暮らしの勉強メモ⑨豆と雑穀
こんにちは!雑貨屋 あるくらし 店主の絢音です。
雑貨屋 あるくらし は、「小さな発見と実験」をテーマに、暮らしのセレクト雑貨販売とワークショップの主催をしています。現在店舗はなく、イベント出店から活動をスタートさせました。こちらのnoteでは、お店の歩みや店主の暮らし日記・勉強メモを掲載しています。
今年のはじめ「おうちあんこをつくってみる」のワークショップ開催に向けて、図書館で本を借りたり、ネットを見ながら情報を仕入れ、調理の工程を見直して試作を重ねていました。リサーチしたり考えたり、手を動かす事で初めて知る事・分かる事があり、自分が知っている情報なんてほんの一部だったんだと、発見のひとつひとつがとても面白かったんです。その時ぼんやりと、「他の豆や雑穀についても、小豆のように暮らしに取りれていくと面白いだろうなぁ」と関心が派生していきました。
とはいっても全く知らない事ばかりな「豆と雑穀」。
話は変わりますが、生活の中の面白みや楽しみは、私の場合、
“知らない世界に足を踏み入れる時”
“興味のある事を自分の生活に落とし込む試行錯誤”
“関心の連鎖が起こる瞬間”に感じたりします。
せっかく小豆から派生して興味の芽が生まれた「豆と雑穀」。
まずは“知らないから知る”段階ですが、少しずつ学んで・試して、暮らしの一部にしていく方法をゆっくり考えていこうと思ったのです。
私の暮らしのお楽しみタイムです。
11月末に開催予定の「おうちあんこをつくってみる」のワークショップは、一部今回の内容(豆と雑穀)を絡めたテーマで進めています。開催するイベントは、「自分も知りたい」「自分もやってみたい」と好奇心が湧く内容を起点に開催したいなと思っていて、勉強メモで登場する項目はいつかイベントに組み立てたいテーマが多いかもしれません。
「豆と雑穀」初心者の私が、初心者なりに暮らしとリンクさせていく実験のような過程をシェアして、あんこと+α、暮らしを面白がれるきっかけが作れると良いな、と思います。
豆とは
あんこが大好きで、小豆を炊くようになってから、他の豆を使った料理も作りたいなと思い、味噌づくりにと大豆、スープに使おうとインゲン豆、お正月に黒豆を炊いた事があります。頻度は多くはありませんが、「豆を炊く」その時間はなんとも幸せな気持ちを感じます。水に戻して、茹でる過程で、乾燥した豆がふっくらとした姿に変化し、ホクホクと美味しくなる。
手間はかかるけど、なんとも愛おしい瞬間だなぁと思います。
そんな豆、マメ科の植物で種子を食用するものを指します。栄養価の高い食材としてわたしたちの健康を支え、食を豊かにしてくれる身近な存在の豆は、栄養成分からみて、3つのグループに分けられ、それぞれに特徴があります。
①炭水化物グループ(炭水化物が50%以上の豆)
種類:小豆、ささげ、いんげん豆、そら豆、えんどう豆
特徴:煮崩れしやすく、ふっくらきれいに煮るのが難しい。豆の甘みやコクを楽しむ料理に向いている。
②たんぱく質グループ(たんぱく質が30%以上の豆)
種類:大豆
特徴:煮崩れしにくい。粒のままや、つぶして料理に使ったりする。油で揚げるとアミノ酸が醸成されて旨みを増す。
③脂質のグループ(脂質が40%以上の豆)
種類:落花生
マメ科の植物だが、日本では種実類に分類。炒ってそのまま食べたり、すりつぶして旨味とコク出しに使う。
豆の種類
さらに豆は、インゲンマメ属、ダイズ属、ササゲ属、ソラマメ属、エンドウ属、ラッカセイ属に分類されます。
①インゲンマメ属
いんげんまめ種とべにばないんげん種に分けられる。べにばないんげんは「花豆」ともいわれ、これは、白花豆と紫花豆に分けられる。
いんげんまめは、金時豆、手亡、うずら豆、虎豆、大福豆等に分けられ一番種類が多い。
②ダイズ属
夏の若いときは枝豆、完熟して大豆になる。乾燥した大豆は、人体に有害な物質が含まれていて生では食べられない。加熱や加工によって食する。
熟した豆の色で種類が分けられ、黒・赤・青・茶・黄の大豆がある。
③ササゲ属
あずきとささげに分類される。さらにあずきは大納言と小豆に分けられる。赤い色が邪気を払うともいわれ、赤飯やおはぎなど、ハレの日の料理に使われる。
④ソラマメ属
ビタミンが豊富で「若返りの豆」ともいわれている栄養価の高い豆。
野菜としては、出まわる時期も限られている貴重品種。
⑤エンドウ属
紀元前7000年~6000年ごろのメソポタミア起源の豆。乾燥したエンドウ豆は青エンドウと赤エンドウがある。青エンドウは成長段階で呼び名が変わり、若い未熟のさやが“さやえんどう”実が青く熟したものが“グリーンピース”完熟後乾燥させたものが“青エンドウ”。
⑥ラッカセイ属
南京豆の異名を持つ。マメ科の植物だが、日本では栄養成分的に種実類に分類される。
雑穀とは
初めて雑穀を自分で料理したのは、京都の北部で暮らしていた時。産直のお店で、試供品としていただいた黒米でした。白米に黒米を少量入れて炊くだけで、柔らかい紫色のごはんに。プチっとした食感も楽しく、料理を始めて間もない頃の私は、ひとり感動しながら食べた記憶があります。
そこから、雑穀にはまって…という事は、なかったのですが、そこから数年経った今、興味を持って調べたり、料理してみたりしているのは、面白い事だなと思います。
雑穀とは、日本人が主食(白米)以外に利用している穀物の総称のことで(日本雑穀協会参照)、雑穀も米と同様に「もち種/うるち種」があります。雑穀は、栄養価が高いだけでなく、とろみをつけて旨味を閉じ込め、彩り豊かでもちもち・プチプチといった食感の楽しさを料理に与えてくれます。
雑穀の種類
数えきれない種類がある雑穀。
今回は、比較的手に入りやすい雑穀をご紹介。
①あわ
イネ科アワ属に分類され、料理に使われるのはもち種が主。語源は風味が「淡い」ことから。あっさりとしていてクセがなく、食べやすいのが特徴。
もっちりとした食感で、ポリフェノールを含んでいるため淡い黄色みをおびている。
栄養面:パントテン酸含油量が特に多く、ほかにもビタミンE、B1、B6、カリウム等を多く含む。
料理:スープのとろみづけ、もち、だんご、サラダ、炒め物など
②きび
イネ科キビ属に分類され、使われるのはもち種(もちきび)が主。乾燥地や荒れ地でも育つたくましい雑穀で、語源は「黄実」からきている。甘味とコクがあり、もちもちの食感。
栄養面:黄色の色素にはポリフェノールが含まれ、抗酸化作用がある。白米よりたんぱく質を多く含み、亜鉛は白米の約2倍、食物繊維とマグネシウムは3~4倍含む。
料理:炊き込みご飯、おかゆ、もち、ドレッシング
③はと麦
イネ科ジュズダマ属に分類され、使われるのはもち種が主。中国では昔から漢方薬や滋養強壮食として使われ、日本では美肌の雑穀としてはと麦茶などで親しまれている。ひきわりのものが良く使われる。やや粉っぽく素朴な味で、サクサクとした食感。
栄養面:食物繊維や葉酸、ビタミンB群などを多く含む。
料理:スープ、サラダ、グラタンなど
④大麦
イネ科ホロディウム属に分類される。一般的にはもちっと食感の「もち麦」、精麦したプチプチ食感の「丸麦」、丸麦を蒸気で加熱して平らにつぶして乾燥させた「押し麦」、簡単に皮がとれる「はだか麦」が良く使われる。
栄養面:水溶性の食物繊維の含有量が多いのが特徴。特に「もち麦」は糖質の吸収を抑えるβ-グルカンを多く含む。
料理:サラダ、スープ、リゾット
⑤黒米
イネ科イネ属に分類され、使われるのは主にもち種。古代米といわれ、ジャポニカ種とインディカ種がある。モチモチ食感で渋みとコクがあり、料理に加えると少量でも鮮やかに。
栄養面:黒色の種皮にはポリフェノールの1種であるアントシアニンを含み、白米に比べて食物繊維や鉄分、マグネシウムなどの栄養素が豊富。
料理:炊き込みご飯、ソース、ライスサラダ
⑥赤米
イネ科イネ属に分類され、使われるのは主にもち種。縄文中期に日本に伝来したのが赤米で、日本の米のルーツといわれる。これを蒸したものが赤飯の起源で、赤色は魔除けの色として珍重されていたよう。白米等に混ぜて炊くとほんのりピンク色に。
栄養面:赤色はポリフェノールの1種のタンニンで抗酸化作用がある。
初めて料理する雑穀、初めから上手くはいかず、失敗を繰り返しながら奮闘中です。焦がしたり、匂いや味、かたさに首を傾げたり。そのたびに、火加減や手の加え方を変え、調理法を変え、実験をしています。
11月に開催のイベント当日は、そんな試行錯誤の中で「こうしたらうまくいった!」を共有したいなと思っています!お楽しみにお待ちくださいね。
はじめましての方も引き続き読んでくださっている方も、お読みいただきありがとうございます。今後も焦らずゆっくり続けていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
店主 絢音
【参考文献】
田中雅子監修 須田剛発行
雑穀をおいしく食べるRECIPE BOOK(2017)
長谷川清美著
べにや長谷川商店の豆図鑑(2015)
長谷川清美著
豆料理きほんのき(2013)