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「砥部ミュージアム通り」解体新書_富そば 蕎麦猪口ミュージアム

焼き物の町、愛媛県砥部町。半径100mに大小さまざまなミュージアムが点在する大南地区では、町の伝統工芸・美術・文化・文学などを知ることができます。また、砥部町には公立で日本唯一のデザイン科単科高校、愛媛県立松山南高等学校砥部分校があります。特色あるこれらの施設の館長さんや関わっているみなさんに、この場所の魅力を聞きました。


名品に囲まれたセンスあふれる空間で
こだわりの手打ち蕎麦をいただく

現代陶芸家の作品から、かつての砥部の名工作まで

富そば 蕎麦猪口ミュージアム
蕎麦切り 山田富夫さん

40歳の時に当時働いていた百貨店の早期退職に手を挙げ、事後報告だったので嫁さんに泣かれました。どうしようかと思った時に、30歳ぐらいの時に出会った、湯布院の「古式手打ちそば泉」に行ったら、修行に来てもいいと言われ、1年間、修行をして蕎麦屋を始めることにしました。ここは私が以前住んでいたところで、鍛冶屋や金物屋をやっていた歴史ある場所です。友人が店舗デザインを引き受けてくれて、古い建材を使いながら新しさもある、雰囲気のよい店になりました。エントランスには、砥部の窯元さんから譲り受けた個性豊かな蕎麦猪口や、古い時代の砥部焼が並んでいます。梅山窯の名工、岩橋節夫さんの作品は知人からいただいた物です。また、向かいの「砥部むかしのくらし館」の豊島さんから伊予絣の反物をいただくなど、友人たちが素晴らしい品々を提供してくれました。
お客様へ出す器はすべて砥部焼を使っています。ソバの実は店内石臼挽き、ツユは秘伝の作り方で提供しています。「泉」のおやっさんからは、「金儲けを考えたらいかん」と教えられました。そして、「道具は最高のものを持て。質もいいし大切に扱うことになるから、仕事に真剣に向き合うことができる」と。いつまでもお客さんに喜んでもらえる蕎麦をお出ししたいと思っています。

印象的な丸窓がノスタルジックな雰囲気と絶妙にマッチする
修業時代の一コマ。湯布院のおやっさんと
鳥の巣箱が可愛らしい外観。スズメが来るという

[DATE]
愛媛県伊予郡砥部町大南485
089-962-2053
営業時間:11時(冬季11時30分)〜15時
定休日:水曜・木曜(祝日は営業)

【インタビュアー】ひめラー:加藤 翔、早川晶子