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取り返した文庫本

私は昔から、本を読むのが苦手だったと思う。
苦手だったけど、読んでいた。
本棚には文庫本が並んでいて、それを見る度、何だか嬉しかった。
大人になってからだろう。とにかく本を読むのが苦痛に感じるようになり、本はほとんど読まなくなった。
昔は本屋に行けば、文庫本のコーナーを真っ先に見ていたのに、漫画のコーナーばかり見るようになっていった。
持っていた文庫本は気が付けば、古本屋かどこかへ行ってしまい、本棚には替わりに漫画本が並ぶようになっていた。
そんな私も、このままではいけないと思って、本屋に行った時に、文庫本をたまに連れ帰ることがあったが、途中で読むのをやめたりする本もあれば、全然読まなかったりする本もあったけど、ちゃんと読み終わった本もあった。
気が付けば、買った文庫本は十五冊になっていた。
私は何だか、嬉しくて、以前持っていた文庫本を取り返したような気持ちがした。

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