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伊東深水とモダーンな美人画
伊東深水とモダーンな美人画
伊東深水(いとう しんすい、1898(明治31) - 1972(昭和47)/大正昭和期の浮世絵師、日本画家、版画家)
伊東深水は、鏑木清方を師として、歌川派浮世絵の正統を継いでおり、日本画独特の柔らかな表現による美人画が著名であり、美人画家の一人だ。
それは、人物画の繊細な視点でのリアルさの中に、情緒性を感じる画風だ。また、浮世絵、桃山美術(桃山文化)の流れを汲んでいる。
当時から、妻の好子をモデルに数多くの作品を残している。
戦後には、艶麗(えんれい)な線画、色彩で画境を広げている。
多くの作品が、複製版画となり、また、主婦の友などの付録などで、その作品が、身近に人々に知られている。
![愛犬-伊東深水](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80154862/picture_pc_d19210c5de6530cf59b2dd6cf37def06.jpg?width=1200)
印刷メディアに視点を置くと・・
印刷メディアに視点を置くと、当時は、オフセット印刷と平版印刷、これらの組み合わせを使用した。(*オフセットリソグラフィー)
(註)*オフセットリソグラフィー:インクはプレートから直接ゴムブランケットに移動し、 その後、紙に移動(転写)する。現在のスタンダード。
伊東深水の構図とデザイン性は、このプリント技術の流れに最適化されたように描かれている。
ここで、学際(ジャンルを越えた知の共有)という視点から、考えると、当時のメディアのパラダイムシフトとして、印刷技術の飛躍的な発展は大きい。
伊東深水の作品は、その流れに乗ったことは、一般的な主婦層にも大きな影響を与えている。大正時代の限定版の木版画と比較しても、あまりにも手頃な価格だ。
![伊東深水「対鏡」オフセット複製](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80155151/picture_pc_d777ffad61894e22985c685347ada3e4.jpg)
戦後には、時の流れに乗るように「*福富太郎コレクション」に絵巻のような日劇ミュージックホールの楽屋裏を描いている。
(註)*福富 太郎:1931年(昭和6年) - 2018年(平成30年)/絵画蒐集家/実業家(キャバレー王と言われる)
話が逸れたが・・・
美人画とは
この美人画は、日本画壇の言い回しであり、西洋では、夫人肖像画となる。
また、水野年方(としかた)→鏑木清方→伊東深水、という画壇の歴史を追うよりも、その時の、その絵が多くを語っている。
問題は、作品だ、ということになる。
(註)歌川玄治店派、として考えると伊東深水は・・
歌川国芳→月岡芳年(よしとし)→水野年方(としかた)→鏑木清方の流れを受けた、最後の画家となる。
略歴 - 伊東深水
![伊東深水](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80157886/picture_pc_2e4453cb7c52426364c646fcacacfd38.jpg?width=1200)
1898年、東京府東京市深川区深川西森下町に生まれる。
1911年、鏑木清方へ入門し深川の水にちなむ「深水」の号を与えられた。その頃から、実業補習学校(旧学制下で、勤労に従事する青少年を対象に実業教育を実施)に入学し、昼の勤務(活字工)後、夜学に通い、夜中に絵を描くという生活が続いた。
この頃(16-17歳)から、院展・文展に入選している。
1916年(大正5年)、伊東深水が18歳の頃、鏑木清方塾生による郷土会展に「対鏡」を出品したところ、*渡邊庄三郎の目にとまった。
この作品なら、彫り摺りの技術を使いこなして木版画にすれば、木版画というメディアを活かした良い作品が制作できると庄三郎は感じた。そこから、新版画の制作がはじまっていく。以降、大正5年から昭和35年までの間に130点を超える深水の新版画が制作されている。
(註)*渡邊庄三郎(渡辺庄三郎、1885(明治18)-1962(昭和37)/明治時代末期から昭和時代にかけての浮世絵商、版元、版画家)
1920年(大正9年)、22歳の時、個展等での美人画家として、定着した。それは、人物画のリアルさの中に、情緒性を感じる画風だ。 1948年、「鏡」日本芸術院賞
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/80155089/picture_pc_1e30e6cc6a091a504dce13d5ddce736f.jpg)
日本を代表する美人画家
その後も、伊東深水は、日本画家として極めていく、文展に入選で、早くから注目を集め、文展、帝展、新文展・・・
そして、戦後に入って日展を主な舞台として、美人画以外の題材(風景画等)でも、活躍している。
いずれにしても、まずは、日本を代表する美人画家、そして風俗画家の第一人者だろう。
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