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女性画家ヘレン・ランドバーグ:その精神性

女性画家ヘレン・ランドバーグ:その精神性
ヘレン・ランドバーグ(Helen Lundeberg,1908–1999/アメリカの画家)
夫であるローサー・フェイテルソン(Lorser Feitelson,1898–1978/カリフォルニアの画家)と共に、二人は、*ポストシュルレアリスム運動(知覚と概念の関係を伝えるアート)を確立したと言われる。
(註)*ポストシュルレアリスム:ただ、シュルレアリスムは現在形でもあるのだ。

ヘレン・ランドバーグの絵画は、誰にでも、読み取りやすい画風(物語性)に配置された「認識可能な記号」を通して、作品への合理的な理解を深めるように視聴者を誘う工夫が、所々に見えるのだ。

ヘレン・ランドバーグは、絵画「植物と動物のアナロジー(類推)」を事例研究と理想として使用して、新古典主義のマニフェストを作成している。ポストシュルレアリスムは、ヨーロッパでのシュルレアリスムに対するアメリカでの最初の求心的な反応かも知れない。

アートワークの視点から、ヘレン・ランドバーグの芸術的なスタイルは彼女のキャリアの過程で変化し、社会的リアリズムと*主観的古典主義、そして、ポストシュルレアリスム(主観的古典主義のキーワード)、ハードエッジ絵画(色彩領域間でハードな変化)、様々に解釈されてきた。

(註)*主観的古典主義:体系化された理論に拠らず、主観や印象を重視するスタイル/また、ジル・ドゥルーズと生成変化の理論

そして、南カリフォルニアでWPA(Federal Art Project /連邦美術計画)のパブリックアートを制作している、重要な3人の女性アーティストの1人と言われる。

1935-時間のアーティストの二重の肖像

アイリス、(センチネル)、1936

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d7hftxdivxxvm.cloudfrontのコピー

by Helen Lundeberg

略歴とアートワーク -Helen Lundeberg
1908年、シカゴで生まれる
1930年、パサデナ・ジュニアカレッジ(Pasadena City College)で学ぶ。
その後、彼女はパサデナ(カリフォルニア)のStickney Memorial Art Schoolのアートクラスに入学し、そこで教授であり画家の仲間である、パリから戻ったローサー・フェイテルソンに出会った。それは、フェイテルソンのダイナミックなアプローチと、国際的なアートシーンへの幅広い視点が、ヘレン・ランドバーグに影響を与えた。
最終的に、フェイテルソンとランドバーグは結婚し、生涯にわたる芸術的協力者であり続けた。
1930年代、ランデバーグは*社会的リアリズムとポストシュルレアリスムの両方のスタイルで活動した。

(註)*社会的リアリズム:Social realism:労働者階級と権力構造的な社会政治的状況批判であり、Socialist realism-ソビエトの社会主義リアリズムとは異なる。

1934年に、フェイテルソンとランドバーグの二人は、*主観的古典主義(新古典主義)を設立した。
これは後に、ポストシュルレアリスムと言うキーワードで知られるようになる。

1936-1942年、ヘレン・ランドバーグは公共事業促進局のWPA(Federal Art Project /連邦美術計画-大恐慌におけるアーティストへの対処)に採用され、ロサンゼルス地域でリトグラフ、いわゆるイーゼル絵画、壁画を制作した。
1950年代からは、ヘレン・ランドバーグは幾何学的抽象化とハードエッジ絵画に移行し、初期の作品に影響を与えていた表象的な感性から離脱している。
そのコンテンツの原点は現実に基づくが、ランドバーグは抽象化と造形の間に存在する神秘的なイメージだろう。
フォーマルで叙情的なものとして繰り返し説明されているランデバーグの絵画は、実に正確な構図だ。
彼女の、この時代の絵画は、各作品に特有の精神状態、気分、感情的な内容を呼び起こすことに関係したポストシュルレアリスムの概念「Entity Mood」(実在の感性・感覚)の概念が見える。
1960-1970年代に、Lundebergは抽象化へ邁進して、風景、インテリア、静物、惑星の形、直感的な構図に関連する画像を探索した。
1980年代には、ランデバーグは風景や建築的要素を扱った様相の一連の絵画を作成している。
1990年に、彼女の最期の作品、”Two Mountains”を制作した。
1999年、肺炎による合併症で没、91歳だった。

最期まで、精神性と表象の本来像を求めた現代アートの画家だろう・・・

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Artwork: Helen Lundeberg, Naiad, 1968. acrylic on canvas. 30 x 54 inches (76.2 x 137.2 cm).

2021年のART | Basel-2021(マイアミ)にも、出展される。
それが、嬉しい・・


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