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11/18~11/22の振り返り, Nvidiaの決算分析と今後の見通し,来週の決算企業や経済指標を見た相場観(独自視点)を述べております

今週大きな出来事と言えばNvidiaの決算発表だったと思います。3Qの内容は申し分なくむしろ非常に良い決算だったと思いますが、4Qガイダンスは投資家が期待していた数字には届かなかった印象です。
(この理由も考えてみたいと思います)

決算前に書いたチェックポイント記事で投資家が期待するsurprise率という点をクローズアップいたしましたが、今回4Qガイダンス$37.5B±2%と言う数字はsurprise率僅か0.2%~4%の間という数字になります。

この内容に市場は困惑したような感じで最終的に株価は-2%ほどでした。
意見を述べる前にまずは今回の決算ハイライトを見て行きたいと思います。

Nvidia 25’3Q決算ハイライト

改めて見ると素晴らしい決算内容だと思います、おそらく他にこのレベルの決算を出せる企業はいないでしょう。営業コストが45%~50%上昇しているのに対し営業利益、純利益はその倍を行っており文句のつけようのない財務内容だと思います。
※社名を伏せられてこの財務諸表を見せられ、この企業の株を買いますか?と聞かれたら間違いなく買いますと答えるレベルです。

Nvidia 対データセンター部門、ゲーム部門売上高成長率

データセンター売上も4四半期前の+400%とまでは行きませんがそれでも前年同期比で倍以上になっているわけですから圧巻の数字です。
この数字もBlackwellが全開で出荷される様になったらさらに上がるのではと期待してしまいます。

Nvidia 25’3Q ProViz、Automotive部門売上高成長率

個人的に注目しているのがこのAutomotive部門、売上高は過去最高の4億4900万ドルで前年同期比+72%、前期比+29.8%とすごい成長率です。
この点に関してColette Kress CFOが決算説明会で仰っていたコメントを少し抜粋、転載いたします。

AIの次の波はエンタープライズAIとインダストリアルAI。 エンタープライズAIは全開である。 NVIDIA NeMoとNIMマイクロサービスを含むNVIDIA AI Enterpriseは、エージェントAIのオペレーティングプラットフォームです。
業界のリーダーたちは、NVIDIA AIを使用してCo-Pilotとエージェントを構築しています。 NVIDIAと協力して、Cadence、Cloudera、Cohesity、NetApp、Nutanix、Salesforce、SAP、ServiceNowは、今後数年間で数十億のエージェントが展開される可能性があるこれらのアプリケーションの開発を加速させるために競争しています。

1,000社近くの企業がNVIDIA NIMを使用しており、その普及の速さはNVIDIA AI Enterpriseの収益化においても明らかです。
NVIDIA AI Enterpriseの通年の売上は昨年の2倍以上になると予想しており、パイプラインは構築され続けています。

ここでColette CFOの言う Enterprise AIとIndustrial AIとは何を指しているのか説明してみたいと思います。

Enterprise AI

  • 企業が業務効率の向上や意思決定の最適化を目的としてAI技術を活用する事を表します。具体的に以下のような分野での応用が含まれます

    • データ分析と予測:大量のデータを解析し、将来のトレンドや需要を予測する

    • 顧客対応の自動化:チャットボットや音声認識システムを用いて顧客サービスを効率化する

    • 業務プロセスの最適化:サプライチェーン管理や在庫管理の効率化を図る

Nvidiaは企業向けのAIソリューションとして『NVIDIA AI Enterprise』を提供しており、これにより企業はAIの導入を加速させることができます。

Industrial AI

  • 製造業や重工業などの産業分野でAI技術を活用して生産性の向上や品質管理の強化を図る事を目的とし、応用例として以下を挙げます

    • 予知保全:機械や設備の故障を事前に予測し、メンテナンスを最適化する

    • ロボティクスの制御:AIを用いて産業用ロボットの動作を高度化し、生産ラインの効率を高める。

    • デジタルツインの活用:物理的な設備やシステムのデジタルモデルを作成し、シミュレーションや最適化を行う

Nvidiaは産業向けAIプラットフォーム『NVIDIA Omniverse』を提供しており、これにより企業はデジタルツインの構築やシミュレーションを実現する事ができます。

この産業用AIプラットフォームの展開が広がっているという事が次のphaseに進んでいるという裏付けにもなり、自動運転などを含めた自動車産業やそのた製造業はこのNVIDIA Omniverseの導入効果は双方(NVIDIAや他企業)にとってメリットの大きい展開なのではないかと想像いたします。

ちょうど2四半期前の決算説明会だったでしょうか、各国の状況に合わせてカスタマイズされたSovereign AIが話題になったと思います。もちろんこのSovereign AIは進んでおりますが、今期からこのEnterprise AIとIndustrial AIという新しい分野が出てまいりました。
もしかしたらこの新しい産業用AIという点は次世代phase銘柄のヒントになるかもしれませんね。

また決算説明会にてColette Kress CFOが4Qガイダンスについて言及しておりますので、この点を抜粋転載したいと思います。

Colette Kress - Executive Vice President and Chief Financial Officer

それでは、第4四半期の見通しについてご説明します。
総収益は375億ドル、プラスマイナス2%となる見込みです。

これはHopperアーキテクチャに対する継続的な需要と、Blackwell製品の初期立ち上げを織り込んだもので、需要が供給を大きく上回っている一方で、供給に対する見通しが引き続き向上しているため、Blackwellの売上高は前回の予想である数十億ドルを上回る見込みです。

ゲーミング事業については、第3四半期は好調なセルスルーとなったものの、第4四半期は供給制約により前四半期比で減収となる見込みです。

GAAPベースの粗利益率は73%、非GAAPベースの粗利益率は73.5%で、プラスマイナス50ベーシス・ポイントを見込んでいる。
Blackwellは、数種類のエヌビディア製チップ、複数のネットワーキング・オプション、空冷および液冷データセンターを備えたカスタマイズ可能なAIインフラである。
私たちの現在の焦点は、旺盛な需要に対応し、システムの可用性を高め、最適な構成の組み合わせを顧客に提供することです。

Blackwellが立ち上がるにつれて、粗利益率は70%台前半に緩やかになると予想している。 Blackwellがフル稼働すれば、利益率は70%台半ばになると予想している。
GAAPベースの営業費用は約48億ドル、非GAAPベースの営業費用は約34億ドルを見込んでいる。 当社はデータセンター規模のAIインフラ企業である。
当社の投資には、ハードウェアとソフトウェアスタックの開発、および新規導入をサポートするためのデータセンターの建設が含まれます。

最後に、金融業界向けの今後のイベントをご紹介します。
私たちは12月3日にスコッツデールで開催されるUBSグローバル・テクノロジー&AIカンファレンスに参加します。

ラスベガスで開催されるCESでは、1月6日にジェンセンが基調講演を行い、翌7日には金融アナリスト向けの質疑応答セッションを開催いたしますので、ぜひご参加ください。 2025年度第4四半期の業績に関する決算説明会は、2月26日に予定しています。

ここでちょっと視点を変えて冒頭でも言及した『何故4Qガイダンスは投資家の期待に届かなかったのか!?』を考えてみたいと思います。

真っ先に思い浮かんだのがサプライヤー側の生産キャパの問題・・・
そう、TSMC側の生産キャパが需要に追い付いていないからではないか?

恐らく世界中どこを探してもNvidiaの要求するチップを作れる企業は現段階ではTSMCしかいないと思います。AppleなどもTSMCしか自社設計のA18チップを作れないと分かっている為、依頼が集中し限られた生産キャパを各社が取り合う図式になるのでしょう。

では現在TSMC側の生産キャパは近未来で増えるのか?
こう考えた時にTSMCはまず2025年からアリゾナ州フェニックスの工場が稼働し始めます。ここでは台湾と同じ4nmプロセスでの量産を開始する予定の為、大幅に生産キャパが増強されるのではと予想いたします。

その他にも台湾南部の高雄市において新工場の建設が進行中ですし台中市で1.4nmプロセス技術に対応する工場の建設計画も検討されている様ですので、時間が経てば生産キャパも増強されてくる事は明白です。そうなった時にNvidiaの数字はさらに飛躍する可能性は十分にあると考えます。

そうではない可能性ももちろんありますので過度の期待は禁物ですが、生産キャパが一杯であれば当然売上も頭打ちになりますので、無くもない話と思っている次第です・・・(笑)

実際問題2025年にはGoogle、Amazon、Microsoft、Metaで合計$25.6B前後の設備投資計画が検討されているわけで、各社とも投資の手綱を緩める様な事は考えていないと豪語しております。この点で考えてもやはりNvidiaにおいてはまだしばらくは王道を進む企業なのではと予想いたします。


今週の経済指標

22日に発表された製造業購買管理者景気指数は前回と同じ48.8(予想値も48.8)、サービス業購買部協会景気指数は予想55.2に対して57.0(前回値55.0)とサービス業が堅調に推移している指標が出ました。

これを受けたマーケット総合PMIは前回の54.1を上回る55.3と強い数字が出ました。

マーケット総合PMI指標推移グラフ

 サービス業の活動拡大が上昇の原動力となり、一方で製造業は今後1年間の生産見通しに関する指数が2022年4月以来の最も楽観的な水準を示しています。
総合PMIにおける将来の生産を示す指数は1.6ポイント上昇し、2022年5月以来の高い水準に達しました。10月には6.4ポイントの上昇を記録しています。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのチーフビジネスエコノミストであるクリス・ウィリアムソン氏は、「金利の低下予測と次期政権のビジネス志向のアプローチが期待されており、それが楽観視を高め、生産拡大と受注増加につながっている」とコメントしています。

価格関連の指数は下降しました。総合PMIにおける販売価格指数は11月に50.8まで低下し、約4年ぶりの低水準になりました。
サービス業の販売価格指数は2020年5月以来の低水準で、米国経済の大部分を占めるサービス業において価格がほとんど上昇していないことを示しています。

ウィリアムソン氏は、投入コストの伸びがさらに減速していることを指摘し、これが連邦準備制度理事会(FRB)にとって朗報であると述べています。「消費者インフレが2%の目標を大きく下回っている」とのことです。

製造業の活動指数は5ヶ月連続で縮小していますが、サービス業は2022年3月以来の高水準に改善しています。
ウィリアムソン氏は、「経済成長がサービス業に強く依存していることが懸念される。製造業の生産指数は低下のペースが加速している」と指摘しています。しかし、保護主義的な政策の強化と関税措置への期待が製造業セクターの信頼感を高めているとも述べています。


ミシガン大学の1年先の期待インフレ率は予想通り2.6%でした(市場予想は2.7%、前月も2.7%)。一方、5年から10年先のインフレ率は2023年11月以降で最高の3.2%に達しました(市場予想は3.1%、前月は3.0%)。

11月の米ミシガン大学消費者センチメント指数(確定値)は4月以来の高水準に上昇しましたが、速報値からは下方修正されました。
※速報値の73.0から下方修正、確報値は71.8

これは、トランプ次期政権の経済政策に対する共和党と民主党支持者間の深刻な意見の相違を反映しています。

共和党支持者のセンチメント指数は2021年以来の高水準に急上昇したのに対し、民主党支持者は約1年ぶりの低水準にとどまり、無党派層も低下しました。過去のデータによると、選挙で与党となった政党の支持者は、野党の場合と比較して経済見通しを改善する傾向があります。

ミシガン大学の消費者調査ディレクター、ジョアン・シュー氏は、「トランプ氏の経済政策の実施には依然として大きな不確実性が残っており、消費者の見方は今後数カ月で修正される可能性がある」と述べています。

共和党支持者はインフレに対してより楽観的である一方で、民主党支持者は「インフレ、個人所得、労働市場全般、企業の業況など、多くの面で先月より悪化した」とシュー氏は指摘しています。

多くのアメリカ国民はトランプ氏の経済政策が家計にプラスとなると期待していますが、関税の引き上げ、不法移民の強制送還、減税などの政策がインフレを加速させ、経済成長を抑制する可能性があると多数のエコノミストが警告しています。
現状指数は63.9に低下しましたが、期待指数は76.9と3月以来の高水準になりました。家計に対する見通しは7カ月ぶりに上昇しました。

この様に現在の米景気の底堅さを裏付けるようなマーケット総合PMIでした。こうなると12月以降の利下げは期待できなくなりそうですが、専門家の方がおっしゃっている中立金利自体が3%程度といった見方が現実味を帯びてきそうです。経済が強いのはとても良い事だと思いますので前向きに捉えられる経済指標だったと思います。

来週の経済指標と決算発表企業

来週は28日の木曜日がThanks giving dayの為米国市場はお休みになります。
合わせて翌29日も約半日の開場(13:00で引けになります)なので実質3.5日間の市場開場となりますのでご注意ください。

休日の関係で27日の水曜日には前倒しの指標発表などで集中してしまいますのでご注意ください。

  • 消費者信頼感指数(11月)

  • 新築住宅販売戸数(10月)

  • FOMC議事要旨

  • 失業保険申請件数(継続受給者数)

  • 10月コア耐久財受注(前月比)

  • コア個人消費支出価格(Q3)

  • 国内総生産(Q3)前期比

ここにさらに日付が変わる日本時間AM0:00~

  • 10月PCE物価指数(前月比)(コアも)

  • 10月個人消費支出価格指数(前年比)(コアも)

  • 10月個人支出(前月比)

  • アトランタ連銀GDPNow

と、普段は2日に分けて発表する経済指標が1日に詰め込まれているイメージです。特にPCEはFEDがインフレや物価動向を見る為の大事な指標で12月FOMC時の判断の根拠になりますので、直前のPCEは利下げの有無の大きな判断材料です。過度に利下げを期待するのではなく米経済にとって良い政策判断を望みたいですね。

来週決算を発表する注目企業は以下の通りでしょうか

11/25~11/29決算発表企業
  • 11/25(月)Post Market ZM

  • 11/26(火)Post Market DELL、CRWD、NTNX

といったところでしょうか。数は大分少ないですが26日のDELL、CRWD、NTNXは個人的にも注目しております。CRWDはDelta航空の問題があった後2回目の決算になります。
JPモルガンやKeybanc、StifelといったところもBuyまたはOverweightの格付けを新たに付与しておりますし、個人的にもCrowdstrikeはホルダーですので期待したいと思います。

NTNXはあまりご存知ない方も多いと思いますが、エンタープライズクラウドプラットフォームを提供する米国のソフトウェア企業です。
クラウドコンピューティングやデジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、企業のITインフラの最適化やハイブリッドクラウド環境の構築は需要がかなり高まってきているようで、前記決算でも株価は大きく跳ねておりました。
今回の状況は前回と違い高値付近にいますので簡単ではありませんが、5月末時点での高値$73.3を超えてくれば青天井になりますので面白い展開になるかもしれません。

NTNX 直近株価チャート

これらを踏まえた来週、今後の相場見通し

今週の経済指標の結果、株式市場の振り返りと来週以降の相場見通しについて言及してみたいと思います。

まず今週の株式市場で気になった点がメガテックから資金が抜けているのが分かるかと思います。(ほとんどが緑色なのに)
Appleは週間で2%のプラス、Teslaはトランプ政権の恩恵を一番享受すると見られており米国内でのEVはTesla1強になるのではとも目されているくらい強いです。
特にFSD(Full Self Driving)についてはAlphabetが投資をしているWaymoを追い越すのではないかと投資家の間では期待が膨らんで株価は絶好調ですね。

SP500 企業週間パフォーマンス ヒートマップ

次に主力4指数の5日間の価格推移割合をグラフ化し比較したものですが、圧倒的にRussellに資金が入っているのが分かると思います。3倍近い差が付いていると思いますが、堅調な経済とトランプ政権下での恩恵を受けやすい銘柄やセクターに幅広く資金が入っている様に見えます。

主要4指数5日価格変化率比較チャート

先週1週間は大統領選後のお祭り相場の反動から大きく下落した1週間でしたが、今週は(からは)濃淡が分かれてき始めたと見る方が良いでしょう。
私自身でも昨日Googleを全売却しましたし、Microsoftの株数も減らしました。Nvidiaは現在も思案中ですがこの後あまりパフォーマンスが良くない様であれば、株数を少し減らす事も考えております。

先週くらいから主要メディアの寄稿記事で” 潮目が変わった可能性がある”といった言葉や似たような意味の表現を目にするようになりました。
発表される経済指標からは米国経済が底堅い点が浮き彫りになり、ここにトランプ政権への期待も含まれているので大型株⇒小型株に資金がシフトしていると思います。

またAI関連においては上流の1次産業である半導体企業からその下のソフトウェア企業に注目が集まってきており、小型株のソフトウェア企業は特に注目度が高いように思えます。上記に紹介したNTNXも時価総額$19Bと比較的小さい企業ですので来週の決算に注目してみてください。

あとは特殊需要企業は相変わらず強いですね・・・
NuScale Power(SMR)は増資による株式希薄化だったり、12/19期限のワラント(新株予約権)の償還など既存株主にとってマイナス材料しか出てこないのに、株価は今週でなんと24%も上昇するという説明しがたい動きをしておりました。
Vistraもこのところずっと強く、今週で12%の上昇でしたし原子力関連銘柄、電力部品類、ケーブルや機器類などの製品や技術力を持っている企業は軒並み買われておりますね。

もう一つ上げるとすると仮想通貨関連銘柄でしょうか。とにかくホント強いです・・・Bitcoinが10万ドル手前で跳ね返されてしまっておりますが、時間の問題で突破してくると思われます。
私自身も今まで仮想通貨は持ってはいるけど・・・というレベルでしたがこれは真剣に取引を学ぶべきだと判断し、今まで購入していたBitcoin、Ethereumを全売却し新たな口座を開設して資金を移し現物とCFDと両方で取引をしております。

日本は先物や仮想通貨取引の利益は雑所得扱いになり、給与所得と合算され総合課税に組み入れられてしまいますが、これはこれで別の考え方もあり減税枠が総合課税の方であればそれと相殺できる点や、雑所得に関する経費が認められる(申告分離課税になったらこの点は認められない)為マイナス面ばかりではないのです。
要は知っていることが選択肢を増やす事につながりますので、学んでいきたいですね。

長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました。7月以降相場が難しくなってきたと感じるかたが多いかもしれません・・・ですがマクロからしっかり流れを感じ取りその流れに沿った投資をしていけば、結果はついてくると思っております。

今後もこういった潮目の変化に気付けるようアンテナを張っていきますし、皆様に対してできる限りお伝えしていきたいと思いますので引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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