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印象派に埋もれた「王道」の名画

【アート書き散らし】
作品や画家のことなどサクッとゆるっと語ります。

現在、国立西洋美術館でモネ展が開かれており、連日大盛況となっています。

モネを含む印象派は、今となっては超絶大人気!
でも彼らはもともと絵画の主流ではありませんでした。

印象派が登場したのは19世紀後半のフランス。
では当時、印象派の代わりにどのような絵が隆盛を誇っていたのでしょうか。

「王道」だった美術とは

ところで当時のフランスには「サロン」という王立の展覧会がありました。
当時の画家が名を上げるためには、サロンで評価されることが必須でした。

下の絵はサロンに出品され、高く評価されたものです。

アレクサンドル・カバネル『ヴィーナスの誕生』

サロンで好まれたのは、理想的な美を追求したもの。
つまり、デッサンがきちんとしていて、絵肌が滑らかで、色がバランスよく塗られているような絵です。

このような「正しい」絵の書き方は、「アカデミー」という王立の美術学校で学ぶことができました。
アカデミーの技術を活かした絵画は「アカデミック美術」と呼ばれています。

ウィリアム・アドルフ・ブーグロー『アムールとプシュケ、子どもたち』

逆にいうと、アカデミックでない絵(印象派など)は「ちゃんとした絵」とは認められず、排除される傾向にありました。

人気者ではないけれど

アカデミック美術は保守的すぎる面があったことから、現代はちょっと敬遠されがち。

単調でつまらないと言われることも多く、同時代の印象派などと比べてあまり人気がありません。

でも、美しい絵ってなんだかんだ良いものです。

アカデミック美術の中でも、特に素晴らしいのが女性の描写!
(サロンの審査員のほとんどは男性であり、綺麗な女性の「いろんな姿」に需要があったのでしょう。)

まるでそこにいるような立体感、それでいて現実の女性ではありえないような美貌とスタイル。
そして目を引くのが、輝くような肌の質感です

ジャン=レオン・ジェローム『アレオパゴス会議のフリュネ』


ウィリアム・アドルフ・ブーグロー『純潔』
国立西洋美術館で見ることができます。
モネ展のついでに立ち寄ってみてください。

もう信じられないくらいすべっすべですよね!
この滑らかさは他ではなかなか見られません。

色の塗り方にムラがなくて本当に美しく、陰影もさりげなく表現されていて、色合いが意外と複雑なのも見応えがあります。

アカデミーで地道に鍛えた技術力あってこその表現でしょう。

「正統派」もやっぱりいい

アカデミックな美術のいいところは、目に心地良いところ。
見た人が素直に美しいと思える絵を描くのは、そう簡単なことではないでしょう。
斬新さや面白さだけが美術の魅力ではありません。


今回のアカデミック美術を踏まえて印象派を見てみると、印象派の新たな魅力が見えてきます。


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