花束みてえな official 髭男ism
花束みてえな恋をしたを見た。ひと月前に。
日曜の田舎の映画館はやはり客の年齢層が低い。座席の75%は埋まっていて、左隣はスタバを持ち込んでやがる女子大生ひとり、右はひとつ席を空けてちょっとヤンチャそうな男の子が3人。
上映前の広告が流れる間もまあまあの声量で喋り続ける男の子たちに心配な思いを抱えたまま映画が始まる。
彼らは上映中もずっと喋り続ける。少し声量を落としてるのが余計に腹が立つ。隣の女子大生はスタバの紙袋をゴソゴソとうるさい。
この人たちより高い金払って映画見てるのかと思うと本当に馬鹿らしい。感動する。
映画後半になると、彼らもだんだんと息をひそめる。内容は20代後半の、大学生から社会人にかけてを恋愛とともに過ごしてきた人たち向けで、両隣にはハマりそうにない。と思っていたものの、両隣からすすり泣きが聞こえ始める。その時点でだいぶ苛立ちを覚えている私は泣くなら静かに泣けとしか思えない。
上映が終わり、映画の内容を反芻しながら出口に近い右隣がはけていくのを待つ。男の子3人がなかなか立ち上がらないので左から回ることを考え、見ると左隣も立ち上がらない。そのさらに左はみんな左から回っているのに!なんだコイツは!?
ようやく、右から男の子たちが帰っていって少し間をおいて右から帰る。当然のように左の女子大生がついてくる。ピッタリと私の横を、追い越しもせずついてくる。なんだコイツは!?
そこで気がつく。コイツもしかして、1人で来たと周囲に思われるのが恥ずかしくて、さも私と一緒に来たかのように振る舞ってるのか?
それに気付いた私は、イヤホンを装着して、容赦なく早歩きで彼女を置いていく。
ふと気づくとイヤホンからはランダム再生で pretender が流れていた。グッバイ。