〜「心」〜福ちゃんラーメンの隠し味について
福ちゃんラーメンに行ってきた。
11時開店で11時に着いて、予約名簿に記帳した時には自分の前に40人近くした。
平日の開店直後に行って、あの長蛇の列は流石にビビった。
1時間45分ぐらい待って、いざ入店。
ラーメンの大(750円)を頼んだ。
めちゃくちゃ美味しい。
豚骨スープが麺に絡みついて「凄み」を出していた。
そこまで脂っこくないのこれまたいい。(そのため、ラーメンスープと水のループはできない)
ここからが本題だ。
確かに福ちゃんラーメンは美味しい。
間違えない。
だけれども、福岡の都会とは言えない場所に店を構えているのにも関わらず、開店時間か長蛇の列を作るのが当然の味か?と聞かれたら、唸ってしまう。
1時間45分の待ち時間で貼ってあった、雑誌の切り抜きページを見ていたところ、店主がインタビューに答えていた。
そこで、店主がうちのラーメンの隠し味に「心」がある的なことを書いていた。
もしかすると、この「心」は店主の真心ではなく、我々客の、バイアスがかった「心」ではないだろうか。
店主は言うなれば心理学の知見をもとに、ラーメンの味のレベルを上げてるのではないか。
そこで、考えられる心理効果を二つ挙げてみる。
一つ目は「ハーディング」だ。
ハーディングとは、日本語で「群衆」という意味であり、私たち人間の「自分たちが何をするべきかわからない時、自分に似ている周りの人の行動を参考にする」という、心理傾向のことを言う。
福ちゃんラーメンの長蛇の列を見て、「この店にはこんなにたくさんの人が並んでいる。このラーメンは美味しいはずだ。」と考えるのだろう。
「美味しいラーメン」という期待を胸に麺をすする。
「美味しいラーメンである」という、バイアスを受けた上で麺をすする。
隠し味の一つ目の完成だ。
二つ目は、「サンクコスト」である。
サンクコストは日本語で「埋没費用」を表しており、もう戻ってこない費用のことを言う。
映画を観に行って、開始30分で見ている映画に対し、絶対的なつまらなさを感じるとき、その瞬間に映画館を後にして、他のことに時間を使ったほうが、時間を有効に使うことができる。
しかし、私たちは往々にして、そのような合理的な選択をできない。
せっかく払った、映画の観覧料が頭を掠め、「もったいない」精神でつまらないと感じている映画を観続けてしまう。
そして、自分の失敗を自分の中で納得させようとする思考傾向も存在する。
そのため、つまらないけどもったいないから見続けていた映画を後になって、「悪くないな」と考えてしまう。
それと同じ現象が福ちゃんラーメンでも、発生している。
前述したように、福ちゃんラーメンは”並ぶ”。
長蛇の列だ。
名簿の紙が11時の開店時間に行ったとかでさえ、2枚分すでに埋まっていた。
だから、長時間待たなければならない。
そのうち、時間という、「サンクコスト」に対して、バイアスが生まれてしまう。
「もしこのラーメンが美味しくなかったら、自分の待った時間が無駄になってしまう。このラーメンは必ず美味しいはずだ」
こんなことを考える。
隠し味の2つめの完成だ。
店主がインタビューで答えていた「心」なる隠し味は心理学的観点から、言い得て妙だったのさ。
めでたしめでたし。
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