(音楽 x 心を空に) Empty your mind -Bruce Lee & Jambo Lacquer
"Don't think! Feel!" 考えるな!感じろ!
誰もが一度は聞いたことのある「燃えよドラゴン」のブルースリーの名言です。
実はこの名言に続きがあります。
It’s like a finger pointing away to the moon. Don’t concentrate on the finger, or you will miss all the heavenly glory.”
”それは月を差す指みたいなものだ。指を見ていては、栄光を見失うぞ”
この言葉はブルースリーが修行者に対して伝えた言葉なのですが、その経緯を汲み取ると、
指(=自分、自分の技)に集中すると
月(=相手,または勝負に勝つという目的)を見失うぞ
という風にとれるかなと思います。
敵と戦う時、「自分の技で相手をどう倒すか」と考えると虚を突かれたり、相手が予想を超えた動きをすると対応できなくなり、隙が生まれたり、心が乱れ焦りや不安が生じます。
そこで「自分がどう動くか」を考えるのではなく、自分の思考や型にはまらず感じたままに動け!というのが
Don't think! Feel!
ということなのだと思います。
この意味に近いブルースリーの言葉がもう一つあります。
それは、
Empty your mind
“Empty your mind, be formless, and shapeless like water”
心を空にするんだ。型や形に囚われない水のように。
という言葉。
これも自分で型や形を決めずに、相手や状況により自分を変化/適応させなさいという意味だと思います。
そしてそのように適応するために心を空にするのだと。
仏教や瞑想で「心を無にしろ」という表現がよく用いられますが、個人的には「無」より「空」という表現が好きです。
実際に仏教には「空(くう)」という概念もありますしね。
前置きが長くなりましたが、この「Empty your mind」 をコンセプトとした曲を一曲をご紹介します。
音と映像のシンクロが美しいですよね。
ジークンドーの達人であったブルースリーの「水」に対する概念はどこからきたのか?
そんなことを調べていたら、実は宮本武蔵の書いた五輪書を読んでいたということを知りました。
五輪書は「地」「 水」「 火」「 風」「 空」の5つの巻に別れていて、武蔵の「水」に対する研究はバガボンドでも多く描写されています。
バガボンドの30巻以降、農業編が始まりあまり好きではないという人もいますが、向き合う相手が「人」ではなく「植物」「自然」といった自分の力ではどうにもできないものに代わり、そこから気づきを得ていく展開は個人的にはすごく好きです。
まあ先頭シーンが少ない分、刺激が足りないという人の意見も理解できますが。
ジークンドー
ちなみにブルースリーが創造したジークンドー。
ロゴは下記のようなもので、
記されている「以無法為有法 以無限為有限」とは
”無法を以って有法と為し、無限を以って有限とする”
という意味だそうです。
「スタイルが無い」という「スタイル」であり、「無限」があることで「有限」があるという意味ですかね。かなり深いです。笑
「スタイルを持たない」ことはまさしく「水」のようなスタイルですよね。
また陰陽のロゴと矢印からも、「陰」と「陽」という違ったエネルギーや対象を循環や利用する武術だと創造できます。
限定的な型(かた)を決めずに、柔軟にその場その場に合わせて効果的な技を繰り出す。
この考え方は格闘だけでなく、変化の多い2020年の今、日々の生活や未来への決断にも活かせそうですよね。
最後になりますが、もう一曲ご紹介。
Jumbo Lacquerの「E.Y.M」という曲です。
「E.Y.M」とは??
と聞いていたら Empty your mind の頭文字かと気づき、なんだか嬉しくなったのを覚えています。
曲名の通り、心地よく、気持ちが晴れていくような曲です^^
好きなリリックを少し抜粋させていただきます。
迷いはとっくに吹っ切れて 昨日歩いた道も違う道に見えてる
焦ったとこで釣れないフィッシング
要は忍耐 いらん心配は離れてみりゃクソみたいに小さい
鳴り響く音楽は唯一無二 撃ち抜かれても痛くない武器
助けにきたぜ、少年 ここで蹴破るドア
「フリーズ、動くな。ネガを捨てて手を上げろ」
これで救えれば本物のミュージック
宮本武蔵の五輪書からブルースリー、そしてJambo Lacquerと「水」をベースに生み出された武術や音楽。
先人の知恵がアートに昇華されていくのって良いですよね。
それでは、また^^