ブシュラ・ハリーリ:アートを通じて社会変革
ブシュラ・ハリーリ:アートを通じて社会変革
ブシュラ・ハリーリ(Bouchra Khalili,1975- /モロッコとフランスのビジュアルアーティスト/ベルリン、オスロ在住)
21stのポスト現代アート
アートが、社会変革(分断と共生)に関わる、それが、21stのポスト現代アートとなって行くのだろうか。
ブシュラ・ハリーリのアートワークは、映画、ビデオ、インスタレーション、写真、版画、出版を含み多様化されている。
そこには、現代の違法な移住と反植民地闘争と国際連帯の政治に象徴されるように、ある意味現在の帝国と植民地の連続体を探求している。
それらは、ブシュラ・ハリーリは、生まれ故郷のモロッコの伝統的な、その流れに知らされた・・・
ストーリーテリングを展開するアート
ブシュラ・ハリーリのアプローチは、歴史とマイクロナラティブ(小さなストーリー)の交差でストーリーテリング(storytelling/伝えたいことを想起させるストーリー)の戦略を展開するアートだ。
また、彼女は、ドキュメンタリーと概念の実践を組み合わせて、自己表現、自律機関が、国民国家モデルによって見えないようにされている、コミュニティの抵抗の形態の問題をリサーチし、追求表現していく・・・
そこに見えるものは、21世紀型の作家の姿だろう。
Bouchra Khalili au Jeu de Paume, Paris-2018 /8min - 写真からリンクされています(映像は字幕設定で日本語になります)
ブシュラ・ハリーリは、その芸術的な提案を通じて、主観と市民の立場との複雑な関係に疑問を投げかけ、これからのコミュニティについて考えるという特異なストーリー(物語)と、従来からの歴史の流れを明確に表現している。
アートを通して、社会変革(分断と共生)に関わる表象、それが、21stのポスト現代アートとなって行くのだろう、その先駆者の一人として、多面的にブシュラ・ハリーリをアートワークを考えてみたい・・・・
略歴 - Bouchra Khalili
カサブランカ生まれ、モロッコとフランスの間で育った彼女は、ソルボンヌヌーヴェル(Université Sorbonne Nouvelle /パリIII)で、学問としての映画のロジックを学び、パリ・セルジー国立大学(The École nationale supérieure d'arts de Paris Cergy )で美術を学ぶ。
アートワーク - Bouchra Khalili
彼女は、アートワークに主題(理念)を含めることによって、それは、より敏感な人との接触感を与え、ストリーティング(storytelling/伝えたいことを想起させるストーリー)として、物語と、現実的な社会困難を描写する。そこで聴衆は、その連携に関係を持ち、立ちあがることができ、その経験をより、自身に親密で、個人的なものにする。
映画、ビデオ、インスタレーション、写真、版画を扱うブシュラ・ハリーリの実践は、言語、主観性、口頭、そして、地政学的な探求を明確に表現している。
具体的には・・
「ブシュラ・ハリーリは、ドキュメンタリー映画の美的戦略を作り直して、歴史的な憶測と国家によって、国民に見えなくされた主題の表現に焦点を合わせる」-彼女の各プロジェクトは、政治的マイノリティのメンバーが戦略や抵抗の言説を詳しく説明し、語り、共有するために提供されるプラットフォームと見なすことができるかも知れない。
彼女の作品は、苦しんでいる身体の卑劣で血なまぐさい表現、モンタージュに依存して効果を生み出すのではなく、話し言葉自体のフレームに加えて、特定の撮影技術と固定フレームで制作する。
彼女のプロジェクトは、正確かつ繊細に、移住と無国籍であり、それらが生み出し正常化する暴力についての覇権的(はけん/他国を支配)なストーリーに挑戦し、同時に現代のドキュメンタリーの実践を倫理的、および美的に前進させる。
主な作品
2008-2011:マッピングジャーニープロジェクト。ビデオインスタレーション。 with:8つのシングルチャンネル
2011:星座シリーズ。8枚のシルクスクリーンプリントのシリーズ
2012:ウェットフィートシリーズ。一連の写真
2012:シーマン。デジタルフィルム
2012-2013:スピーチシリーズ。3つのデジタルフィルム
2014年:庭の会話。デジタルフィルム。18分
2015年:デジタルフィルム、一連の写真、シルクスクリーンプリントで構成されるミクストメディアプロジェクト(外務省)
2017年:テンペスト・ソサエティ。ビデオインスタレーション。
2018年:22時間。ビデオインスタレーション。
展示(抜粋)
第18回シドニービエンナーレ(2012)
第55回ヴェネツィアビエンナーレ(2013)-「百科事典の宮殿」
バルセロナ現代美術館での個展(2015)-Garden Conversation
そして、MoMA(ニューヨーク近代美術館) での「The Mapping Journey Project」個展(2016年)をはじめ、グローバルに展示されている。
ドクメンタ14(2017) -「テンペスト・ソサエティ」
次回以降に、ランダムになりますが、その作品を探って参りたいと存じております。
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