁に聞かれるようになりました。かく言う私もエッセンシャルワーカー(社会必須職従事者)だそうです。必須ですって。「あなたはこの社会に必要だ!」と言われているようで自己肯定感が爆上がりしました。でも、それと同時に、「じゃあ、社会に必須じゃない職業ってなに?」とモヤモヤする今日この頃です。
例えば、私の職場ではお風呂に入れない高齢者が多く通っていて、その方々にとっては、私達は清潔を維持するために"必須"のサービスを提供しています。しかし、中には少数派ですが、実はシャワーなら自力でできる(けど見守りがないといつ倒れるかわからない)方や、ご家族が一緒に暮らしているからお風呂に入れる(けどご家族やご本人が身体的・精神的に無理をすることになる)方もいらっしゃいます。そういう方にとって、私達は「本当に必要不可欠な存在なのか?」と聞かれると、なんとも言えません。もちろん、必要ではあるでしょう。必要が無ければデイサービスなんてわざわざ通いませんから。でも、不可欠かと聞かれたら……? 前述のように、無理したり我慢したりすればなんとかなってしまう方もいますから、答えは人によって変わってくるかもしれません。つまり、エッセンシャルなサービスかと聞かれたら、「利用する人によって程度が違う」というのが答えかと思います。
たぶん、モヤモヤしている原因は、上から"必要"と"不要"を一方的に決められているからなんですかねえ、たぶん。たぶんね。実際の社会では"トップダウン"とか"強いリーダーシップ"という、かっこいいものが求められるんですよね。きっと自給自足できる人にスーパーはいらないし、アメコミヒーロー並みのタフボディだったら病院はいらないんですけどね。同様に、パチンコがないとイライラしちゃう人にはパチンコ屋が必要だし、音楽で生きている人にライブハウスは必要ですよね。
……少々戯れ言が過ぎましたね。
さてさて。
この記事は未来で笑って生きるわたしへ、記録のお手紙だそうです。すっかり忘れていました。そもそも私は過去を振り返らない(忘れっぽい)性格なので、この記事を読み返すかどうかも怪しいものです。なので、未来の自分にはあまり多くを語らず、これだけ言っておくことにします。
未来の私は間違いなく、自分を肯定しながら過ごしているはずです。なぜなら、今の私ですら毎日そこそこ楽しく過ごせているからです。もちろん、不安なこと、辛いこと、苦しいことは抱えきれないほどいっぱいあります。でも、不安で辛くて苦しいってことは、裏返して言えば、生きているということですから。私は今、「ただ生きている」という事実に大きな充実感を得ながら必死に生きています。辛い今でも笑顔でいられるなら、きっと、"新しい生活様式"を越えたコロナ終息後の世界でも、私は笑顔でいられるでしょう。ただ、制限が少なくなった未来でも、命あることに感謝することを忘れないでほしい。ですから、未来の私には、「私は今、必死で生きているぞ! お前は未来でもちゃんと息してるか?」という問いかけだけを残して筆を置くことにします。
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