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エリアス・シメの戦うアート

エリアス・シメの戦うアート

「私は自分に何ができるかを示すために戦わなければなりませんでした」-Elias Sime
エリアス・シメ(Elias Sime,1968- /現代アーティスト)は、アフリカを代表する現代アーティストの1人と言われる。

動物の皮から、また、廃棄されたPCのマザーボード(ロジックボード)、スマートフォンの基盤(西側諸国からの電子廃棄物)や、使い古されたボタンなど、そして、アディスアベバの野外市場(Menalesh Tera)で集めた。
その作品は、実に様々な素材を、異質な価値観の混淆(こんこう/異種のものが入り混じる)、融合として組み合わせたレリーフやインスタレーションで知られる作家だ。その作品にある、その織りや編み込みは、西アフリカの工芸の伝統と統合している。

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エリアス・シメ(Elias Sime)と苦難の教育を考える。

1968年、アディスアベバ(エチオピア)で生まれる。少年の頃からさまざまな素材などで彫刻を制作していた。

そして・・・
1986年、エチオピアのAlle School of Fine Arts and Designに入学する。
その当時は、エチオピア共産主義の最後の数年間だった。
そのAlle School of Fine Arts and Designでは、学生たちが、レーニンの絵を描き、社会主義リアリズムの慣習に従うことを期待されていた。その教育機関の教師は、エリアス・シメの大学での作品の多くを破棄してしまった。
「私は自分に何ができるかを示すために戦わなければなりませんでした、そして、私はそれをするために卒業するまで待たなければなりませんでした。」 -Elias Sime
それは、当時のエチオピア内戦と言う現状だったからだ。
1991年に、エリアス・シメは、大学教育を終えた。その時、ソビエト連邦からのエチオピア人民民主共和国への支援を終了している。それは、マルクス・レーニン主義からの流れの支配は、その5月(1991.5)に崩壊したと言う事だ。

西側諸国の文化のあり方に振り回される

そして、その後は、西側諸国の文化のあり方に振り回されることになる。

西側文化に廃棄された物質(衣料や生活のゴミ)や、eコマース(電子商取引)などからの使い、捨てられたコンピュータパーツ、スマートフォン、電子部品などの混在した野外市場(Menalesh Tera)の現状を目の当たりにして、そこから、自身にできるメッセージをアートに内在化して、発信した。
Simeは、その1990年代からエチオピアの首都アディスアベバで定期的に作品を展示し、2008年にはメトロポリタン美術館でのグループ展に参加した

エリアス・シメの「イメージと文化」の視点が、エチオピアの伝統織物のように、混在して織り込め、散りばんだアートだろう。

地球規模での廃棄物と、西側文化のあり方を問う視点

繰り返すが・・・
Elias Simeの作品は、現地での革製品・頭蓋骨などや、西側諸国で廃棄された衣料からの材料(例えば、ボタン、紐等々)もある。ただ、そのポイントは、eコマース(電子商取引)で使い終えたであろう、廃棄されたPCのマザーボード(ロジックボード)やキーボード、スマートフォンの基盤などの電子部品だ。それは、西洋文明からの電子廃棄物を主に、アディスアベバの野外市場(Menalesh Tera)で集めた、実に様々な素材を、異質な価値観の混淆、融合として組み合わせた「作品」だ。

その作品を観ると、複合的な(学際:知の共有)アプローチで、エリアス・シメは、変革の強力な効果を批判的に強調しおり、金融とグローバルなeコマースの中心から流出する技術的廃棄物の回復を強調している。
それらは、地球規模での廃棄物であり、文化のあり方を問う視点を感じる。

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最後に/アビィ・アハメド・アリ首相とアート・プロジェクト

そのElias Simeは、エチオピアの首相によって主要なプロジェクトを推し進められたアーティストでもある。

そのエチオピアのアビィ・アハメド・アリ首相(Abiy Ahmed Ali,1976- /エチオピア連邦民主共和国首相/ノーベル平和賞)は、2019年に完成した、ZOMAミュージアムを訪れている。

エチオピアのアディスアベバにあるユニティパーク

Fig.ZOMAミュージアム

そのZOMAミュージアムは、メスケレム・アセグード(Meskerem Assegued/文化人類学者でキュレーター)とエリアス・シメとの共同で、環境を意識したアートセンターだ。そこは、展示施設のほか、図書館や小学校、農園などを併設している。
そのアビィ・エチオピア首相は、エチオピアとエリトリアの20年ぶりの外交関係の再開,南スーダンやスーダンの国内における和平仲介,国内改革に取り組みノーベル平和賞の受賞を受賞した。
ただ、そのわずか1年後(2020.12)、今度はエチオピア国内で軍事衝突が始まる。
そして、多数の死傷者や難民が出ており、国内の少数民族勢力への掃討作戦を命じたとされる。
アビィ首相は非難を免れない状況となり、そのノーベル平和賞の授与が取り沙汰されるようになる。
エリアス・シメの視点に立つと、なんとも、時の流れは、不本意なところだろう・・・

外務省データ(アビィ・エチオピア首相のノーベル平和賞の受賞について)

(註)外務省での談話は、ノーベル平和賞の受賞の時点での見解です。

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