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10/14~10/18までの振り返りと来週の見通し #市場は既に大統領選を織り込み楽観視,しかし債券市場は別の様相が
今週(10/14~10/18)の経済指標で市場が注目していたのは17日の小売り売上高と失業保険申請件数、18日の建築許可件数や住宅着工件数だったと思います。まずは小売りから見て行きます。
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小売り全体の数字を8月と比較すると前月比+0.4%、前年同月比と比較すると+1.7%上昇しております。またQuarter比較でみた場合2024年7月~9月の小売り売上高は前年同月比で+2.3%とこちらも強めの数字が出ております。
もう少し深い部分まで見ると無店舗での小売り(露店など)は前年比で7.1%も増え、屋台や移動式店舗での飲食類の販売は前年比で3.7%も増加しているようです。
米国の露店はどのような許可や申請が必要なのか分かりませんが、コストの部分では露店の方が安いはずですからこの消費が伸びるのは物価がいまだに高騰している米国ならではのビジネスモデルなのかもしれません。
次に詳細を見て行きます
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こちらでさらに詳細を見て行きたいと思います。
前年と比べ減っているのが・・・
家具、インテリア関係:-5.1%
ガソリン代:-2.4%
スポーツ用品、ホビー、楽器、書籍関係:-3.9%
反対に前年と比べて増えているのは・・・
無店舗の小売り(前記した露店関係):+8.2%
飲食サービス(こちらは店舗系だと思います):+5.0%
その他小売業(何が含まれているのか不明):+6.2%
総合スーパー(生活必需品類、食料品など):+2.8%
ここから見えて来るものは確かに小売りは強いのかもしれませんが、どちらかというと生活に必要な類の消費が伸びている印象です。
これは価格上昇の側面もあると思われ、趣味の部分の支出を削っているのも見て取れます。先週のCPIも細かく見て行きましたがここまで見て行くと米国の景気は強いんだ・・・と簡単には言えない気がします(-_-メ)
次に建築許可、住宅着工件数、完成新規住宅戸数の詳細です。
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建築許可関係
9月に出した建築許可件数は142万8千件で前月比-2.9%(147万件)、前年同月比-5.7%(151万5千件)
9月に出した戸建て住宅の許可件数は97万件で前月比+0.3%(96万7千件)
9月に出した5戸以上の建物建築許可件数は39万8千件
住宅着工件数
9月に着工した民間住宅は135万4千件で前月比-0.5%(136万1千件)、前年同月比-0.7%(136万3千件)
9月に着工した一戸建て住宅は102万7千件で前月比+2.7%(100万件)
9月に着工した5戸以上の建物着工件数は31万7千件でした
住宅完成件数
9月に完成した民間住宅は168万件で前月比-5.7%(178万1千件)前年同月比では+14.6%でした(146万6千件)
9月に完成した一戸建て住宅は100万件で前月比-2.7%(102万8千件)
経済指標の詳細はこのような感じでした。
10/21~10/25の主な経済指標と個別企業決算発表
まずは経済指標から一覧で載せます。
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この中で市場に影響がありそうなものは・・・
10/23(水)9月中古住宅販売戸数、ベージュブック(各地区連銀総裁による経済報告)
10/24(木)失業保険申請件数、失業保険継続受給者数、製造業購買担当者景気指数、サービス業購買部協会景気指数
10/25(金)ミシガン大学期待(1年先)インフレ率、ミシガン大学消費者信頼感指数 この辺りではないかと思います。
次に個別企業の決算発表を見て行きます。
10/22(火)Pre-Market
General Electric Company(GE)
Danaher Corporation(DHR)
General Motors Company(GM)
10/22(火)post-market
Seagate Technology Holdings plc(STX)
Enphase Energy, Inc.(ENPH)
10/23(水)Pre-Market
The Coca-Cola Company(KO)
Vertiv Holdings Co(VRT)
10/23(水)post-market
Tesla, Inc.(TSLA)
ServiceNow, Inc(NOW)
Lam Research Corporation(LRCX)
10/24(木)Pre-Market
United Parcel Service, Inc.(UPS)
American Airlines Group Inc.(AAL)
10/25(金)は目立った企業の決算は無いようです。
この中での注目はデータセンターのサーバーストレージ部門やDell、WDなどHDやSSDの需要の確認の先行指標となるSeagate Technology(STX)。
Nvidiaとの協業で新型液冷システムサーバーに技術提供しているVertiv Holdings(VRT)。
そして23日、何と言ってもMagunifisent Sevenの一角でもあるTesla(TSLA)、先日のロボタクシーイベントでの評価を中国での出荷台数大幅増加など業績面で覆せるか!?
またSoftware企業で恐らく初ではないかと思われる生成AIを利用したSoftwareでの収益化を達成しているServiceNow(NOW)の決算発表がありますので注目して見て行きたいと思います。
10/14~10/18の株式市場の値動き
まずは10/14~18日の指数の動きを見て行きたいと思います。
NYダウ 43275.91(場中で史上最高値を更新)+1.19%
SP500 5864.67(場中で史上最高値を更新)+0.45%
NASDAQ100 20324.04 -0.40%
NASDAQ総合 18489.55 +0.12%
Russell2000 2274.55 +1.8%
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週間ではRussellが+1.8%、ダウが-1.19%ですが月間で見てもUtilitiesが一番パフォーマンスが良く、今一番HOTな小型原子力セグメント関連が市場を牽引していますね。
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NvidiaのHuang CEOもデータセンター用の電力発電は原子力が一番安定しているという様に、現在はNvidiaと並んでかなりHOTなセグメントになっていると思います。下記にその一部を紹介したいと思います。
Oklo(OKLO):2013年に設立された核分裂発電所の設計及び開発をしている企業で使用済核燃料のリサイクルサービスも提供。現在売上は立っておりませんが株価はこの1ヶ月で190.75%上昇しております。
Centrus Energy(LEU):主に米国、ベルギー、日本向けに原子力産業向けの核燃料部品とサービスを提供しております。低濃縮ウラン(LEU)とテクニカルソリューションの2つのセグメントで運営され、ウラン部門は原子力発電所を運営する公益事業にウラン製品を販売しております。テクニカルソリューション部門は民間顧客や行政にエンジニアリングや運用サービスを提供しております。株価はこの1ヶ月で146.5%上昇しております
NuScale Power Corporation(SMR):Fluor Enterprisesの子会社として運営されておりモジュール式軽水原子炉原子力発電所の開発と販売に従事しております。77MGWの電力を生成できる水原子炉と3つの施設サイズのVOYGR発電所設計を提供している企業です。株価はこの1ヶ月で99.67%上昇しております。
Lightbridge Corporation(LTBR):核燃料技術の開発に取り組んでいる企業で金属核燃料の開発と商業化を行っている企業です。同社は以前Thorium Powerという名前でしたが2009年9月に現在のLightbridge Corporationに社名変更したようです。株価はこの1ヶ月で181.53%上昇しております。
とまあこのように完全にテーマ株のような感じでまともに売り上げが立っていない企業でも原子力と名の付くだけで大きく買われる状態です。
2020年にもSPAC上場したまだ売り上げの立っていない銘柄が大きく買われるといった事象がありましたが、投資家としてこの波に乗るかどうかは悩ましいところですね。
今週決算を発表した企業の中で表立って躍進したのはまずTSMCです。
売上高は事前に公表されており、Consensus予想を軽々と上回ってきましたが驚いたのはEPSの方でした。前年同期比+54.2%とConsensus予想の上限まで上回った数字を発表し、さらに24’4Qのガイダンスも売上高の上限を軽く上回るガイダンスを発表しました。
この決算発表でTSMCはアジアでナンバーワンの時価総額企業となり、台湾ドルではありますが一時TW$1100Tを超え1T企業に返り咲きました。
決算前、決算後の分析記事も書いておりますのでお読みでない方は合わせてお読みいただければ理解もより深まるかと存じます。
次にNetflix(NFLX)です。こちらもEPSでConsensus予想よりも$0.27も上回り、前年同期比+44.8%という利益を発表してきました。来期ガイダンスでも売上高は+15%前後、EPSもMiddle Pointを上回る数字を出してきて株価は+11%と躍進し、YTD(年初来)でも+56.89%とMetaやLlyに迫る勢いです。
もう一つ忘れてはいけないのが金融系企業の決算です。
JPモルガンを始めウェルズファーゴ、CitiBank、BMKなども純金利収入が躍進し、業績を押し上げております。中でもGoldman Sachsは純利息収入が前年同期比+69.6%と驚異的な伸びを報告しました。
各行とも貸倒引当金の積み増しは前期比でも前年同期比でも増え、クレジットの延滞や返済の滞りなどはあれどもWealth Manegement部門での手数料収益の改善や増加などと相まってストレステストはもちろんの事、世の中の懸念を払しょくする様な決算を発表しました。
この好決算もあり(恐らく)トランプさんを織り込み始めている点もあってFinancialセクターは今週+2.34%(SP500は+0.45%)1ヶ月でも+3.66%とかなり好調なパフォーマンスを見せております。
大統領選は既にトランプさんを織り込んだのではないか
今週も様々なニュースや支持率サイトを見ておりますが市場はトランプさんの勝利を半分以上織り込んだのではないかと個人的に思います。
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まずは仮想通貨の週間チャートです。BTC/USDは5日で+6.6%の上昇、ETHは5日で+4.74%と特に大きな材料がありませんが恐らくトランプさんの勝利を期待して上昇しているものかと思います。
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こちらはFear and Greed Indexですがまだ大統領選投票日まで2週間以上あるのですが、既に楽観モードになってしまっております。これは米国経済の底固い強さももちろんありますが、大統領選が不透明感に上がっていない様に思えます。
この場合今までと違うのは大統領選挙に不透明感がない場合、事実売りに会う可能性が膨らんでくるという事にもなります。これは前回の大統領選でも無かった事ですので十分注意してください。
次に10年債利回りのタームプレミアム値について説明いたします。
あまり知られておりませんが先月中旬頃から10年債のタームプレミアム値が急上昇しております。
タームプレミアム値とは投資家が様々な不確実性リスクがあると踏んだ背景で長期債に対して通常の利回りにリスク分を上乗せする利息の事です。
タームプレミアム値が上昇する背景には以下のような点が考えられます。
1. 不確実性の増加
タームプレミアムが上昇する理由として、市場の不確実性の増大が挙げられます。2024年に向けたアメリカ大統領選挙や、FRBの金利政策、景気後退の可能性、地政学的リスク(例えば、ウクライナ紛争や中東の緊張)などが投資家心理に影響しています。
これにより、長期債券に対するリスクプレミアムが増加し、タームプレミアムが上昇しています。
2.金利政策に関する不確実性
FRBの金利政策について、今後のインフレ抑制に対する見方が分かれており、利上げの継続や引き締め政策がどこまで続くかが市場における大きなテーマとなっています。
このため、長期的な金利リスクを警戒し、投資家は追加のリターンを要求しています。
3.インフレ期待の再上昇
インフレ圧力が予想以上に持続する可能性や、供給制約の継続、労働市場の強さによってインフレ期待が再び上昇している場合、投資家はインフレリスクを反映してタームプレミアムを上げることがあります。
インフレが持続的であると、債券の実質リターンが減少するため、プレミアムが必要になります。
4.需給バランスの変化
債券市場における需給バランスも影響を与えます。特に、米財務省の借入増加や、中央銀行が資産購入を減少させる場合、国債の供給増加と需要減少が価格に圧力をかけ、利回りを押し上げることになります。
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株式市場と債券市場の温度差がわかりましたでしょうか?
悲観まではいかないとは思いますが債券市場は様々なリスクを警戒してヘッジを掛け、枚挙に暇がありません。
株式市場よりも債券市場の方が変動に関する要素も大きく、市場規模も世界中が売買するレベルですから致し方ありませんが株式投資家としても背景にはこういった要素が入り組んでいるのだという事は知っていて損は無いと思います。
またTLTやEDV、IEFなどの債券価格連動型のETFを保有しておられる方は特にこういった情報には注意が必要になりますので以下に要約します。
タームプレミアムは、将来の金利上昇を直接予測するものではなく、長期国債に伴うリスクを織り込んでいる指標です。
現在のようにタームプレミアムが上昇し、同時に10年債利回りが下落する状況は、投資家が短期的には安全資産として国債を購入し、利回りを押し下げている一方で、長期的な金利やリスクの不透明さを懸念していることを反映しています。
したがって、タームプレミアムの上昇は、金利リスクや経済的不確実性を反映しており、将来的な金利上昇の可能性を含む不安定な環境を示しているものの、それがすぐに金利上昇に直結するわけではありません。
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まとめ
長くなってしまったのでこの辺でまとめたいと思います。
株式市場はVIX指数も20を切ってきたように比較的落ち着いてきていると思います。注目された金融系企業の決算も良く、ASMLではズッコケましたがTSMが神決算を出して半導体関連の懸念を払しょくしてくれました。
Communication Survice部門のNetflixも好決算でしたので来週以降も期待が高まります。そして好決算企業が続出してくれば景気後退懸念も後退し、ソフトランディングどころかノーランディング論まで出て来るかもしれません。
再来週にハイパースケーラー5社がまとまって決算発表をしてきますが、データセンター含め今後の設備投資の方向性には毎度注目が集まります。
私自身今週トランプさんの勝利織り込みがかなり進んだと思いましたので、現在の自分のPFは少し組み替えるつもりでおります。幸いにして含み損はありませんので柔軟な組み換えが思案できそうです。
先週も載せた激戦州7州に特化した支持率を掲載しますが、もう7州全部かトランプさん優勢に変わっており差が広がる一方ですので市場はトランプさんの勝利を織り込んだと言っても過言では無いと思います。
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上院も共和党優勢ですので下院の方に注目が集まります。
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かなりの接戦状態で真ん中のTOSS UP議席が32議席あります。
民主党が下院の過半数を占める為にはこの32議席の内22議席を取らないと過半数を占めないので、もしかしたらオールレッドの議会になるシナリオもあり得るのかもしれません・・・
また来週もどうぞよろしくお願いいたします。決算分析記事なども含め引き続き皆様に情報を届けてまいりたいと思いますのでお時間のある時にでもお読みいただき、投資判断の参考にしていただければ幸いです。