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日常の豊かさ

日曜日、息子の希望でイケヤに行った。雨の日だったこともあり、祭りでもあるのかと言うくらいの人混みだった。けれどそれ以上に店内は広い。
それでも、あのうねるようなエネルギーに酔って、気ばかり焦ってしまう。そんなランチ時。学食のような配膳システムで並んでいる。頼むのはコスパの良いカレーだ。スタッフの若い女性は、雑にドカッとついで無造作に渡す。それを無言で受け取り、早くこのレーンから脱出したいと思う。子供達はウキウキしてる。

300席はあろうかというレストランも満席状態で、唯一広めの席に座ることができた。そしてカレーを家族に少しシェアをする。そこでふと、遊び心が湧いた。
盛り付けを、フランス料理風にしてみたのだ。

ソースが決め手

こだわればキリがないが、まぁ1歳の娘もいるし、息子も急かしているからこの程度なものだろう。お皿のはじも綺麗に拭き、妻に渡した。妻は、「あら?」と言いながら、娘の離乳食を食べさせた。

豊かさって、些細なところで生まれるんだろうなと感じた。それは遊び心から始まるのかもしれない。どうでもいい。ただ腹を満たすだけでもいいけど、そこに少しのゆとり。
子育て全般だってそうだろう。貴重な休みを全力で子育て時間に注ぎ込むこと。仕事のことを考えながら、子どもに向き合うのが辛すぎる時、幼馴染は「きっぱり仕事は諦めろ」と言った。思考の綱引きが一番疲弊するのだ。どっちかに絞って集中したほうがよっぽどいい。

20時半。息子の寝かしつけで恒例の「耳かき」をしていた。5歳の息子は、1歳までは足を揉まないと安心して寝れなかった。そして耳かきに移った。丸々4年間、ほぼ毎晩耳かきをしている。日数にしたら、約1400日だ。綿棒で耳の表面を撫でる程度のものだが、その時間が30分も続く時もあれば、3分で終わる時もある。いずれにせよスヤスヤと寝息を立てる。

豊かだなと思えるようになった。つい1年くらい前までこの時間が疲労困憊でつらすぎた。早く寝てくれと思っていた。だけど、風邪を引いたり、第二子が産まれたりで、ますます生活は大変になる中で、この耳かきの時間をマインドフルネスの瞑想時間にすることにした。
そして「祈り」の時間を息子とも共有した。毎晩毎晩、暗闇の中で手を合わせて、息子と祈っている。耳かき同様、2人にとって大切な日課になっていた。

豊かさは些細なことにある。怖い夢をとにかく見たくない一心で、祈り始めたことも、今日あったことを振り返ったり、感謝したりして、1日を終えるようになったことは、何より僕の心を癒してくれた。これも遊び心かもしれない。
お祈りは、願いや願望ではない。感謝の気持ちが大切だと思う。そうして、今夜は60分、展覧会の絵が描けている。だいぶ進んだことで、気持ちが少し治った。

いろいろあるけど、今はとても豊かだ。

おしまい。

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画家・ペーの日記
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