第6話 蜘蛛の糸 中編
あさ 「19時にデニーズでお願いします」
私 「わかりました。食事のあと、麻雀は?」
あさ 「まだ清算が済んでないんですよ?するわけないに決まってるじゃないですか」
怒られてしまった。しかしこれでフラグは立ったようだ。
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当日、18時50分に私は到着した。
今回のスポンサーであるかもしんさんも既に到着していた。
10分前行動は当然である。
「10万円貸してほしいんだってさ〜」
「そうみたいですね。おもしろくなってきた~。」
そんな会話をしながら、これから始まるリアル "マネーの虎" に備え、かもしん社長 と 吉田栄作 役の私は並んで座り、志願者を待ち受けた。
「いまデニーズに到着しました。社長もすでにいらっしゃいます。あさじんさんはいつごろ到着しますか?」
私はLINEで催促した。
・・・・・・しかし19時15分を過ぎても既読すらつかなかったため、我々二人は食事を注文した。
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なんの連絡もないまま20時を過ぎた。
1時間を過ぎると心配になってくる。寝坊ならまだいいが、事故に遭ったのではとても悲しい。
彼はいつも原付で移動する。集中力は高いが、たまに注意力散漫なところがあるのでとても心配だ。
住所や緊急連絡先もわからないため、あと1時間だけ待って姿を見せなければ解散しようということになった。
ここでようやくあっさじーんさんから連絡が来る。
「つきました」
着いたというが入り口には居ない。
到着の連絡とは裏腹に入店の気配すらまったくない。
実は事故に遭っていて、この連絡は「憑きました」ということなのだろうか?
いろいろな意味でとても心配だ。
我々の心配をよそに、もはやノーマネー確定の志願者は90分遅れの20時30分ごろに店に入ってきた。
この日、彼はいつものオーバーサイズなユニクロではなく、スーツ姿で登場した。
オフの日はダボダボの服。しかしこういった真面目な日はスーツ姿。
彼はTPOに対応できる常識的な人間なのだ。
本物の社長たちならこの無断遅刻にカンカンに激怒しているだろう。
しかしそこは温厚なかもしん社長と、介護士 兼 吉田栄作である私だ。
私 「こんばんは、あさじんさん。心配してたんだよ。どうしてこんなに遅くなっちゃったのかな?」
あさ 「コピーに時間がかかりまして」
意味がわからない。
こういうことだろうか?怖くなってきたので私は深く訊かないことにした。
私 「大変だったんだね。でもおじいちゃんスマホ持ってるよね?心配するから、次から遅れるときは連絡ちょうだいね。」
あさ 「はい。とりあえず前回の気持ちポイントの一部を清算します。」
そう言うと彼は赤ペンで書かれた怪文書を渡してくれた。
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【 第7話 蜘蛛の糸 後編 】