Dream Crusher との闘いー渡米へ
留学すると決めた当時は、通院は2-3カ月に一回、治療は原発性アルドステロン症による高血圧に対処するための服薬のみでした。診察のたびに治療薬をもらい、それを毎日飲んでいるという状態でした。
それ以外の症状も気になるものは特になく、ずっと「経過観察」の状態が続いていました。医者からは、この病気は「じわじわと」進行するものだ、と説明されていました。そうか、将来はじわじわと侵されていくのか…それならば、まだ体力もあって、治療も服薬で対応できる今のうちに海外に行こう!と考えたのです。
私の学びたい分野は様々なコースがありましたが、学びたいことが多すぎることもあり、まずは1年間、学ぶことにしました。
さてしかし、この”ライフシフト”については、想像以上の逆風を受けました。「その年齢で行ってどうするの?」「今までのキャリアを捨てるの?」「何か勘違いしてない?」等々…。
キャリアも年齢もある程度積んだ”大人”のライフシフトの大変さ、それに対する恐怖も誰よりも私自身が感じていることです。それでも、こんなに逆風を受けるとは想像していませんでした。でも、よく考えてみると彼らの指摘は「私」についてではなく、「社会的一般的常識的」範疇から外れることを心配しているんですよね。年齢は、身体的能力の制限があるならともかく、自分ができるなら思い立った時が吉日だし、今までのキャリアを捨てるのでなく拡張したいから留学するのだし、「勘違い」って…何をどう勘違い?そもそも、「自分はできる!」とある程度”勘違い”(私は自分を信じる、と呼びたい)してないと何もできないし。
あの手この手で私の意志をくじけさせようとする人たちには、本当にたくさん遭遇しました。私は「dream crusher(夢をつぶす人)」と呼んでいるのですが(笑)、リスクも含め吟味したうえでようやく出した決断なのに、その人たちに何か影響が及ぶわけではないのに、なぜすんなりと応援してくれないんだろう?とつくづく不思議に思います。このあたりの経緯は話すと愚痴になり、別のnoteに詳しく書いたので省きますが…
もちろん、中には私のことを真剣に心配してくれて忠告してくれる人もいました。それから、大半の人は心から面白がり、応援してくれました。私の病気のことを知ってる人は、止めるどころか、「やりなよ」とさらに背中を押してくれました。私が、自分の健康を害してまで何かをむやみやたらに推し進める人ではない、とちゃんとわかってくれていたからだと思っています。
それでも中には信頼していた人から心無い言葉を受けて、傷つき泣いたこともあります。
壁にぶちあたるたび、「だってあなたたちは、私ではないじゃない。今後進行する恐れがある病気を抱え、治療や手術で自由な行動を妨げられる可能性があるのは”私”。私の進む道は、私が責任を持って決める」と、自分に言い聞かせました。
そして健康管理には一段と気を付けるようになりました。留学前に具合が悪くなったら、元も子もないし。
医者には、留学する年の春にようやく計画を告げました。大学院に合格する前に話して落ちたらどうするの、と思ったからです笑 医師はもちろん、驚いていましたが、私の検査結果等を見て「1年ならまあ大丈夫でしょう」と言ってくれました。
現地で何かあった場合のために、英文での紹介状や服用薬の英文説明書を用意してもらい、自分でも病状を英語で説明するための準備などを整えました。留学先の大学院から指定された学生用医療保険にも加入しました。大学院はキャンパス内にクリニックがあり、通常の医療相談であれば全部そこで、ほぼ無料で対応してもらえます。
こうして数年かけて準備を整え、ある年の夏、渡米しました。
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