女性写真家ジャスティン・カーランドとダーガーイズム
女性写真家ジャスティン・カーランド(Justine Kurland)とダーガーイズム
ジャスティン・カーランド(Justine Kurland,1969- /New York/アメリカの写真家)
by Justine Kurland
その作品は、理想的なアメリカの風景写真、ユートピア的環境に暮らす人々の生活共同体やその周辺コミュニティーのドキュメントなど。彼女の不安の中で折り重なるように共存する現実を表現は、評価されている。それは、ユートピアと、正反対の社会を指すディストピア(暗黒郷)とは対極の存在ではなく共存していると言う事だろう。
そのポイントは、カーランドの視点は、粗野、ロマンテック、理想的、反ユートピア的な要素を平等に扱っているところだ。
彼女は、ロバート・フランク、スティーブン・ショア、ジョエル・スタンフェルドなどが行ってきた写真の伝統に沿って、アメリカ特有の物語性とアメリカン・ドリームと現実が並立する状況を模索している。
その作品は、ホイットニー美術館、グッゲンハイム美術館、国際写真センタ―・ニューヨーク(International Center of Photography)などに収蔵展示されている。
by Justine Kurland
略歴-Justine Kurland
1969年、ワルシャワ(Warsaw/ニューヨーク州)で生まれる。
1996年、School of Visual ArtsでBFA。
1998年、イェール大学(Yale University)にて、1998年にMFAを所得した。
1999年、Van Doren Waxter ギャラリー(NY)で、若い思春期の少女、半スプライト、半少年非行が住む*新ロマン主義の風景のプリントのタブロー(Tableau)写真が含まれていた。
これは、カーランドのメンター(指導者)であるローリー・シモンズ(Laurie Simmons,1949- /アメリカの芸術家、写真家、映画製作者 )の影響もある。
2002年ごろまで、カーランドは「GirlPictures」と呼ばれるシリーズの69枚の女の子の写真を公開した。ステージングされた写真は、都会と荒野の環境で行われ、女の子は暴走し、希望に満ち、独立していることを暗示しているように描かれている。
2004年、Songsof Experienceショーで、彼女は中世と聖書のイメージを探求している。そして、2005年には、日本でも個展を開催。
2004-2007年、息子をもうけた後、カーランドは妊婦と新しい母親の写真を撮り始めまた。その後も、ご子息と方向性を共にしたアートワークだ。
(註)*新ロマン主義:19世紀末から20世紀初頭、自然主義・写実主義に対抗してドイツ・オーストリアを中心に興った文芸思潮。 芸術至上主義的・耽美主義的・神秘主義的傾向を帯び、主体的・内発的な心情の復権を唱えた。
Justine Kurland
「私は、いつも絵画について考えています。19世紀の英国の美しい風景とユートピア、歴史画、そしてジュリア・マーガレット・キャメロン(Julia Margaret Cameron)の写真・・・。幼い頃から美術館に通っていましたが、子供の頃に読んだおとぎ話の絵の影響も受けています。」-Justine Kurland