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11/4~11/8の振り返りと来週の展望,今週はなんと言っても大統領選, FOMCは25bpの利下げを全員一致で可決、市場反応は無風でした。

今週もお疲れ様でした、今週の話題はなんと言っても大統領選に尽きるのではないでしょうか。蓋を開けてみればトランプさんの圧勝で幕が引け、上院はConsensus通り共和党が奪還し現在残るは下院の15議席を待つのみとなっております。
Forecastは共和党が過半数を取る予想ですのでそうなれば大統領、上院、下院が共和党で過半数を占めるトリファクタ(trifecta)状態になり、トランプさんの政策がより通りやすくなります。

これは見方によって良し悪しがありますので何とも言えませんが、各方面への影響やトランプ政権移行後の相場の捉え方などをまとめた記事を投稿しておりますのでまだご覧になられていなければ合わせてお読みいただければと思います。(相場全体を俯瞰的に見た方向感や特定のセクターに対する言及など、投資家の皆様にとって損はさせない内容となっていると思います。)

あまり大統領選の事ばかり触れていても読者様に飽きられてしまいそうですが、来週はあまり大きなイベントが無いので個別の決算の話題になるかトランプさんの新たな閣僚人事だとか、Elonが重要なポストに就くとか・・・
不透明感があまりない状態の1週間になりそうですので比較的相場は落ち着いた様相なのではと予想いたしますので、この後順に見て行こうと思います

※個別銘柄に言及する内容が多く含まれる可能性がありますが、筆者の知識と経験を基に見解を述べているものであって売買を推奨するものではありません。この先に進まれる方はこの件に同意いただいたものとみなさせていただき、損益に関する責任は一切負わないものとさせていただきます。


今週の株式市場

今週の株式市場は歓喜に沸いた1週間だったのではないでしょうか!?
指数は7日、8日ともに過去最高値を更新し続け主力指数は軒並み上昇、多くの銘柄が上昇し恩恵を受けた投資家の方も多数おられた事と存じます。

11/4~11/8の主要4指数チャート比較

こうしてみるとRussell2000がダントツで上昇しており、減税への期待感が大きい事がうかがえます。
『注)トランプさんが選挙中に言っていた減税の話はご自身が2017年に制定した法案(最高個人所得税を39%⇒37%にし、企業法人税をそれまでの35%⇒21%に引き下げ)の延長(この減税法案は2025年末で失効する)だけでなく、新たな法案制定を言っていたと思われますが具体的な中身はまだ発表されておりません。』

個人的にはこれ以上法人税を下げると財政赤字がさらに拡大してしまう恐れ
があるので、本格的に関税を発動させて税収を補う事をなさるのでしょうか!?

今週決算を発表した企業は明暗が分かれた形だったと思います。
先ず11/4(月)のPalantir(PLTR)、民間商業部門の売上高成長率が前年同期比で50%程上昇しAIが自社ソフトウェアプラットフォームと融合した成功例企業がまた新たに出てきた形だと思います。

11/6(水)の半導体2社(QCOM、ARM)の決算はQCOMが携帯電話用のチップ需要が回復したようでEPSも前年同期比+33.2%とガイダンスも悪くない数字を出して株価は上昇したのに対し、ARMの方は2Qの決算内容はまずまずだったものの総合的に投資家の期待に応えられず株価は約6%下落しました。
そしてApplovin(APP)、自社開発AIソフトウェアのAXONがソフトウェアプラットフォームセグメント全体の収益を前年同期比でなんと+66%も成長させるという度肝を抜く決算内容でした。この決算内容に投資家は歓喜し発表直後から昨日の市場が閉まるまでに(僅か1日半で)株価は74.6%も上昇したのです。

このPalantirとApplovinに共通している点は・・・

  • 自社開発のAIプラットフォーム(自社システムのパフォーマンスを最大限に増加させる為にカスタマイズされている)による販促効果、広告効率が格段にアップしAIが直接的に収益に結びついている

  • 両方ともソフトウェア企業である。前記のトランプ政権誕生後の市場予想を書いていますが、そこに自国ソフトウェア企業は(恐らく)短期的に発動されると思われる(大統領令で発動可能だから)” 関税”に対して影響が少ないセクターだと思うと述べました。

こういった点で私は投資家が注目し(恐らく決算内容が良い)トランプ政策の悪い部分を回避できるのはソフトウェアセクターだと思っております。昨今の株価の動きを見ているとあながち間違ってはいない様に思えますが、
” 自社開発のAIプラットフォーム” というのが一つの鍵だと思うのです。

そしてもう一つがインフラ契約をハイパースケーラーとしているのかどうか!? AmazonやGoogleの決算を見ていて思うのがAIインフラが整うスピードが格段に進化していると感じる点、AWSに於いては一般企業向けに門徒開放をしておりMetaのLlama3、AnthoropicのClaude、AI21のJurassicといった様々な生成AIモデルが利用できます。

GoogleにおいてもGoogle Cloudが自社開発のTPUとBlackwellの融合で多様なワークロードに対応した柔軟なインフラが提供されており、こちらも一般企業や個人に向けにも解放されております。Google GeminiやAnthoropicのClaude3など多様なAIモデルが揃っており共に自社開発のAIをトレーニング、育成する環境がこの半年の間に充実してきたと思います。

このインフラ環境がソフトウェア企業に追い風となっており、AIプラットフォームによる直接的(間接的)収益が大幅に向上しているのだと思います。

私自身が保有、注目している銘柄もこのような自社開発のAIプラットフォームを利用したソフトウェア企業がいくつかあり、11日に決算があるZeta Global Holdings(ZETA)もその一つです。Palantirと近いビジネスモデルを持っている同社なので決算は先ずクリアしてくると踏んでおります(笑)。

来週の相場見通し

来週の主な経済指標は消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)と言ったインフレに関係する指標が主で他はさほど大きな影響は無さそうに思えます。VIX指数も15前後と大きく下落しているので株式の上昇を押さえつける様な懸念事項はあまり見当たりません。

これが良いのか悪いのかの論調は避けますが、現在自分が警戒しているのはこの楽観相場の転換点であり、その鍵となっているのが10年債利回りだと思っております。

11/8 市場引け後10年債利回り

今日現在米10年債利回りはミシガンの消費者信頼感指数が高く、来週11日が債券市場のみお休みという事もあって一旦下落(価格は上昇)しましたが、この利回りが5%を超えて来ると警戒を強める必要があるかと思います。

タームプレミアム(投資家が長期間資金を固定する事に対する不確実性やリスクを補う為に要求する追加利回り)は依然として上昇傾向にあり、この不透明さが個人的に不気味で仕方ないのです・・・ (-_-;)。

11/8時点でのタームプレミアムと10年債利回りの相関チャート、タームプレミアムは年初来高ptの状態にあります。

現在のタームプレミアム値は0.53(先週は0.45だったかと)これが投資家が長期債を購入する際に別で要求するプレミアム利回りです。これが高いと10年債利回りも引っ張られる形になりやすく長期債利回りが全体的に上昇しやすくなってしまいます。

この利回りが5%を超える辺りから以前もあった債券へのリバランスが起きやすくなりますので、結果株式市場から資金が抜けやすく株価は下落方向に動きやすくなります。しかもFEDは来年のインフレを警戒して12月以降の利下げを見送る事も意識し始めたと思われる為、この金利上昇傾向はしばらく続くのではと私は見ております。

この際まず先に売られ始めるのはRussellなので、Russell指数が下落し始めたら警戒が必要かもしれません、皆様は頭の片隅に置かれて現在の陶酔相場をお楽しみいただければと思います。(私も楽しみます(笑))

金相場の行方

先週6日トランプトレードの歓喜と裏腹に金の価格は大きく下落しました。
7日,8日で6日の下落の約半分戻しましたが中期的にGoldの相場はどうなりそうなのか!? この点について言及している証券アナリストの記事コメントを抜粋転載いたします。

Gold 価格チャート

金先物は金曜日に下落し、ドル高が重荷となりました。市場はドナルド・トランプ氏の勝利の意味と米金利への潜在的影響に悩み、5ヶ月以上で最大の週間下落幅を記録しました。

最近の選挙は、前大統領の関税政策を考慮に入れ、米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げを緩やかに進めるかどうかの疑問を提起しましたが、
パウエルFRB議長は選挙結果が金融政策に「短期的な」影響はないと述べました。9月の50BPの利下げから始まった利下げ予測は、金が今年の過去最高値に達する際に重要な役割を果たしました。

「市場がクリスマス前にFRBの利下げ予測を再び高めれば、スポット金は心理的な2,700ドル台を保つことができるだろう」とエグニティ・グループのアナリスト、ハン・タン氏は述べています。

コメルツ銀行のアナリストは、ドル高と利回りの上昇が「金が無視できないほど強かった」と指摘し、選挙後の不確実性が金ETFからの資金流出を引き起こし、一部のトレーダーが利益確定に動いた可能性があると付け加えました。
それでも、コメルツ銀行は金価格の低迷は長続きしないと述べています。FRBは利下げを行い、今後も利下げが続く見込みであり、トランプ大統領の政策がインフレリスクを高める可能性があるため、金はインフレヘッジとしての需要が持続するでしょう。

Gold 1Kgの画像

これ以外にもWSJの記事やBloombergの記事を見ても先物アナリストの方々はこのあまりにも強い金利上昇ドル高に金が利確売りされた傾向があると見ている様ですので、インフレに対するヘッジ資産としての金需要はこの先も高いのではないかと推測いたします。

仮想通貨

トランプさん有利との報道が出る前からビットコインは上昇しており、開票日の朝9:00から既に大きく上昇しておりトランプさんの当確が出る前に過去最高値を更新しておりました。その後も上昇幅は抑えられましたがジワジワと上昇を続けております。

ビットコイン1時間足チャート、急上昇したのは11/6のAM9:00から

ETH/USDも節目の3000ドルを超えてきましたね。トリプルトップの壁は厚かったですが、遂に突き抜けてきたのでこのまま更に上昇できるか期待したいと思います。※個人的にETHは少し保有しているので・・・(-_-;)。

ETH/USD 日足チャート

SOL/USDも今年3月に付けた年初来高値の更新まであとわずかと迫っております。SollanaもBitcoin同様最高値更新するのは時間の問題かと思いますのでこちらも引き続き期待したいと思います。

SOL/USD日足チャート

まとめ

今週はネタの大半が大統領選挙でしかもその記事を事前に書いていたので、いつもよりネタ不足感がでてしまい申し訳ございません・・・(-_-;)。
それでも必死にあるネタを探して書きましたのでそこはご了承ください。

私は大きな暴落を2度も経験しているせいか相場に対して慎重論が多くなる傾向があります。一度下がった株価が元に戻るにはかなりの時間を要する事の方が多く、精神的にもダメージが大きいです。
ましてはご年齢が高めの方は取り戻す時間が限られてくる為なおさらです。

その為私は例え落ちなかったとしても逃げ足を早くしておく事で、次のチャンスに巡り合える可能性が高くなる方を選びます。資産が守れれば、自分で相場の目利きができれば必ずと言っていいほど次のチャンスに備える事ができます。だから慎重になるのです。

ここ数年のSP500のパフォーマンスを見て指数の積み立ては最強の投資方法だという論調も多いですし特に否定もいたしません。
しかし相場と言うのはいつ変化を起こすか分からず、出口戦略を練っていない人は相場の影響をまともに喰らうだけで終わってしまう可能性があるのです。
暴落を経験した人ほどこの点は十分に理解できると思います、指数積み立てが悪いとかではありません。指数積み立てが最強の投資方法だと相場を楽観視して思考停止になる事が一番まずい事なのだと言いたいのです。

説教染みてしまい申し訳ありません、先ほどソフトウェア企業に注目していると言いましたがもう一つ電力グリッド関連企業、小型モジュール炉企業にも注目しております。昨日のザラ場で両方とも大きく上昇し、時価総額の関係からこの後も上昇が期待できそうな銘柄の分析記事を転載しておきますので、まだお読み出ない方はこの機にご一読ください。
皆様にとって投資判断の一助になる事を心より祈っております。


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