桃から生まれたあさたろう
むかしむかし、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、ドンブラコ、ドンブラコと、大きな桃が流れてきました。
「おや、これは良いおみやげになるわ」
お婆さんは大きな桃をひろいあげて、家に持ち帰りました。
そして翌朝、お爺さんとお婆さんが桃を食べようと切ってみると、なんと中から元気の良い男の赤ちゃんが飛び出してきました。
「これはきっと、神さまがくださったに違いない」
子どものいなかったお爺さんとお婆さんは、大喜びです。
「名前は桃太郎がいいんじゃないかしら?」
「いや、朝にうまれたからあさたろうにしよう」
桃から生まれた男の子を、お爺さんとお婆さんはあさたろうと名付けました。
あさたろうはスクスク育って、やがて40歳になりました。
そしてある日、お爺さんが言いました。
「お前ももういい歳だ。遊んでばかりいないで真面目に働いたらどうだ?」
「そうよ、身体も元気なんだから」
「鬼ヶ島の悪い鬼が暴れているそうじゃないか。お前、暇なんだから退治を手伝ってきなさい」
あさたろうはとても焦りました。
「いや、さすがに僕が行ってもどうしようもないですよ(^ω^;)」
「いいから行きなさい。鬼を退治してそのツノを持ち帰って来なければ勘当だ」
「灰」
こうして、あさたろうはお婆さんからきび団子を作ってもらい、鬼ヶ島へ向かうこととなりました。
(はぁ・・・行きたくねえな・・・)
そう思いながら森を歩いていると、サルに出会いました。サルは名をフィリと言い、この森で暮らしていました。
「あさたろうさん、どこへ行くの?」
「鬼ヶ島ですよ」
「なにをしに行くの?」
「何って、鬼を退治するに決まってるじゃないですかw」
「それでは、お腰に付けたきび団子を一つくださいな。お供しますよ」
「はい」
サルはきび団子をもらい、あさたろうのお供になりました。
(はー、東天紅セットしてえ・・・)
歩いていると、今度はイヌに出会いました。
「だいじょうぶか、アサジン」
「あの、ぶっちゃけ、僕が鬼ヶ島へ行っても役に立てないし、意味ないですよね?」
「ヨユウやで (* ̄∇ ̄)ワハハ」
「アカイヌさんも手伝ってくれません?」
「めんどい」
「灰」
旅の途中で、あさたろうとサルは一軒の家屋を見つけました。旗に書かれた「麻雀すらいむ」という文字を見るや否や、あさたろうは瞳孔を開きながら言いました。
「ああ?!あの・・・ちょっと・・・」
「え?なんですか?」
「あ!いえ、なんでもないです・・・」
家屋を通りすぎて少し経つと、あさたろうに異変が起こりました。顔を紅潮させ、手を震わせはじめたのです。
「すいません!ちょっとお手洗いへ行ってくるのでここで待っていてください!」
そう叫ぶと、あさたろうはさっき見かけた家屋へ駆けて行きました。
それからサルが三十分待っても、あさたろうは戻ってきませんでした。心配になったサルはあたりを探し回りました。
サルはしばらくしてようやく彼を見つけることができました。
あさたろうは麻雀すらいむでフリーを打っていました。彼はギャンブル依存症だったのです。
あさたろうは勝ち続け、カゴには恐ろしいほどのお金が積まれていました。
「あさたろうさん、鬼退治に行かなくていいの?」
「何をばかなことを言っているんですか?」
「鬼を退治するって言ってたじゃないの」
「そんなこと言ってませんよw」
あさたろうはたくさんの冷や汗をかいていました。必死にごまかしたあと、カゴのお金を置いたままお手洗いへ直行し、閉じこもってしまいました。
しばらく経っても出てこないので、サルがトイレの扉を叩くと返事がありません。
無理やりこじ開けると、そこには誰もいませんでした。なんと、あさたろうは窓から逃げてしまったのです。
サルはカゴに入っていた大金を持って、お爺さんとお婆さんの家に向かいました。
経緯を説明すると、お爺さんとお婆さんは呆れてしまいました。
お爺さんはあさたろうを勘当し、サルの持ってきた大金のおかげで二人と一匹は幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし
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