#07 /Bチーム/学校の課題とは違う、リアリティの追求。
9月9日、中間プレゼンを経て、次の最終プレゼンに向けて各チームがまたアイデアをより具体的に深めていきます。
その様子がどんなものだったのか、各チームの学生の方にお話を聞いてみたいと思います。
「NARA(New Artistry Rest Area)プロジェクト」
実際に会ったこともない、学校も年齢も経験もバラバラな全国各地の学生が、このコロナ禍のなか、日本有数のものづくりの会社とともに、新しいものづくりの手法に挑戦しています。
今回は、「○○の小さなオアシス」や「空気を編む」といったキーワードが出ていた、Bチーム。
Bチームは中間プレゼン後、さらに「テクニカルチーム」「ストーリーチーム」に分かれたので、まずは「テクニカルチーム」のカノさんにお話を伺います。
【中間プレゼンを終えて(Bチーム)】
生嶋:カノさん、中間プレゼンテーションお疲れ様でした。Bチームだった一人として、カノさんはやっぱりすごいな!と尊敬してしまう素晴らしい発表をありがとうございました。
ここからベース案決定に向けてより具体的な意匠設計へと進めていくわけですが、Bチームのなかで大切にしていた軸のようなものはありましたか?
カノ:私たちのチームでは、コスト面でのリアリティ、木という朽ちやすい素材に対するメンテナンス性、そして空間としては「見る・見られる」という関係性に注目しました。
生嶋:「見る・見られる」という関係性を、5軸の加工で表現するという試みですね。
カノ:はい、5軸のような3次元加工によって、ファサードの造形に奥行きを持たせることが可能だと考えました。提案したファサードによって、外側から見ると開かれたような開口が連続しているのですが、3次元の断面によって中の様子が見えそうで見えない。そうして心地よい見る見られるによって作られる空間を作りました。また、そのファサードが落とす影が空間に木漏れ日のような暖かさを与えることも意識しました。
生嶋:Bチームでは使う人、周りの人それぞれの純粋な「心地よさ」にもフォーカスしていました。木漏れ日や暖かさといったキーワードが出ているのも、実際に使う人の気持ちを考えた、優しい視点で空間づくりをしていた体と思います。
【デザインの余白、がビジネスモデルを生む】
生嶋:NARAプロジェクトの課題の一つに「ビジネスモデルになる」というものがあります。中間プレゼンの時も少し触れていましたが、Bチームは具体的にはどのような考えをされていたのでしょうか?
カノ:出来上がった休憩所を見た時に、「これ、うちも欲しい」って言ってくれるような休憩所を目指しました。有機的なデザインコードは用いつつ、色々な場所や用途に応用、馴染むようなフレキシブルなデザイン、つまりビジネスモデルとしては発展性のあるデザインでターゲットを広く捉えることを意識しました。決して大量生産という意味ではなく、「ゆらぎのファサード」を用いたいというニーズを掴み、用途によって寸法を応用させていく。そんなビジネスモデルを考えていました。
また、「ゆらぎのデザイン」を軸にした部分的な要素で全体を構成したので、ルーバーやベンチの単体のビジネス発展性も考えました。
生嶋:NARAプロジェクトでは休憩所の提案ですが、メインであるルーバー自体が「ゆらぎ」という有機的な形態をしていて面白いので、どんな場所にも幅広く適応できるというのはとてもいいポイントだったと思います!
【アーティストリー社員と共に考えることの意味】
生嶋:大切にしていたことの中に、「コスト面でのリアリティ」というものがありました。今回のNARAプロジェクト では実際にふだんからコストの計算などをしているアーティストリーの社員もミーティングに参加していましたが、どんな影響がありましたか?
カノ:提案にリアリティを持たせることができたと思います。予算もそうですし、作り方に関しても、アーティストリーの社員さんを通じて職人さんにヒヤリングしてもらいました。実際にどうやって5軸加工するのか、接合するのか、接合部分の強度は保てるのかなどまで踏み込んで考えられたのはよかったです。少しリアリティを追求しすぎてしまったことは反省していますが、これもいい学びでした。
生嶋:確かに、ベース案の段階でコストや作りのことを気にしすぎてしまったという点では、少し申し訳なさも感じています。情報がないほうがのびのびと設計できたのかもしれませんね。私たちもとても勉強になりました。
カノさん、インタビューにお付き合いいただきありがとうございました!
【オンラインだからこそ、イメージの共有を大切に】
生嶋:続いては、「ストーリーチーム」の流れについてかんちゃんさんにお話を伺います。
かんちゃんさん、よろしくお願い致します。
まずは、「ストーリーチーム」の具体的な役割を教えていただきたいです。
かんちゃん:よろしくお願いします。
まず、ストーリーチームはまず休憩所のコンセプトを考えました。いい空気を編む、アクセントを生む、使い手によって変化することなどを主軸に、豊かな時間を過ごせる休憩所のイメージを固めていきました。最終的にはコンセプトに即した休憩所のポエムを作り、テクニカルチームに伝えることにしました。
生嶋:ポエムのようなものを作ることで、より各個人のイメージが共有できてよかったです。
かんちゃん:そうですね、ここでは建築のコンセプトという抽象的なものをあえて具体に落とし込みすぎずに、メンバー間でイメージ共有することを意識していました。
その後はテクニカルチームに混ざる形でモデリングのアイデア出しやプレゼン資料作成を担当しました。
今回は初対面かつオンラインでの作業だったため、抽象的なイメージの共有は難しくもあり、面白く、いい経験が出来たと思っています。
生嶋:2チームに分かれている間でも、かんちゃんさんがテクニカルチームのミーティングに参加して、情報を共有してくれたりしていました。
人数の多いBチームが、2チームに分かれたことで役割が明確になり、うまく作用していたのではないでしょうか。
かんちゃんさん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!
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【最後に】
さて、中間プレゼンの時点では「○○の小さなオアシス」がコンセプトであったBチーム。
いつもの学生の課題とはまた違う、実際に作ることを前提としたリアリティを追求しつつも、使う人の心地よさにフォーカスしていました。人数が多いことからのチームわけなど、メンバーの動き方にも変化があった中、どのようなベース案にたどり着いたのでしょうか?
真相は最終プレゼンの章にて。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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