考え過ぎる
考え過ぎる自分が嫌いだ。
考える。人の気持ちも自分の気持ちもただただ考え続け、他人のことも自分のことも嫌いになってしまう。
いつもは行かない駅で降りて、フラッとパスタを食べ、フラッと無印で家具を見て、フラッと椿屋カフェに来た。
可愛らしい制服と愛らしい笑顔の店員さん。声のトーンは鼻につく高さで、過剰な媚びを感じる。でも、しっかりと目を見て接客する姿勢で言葉もちゃんと丁寧だ。そして、可愛い。
ショートケーキとブレンドを頼む。高い。
味も大したことのないサイフォンドリップで、ここまでの値段を要求してくるとは。ランチよりも張るとは思っていなかった。
店長と思しき男性が来て、先ほどの店員さんと談笑している。地声と素の話し方が垣間見える。若さの窺える笑い方と言葉だ。決して地に着くことのない、空中で静かに爆ぜるような嬌笑。
われわれ馬鹿な男性客や店員さん自身が作り出した虚像と、同僚に向けて見せる店員さんの実像が交錯している。あるいは、その実像も相対的な定義付けでもって述べているに過ぎないのだから、複数個ある虚像のひとつである可能性は高い。実像はどこへ。