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【石塚左玄】先人の言葉に学ぶ食と考え方~食は本なり~

日本の食養生を語る上で外せないのが、石塚左玄。

「食養の祖」であったり
「食育の祖」とも呼ばれています。


マクロビオティックの創始者である桜沢如一氏や、玄米食を普及した二木謙三氏など、食養を普及した有名人はいわば、石塚左玄の弟子にあたります。


今回は、そんな石塚左玄の言葉を紹介しますね。


石塚左玄という人物

石塚左玄(いしづか さげん・1851年-1909年)は明治時代の医師であり、薬剤師。

明治に「食養会」というものを発足し、食養生を広く普及した人物です。


漢方医の家に生まれた石塚左玄は、自身も医師・薬剤師となり、陸軍軍医として活躍しました。

20歳で陸軍軍医となり、46歳で退役してからは東京に石塚食療所を開設しています。


そんな石塚左玄も、実は幼少から皮膚病と腎炎を患い、晩年まで闘病生活を送っています。

医療を学ぶ中で食の大切さに気づいた左玄は、食の改善指導により患者を治療したことで「食医」と称されました。


そして、著書『化学的食養長寿論』では「体育・知育・才育は即ち食育なり」と述べ、子供にとって最も大切な教育は食育であると力説しました。


石塚左玄の食養理論

石塚左玄が生涯にわたって伝えた「食養」は次の5つの理論から成ります。

1.食物至上論
2.穀食動物論
3.身土不二論
4.一物全体食論
5.陰陽調和論

1つずつ簡単に説明していきますね。

1.食物至上論

石塚左玄が残した言葉の中に

「食は本なり、体は末なり、心はまたその末なり」
(石塚左玄)

とあります。

とにもかくにも「食が本」であるとし、心身の病気の原因は食にあるとしました。

そして、

「百の薬よりも食事」
(石塚左玄)

とも言っています。

つまり、薬以上に、食を正すことが心身の病気を改善する上で必要なことであると述べたのです。

医師・薬剤師である石塚左玄が言うのですから、とても重みがあります。

もちろん、現代とは病気や薬事情が違いますから、なんでもかんでも食事だけで解決できるわけではありません。

ですが、食べものが体を作っているという原理原則を外さないための、大切な考え方として心に置いておきたい言葉ですね。


2.穀食動物論

石塚左玄は、人間は「穀物を食べるべき」と主張しました。

その理由を歯の構造に求めています。


人間の歯は、全部で32本。

そのバランスが食事のバランスの目安になると説いたのです。

20本(62.5%)
臼歯:穀物を食べるための歯
8本(25%)
門歯:野菜・果物を食べるための歯
4本(12.5%)
犬歯:魚や肉を食べるための歯

このバランスから分かるように、食養ではやはりお米をはじめとした穀物が中心です。

この割合から考えますと、現代ではどうしてもお肉や乳製品が多くなりがちですね。

あくまでも1つの考え方ではありますが、これから食養生を身につけるのであれば、自分の食事バランスを見直すときの参考にしてみてください。


※詳しく知りたい方はこちらの記事もどうぞ↓


3.身土不二論

そして石塚左玄は、古くからいわれる「郷に入れば郷に従え」という言葉を用いて、その土地で暮らす者は先祖代々伝わってきたその土地の食生活に学ぶべきであると示しています。

この「入郷従郷」の考えは、のちに仏教用語の「身土不二」が使われて、石塚左玄の弟子たちによって広まってゆきます。


すなわち、身体と自然は一体であるということ。


ちなみに、これは土地だけでなく、季節も指します。

つまり、旬のものを摂るということです。


石塚左玄が残した言葉の中には、こんなものもあります。

「春苦味、夏は酢の物、秋辛味、冬は油と合点して食え」
(石塚左玄)

この言葉は、その季節に食べることで身体が整うということ。
たしかに、自然と欲するものでもありますよね。

でも、現代は世界中の食品が季節関係なく手に入ります。

それはとても有難いことなのですが
その反面、旬を感じにくくなっているんですよね。

だからこそ、
この「身土不二」の知恵を知り、生かすことが食養生を実践する上でとても大切になってきます。


4.一物全体食論

さらに、「食は命をいただくもの」という原則を強く説いて、全体食をすすめています。

どういうことかといいますと

お米なら白米でなく、玄米を食べる。
大根なら実だけでなく、葉も皮も丸ごと食べる。
魚はまるごと食べれる小魚を常とする。

部分ではなく、全体を食べる。
それが命をいただくことであると教えているんです。

実際に、全体をいただくことで、栄養バランスもよくなります。

ただ、玄米に関してはデメリットもありますので、自分の体質に合わせて食べることをおすすめします。

大切なのは考え方。

「命をまるごといただく」という感覚ですね。

すると、「もったいない」という気持ちも生まれて、色々工夫していただけますね。

※玄米に関してはこちらの記事をどうぞ↓


5.陰陽調和論

そして、古来から陰性といわれる食べものにカリウムが多いこと、陽性と呼ばれる食べものにはナトリウムが多いことを発見し、このミネラルバランスを重視して、調和することの大切さを説きました。

単に栄養を求めても、陰陽のバランスが崩れたら健康を保てない。

そして、日本の伝統的な食は、陰陽が見事に調和されていることも強調しています。

この「陰陽」に関しては、食べものだけでなく、総合的に捉えないといけない理論かと思います。


食養生にもさまざまな思想や型というものがありますが、基本は、この石塚左玄の理論です。


食が大事なのは古今東西で同じ

石塚左玄の生きた明治の時代も、現代も、西洋医学が医療の大半を占めています。

西洋医学と東洋医学はいわば対極にあり、互いを敬遠しているようにも感じますが、どちらも性質が違い、得意とする部分が違うんです。

そういう意味では、漢方を学んだ石塚左玄の食に対する考え方は、東洋医学に偏っているともいえます。

そのため、批判をする人もいるでしょう。

でも、
西洋医学の祖と呼ばれた医聖ヒポクラテスもまた
汝の食事を薬とし、汝の薬を食事とせよ
と食の大切さを説いています。

この言葉は、石塚左玄の言葉をより納得させるものではないでしょうか。


肉体の病気はいざ知らず
うつ病をはじめ精神を病む人が多い現代こそ、石塚左玄が提唱する食の知恵を身につけるときなのだと感じるんです。



あるとむ



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