EMDR治療#13 急きょ父と旅行に行く前に父のトラウマ治療
治療中、コロナ前から計画を立てていた2泊3日の旅行がありました。
父の希望をうちの長男(父から見たら孫)が叶えたいと、2年間棚上げしていたイベントで、じいちゃん想いの息子の願いをどうしても断れない状況でした。
PTSDの治療真っ最中、もし旅行中に父の不用意な言葉がトリガーになったら、、、
不安がだんだん膨らんでしまうと、カウンセリングで相談して、そのまま「父の記憶」をターゲットにEMDRで掘り下げてもらった。
ぼんやりしてた記憶が、EMDRの手順を追うことで、輪郭がはっきりしてくる。
家の間取りや、細かなものの配置、場所のにおいまで、クリアに蘇る。
その時、父に酷いことをされた訳ではない。
そもそも、あまり家にいない人だったし、父らしい事をする人でもなかった。
距離感がわからないまま、会話らしい会話もないままの親子、、、
よくよく掘り下げると、父らしくない父への不信感や違和感が浮き上がってきて、
同時に、そんな自分にバツを付けている自分にも気づけた。
いつものように、先生は言う
「それは誰が悪いの?」
あ、父が悪いんだ、、、
一瞬考えて、やっとわかる。
父はまるで子どもみたいな人で、
仕事も子育ても、社会的責任は全て周りに押しつけていた。
小学生の私から見ても、一般的な父親とは程遠いことがわかった。
そんな父との数少ない思い出のひとつが、小さなトラウマ体験なのだった。
母や兄と比べたら、関係の薄い人だけど、いざ旅行に行くとなると、薄い関係のかすかな記憶が、大きく感じてしまう。
EMDRしながら改めて思う。
やっぱり父は父としてダメすぎた。
大人としてもダメすぎた。
いくら友達が多くても、いくら不幸な身の上でも、子どもを大切にしなくていい理由にはならない。
大切な娘なら、大切にしてほしかった。
まるで、家に勝手に住み着いたイヌかネコみたいに扱うから、わたしは混乱してばかりだった。
父の不用意な言動に傷ついても、何が起こってるか理解できずに、怒ることもできなかった。
父のダメさをしっかり認識して、
子どもの私に非がなかったことも何度も確認して、
掘り起こした記憶を丁寧に修正して、父に対するイヤな感じは小さくなった。
いつも通り、痛みや辛さは0にはならない。
事実は変わらないから、0にはならなくても、それは仕方ないよね。
とりあえず、3日間旅行にいけたら十分だから。
きちんと向き合ったことで、不安は小さくなり、頑張った自分に少し自信が持てた。
いざ旅行に行ってみたら、父とはずっと部屋も違うし、会話は目の前の食事やお土産の話しばかり。
そもそも関係の薄い私より、妹や孫の方が話しやすいもんな。
取り越し苦労だったかもしれないけど、父との記憶に向き合えて、良い機会だった。
疎遠でも、遠くても、戸籍上でも親子なわけだし
過去のトラウマを通して、
父との関係性や距離感を確認することができた。
予定外の相談に、臨機応変に対応してもらえたのも嬉しかった。
よい治療者に出会えたことは、不幸中の幸いだと思う。
この時も頑張ったね、わたし。
おつかれ。