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平塚市美術館「こどもたちのセレクション」エピソード④

 次は、林敬二さん『貌の遠近法』(2007年 162.0×194.0cm 油彩・キャンバス)です。平塚市美術館の所蔵作品データベースで、作品の画像をご覧いただけます。https://jmapps.ne.jp/hiratukabi/list.html?search_type=recommend&list_count=10(いちごの写真はイメージです。私が描きました〜汗〜)。本展企画・調査の前提については初回投稿とエピソード①などご覧ください。

●2歳は食べ物モチーフが、だ~い好き! あれ、だけどよく見ると…

 大きなイチゴがいくつか描かれています。
 前回2015年にデータ解析した時、『2歳前後の子は「動物、海、山、食べ物、乗り物、人など知っているものが表現されている作品を好む』という傾向が出ました。この作品もまさにそうで、2歳の子たちが「いちご!」と大注目。

 2歳10ヶ月 いちごあるよ
 2歳 7ヶ月 赤い。黄色。イチゴ
 2歳 8ヶ月 ペロペロ舌を出す

 梅干しを見てよだれが出るのと一緒かな? 絵を見て「視覚から味覚に変換」している!

 そして2歳前後の子どもたちは、「知っている、だけど現実とは少し違うもの」に、とても関心を抱きます。じーっと見るんです。

 2歳 8ヶ月、3歳 0ヶ月(コメントなし、◯のみ記入あり)

 さらに!

 2歳 4ヶ月 こわい、おっとう、えーんえーん

 そうなんです、この作品に描かれている「お顔」が、子どもにはちょっと怖い感じ。
 泣いちゃいますね、早く次の作品へ連れて行ってあげましょう。
 と絵から離れても、じーっと見続ける子もいるんですよ。怖いけど気になる、揺れる子ども心ですね~

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●画材の話

  先日の「キッズ鑑賞ツアー」では、5,6歳のお子さんから「上のほうがテカテカ光って見える」との指摘が。こんな言葉が出てきた時は、「画材」についてお話しする絶好のタイミングです。
「画材によって、表現に違いが出るんだ」と知ることって楽しい。使ってみたことがない画材、特に油絵の具に憧れを持つ子もいます。

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●今回、子どもたちの反応を考察して気づいたこと:『いのち』に関するテーマ

 今回、集計し、子どもたちの反応が多かった順に並べてみて、あらためて気づいたことがあります。それは「子どもたちは『いのち』に関するテーマの作品をよく見ているんだ」ということ。

 そのことを前回も(2015年)うっすらと感じていたのですが、年齢別の解析を中心としたので今回とは異なる視点になっていたかも、と自分自身を思います。

 『いのち』に関するテーマについて7月のギャラリートーク(大人向け)でお話ししましたら、学芸員さんがそれを受けて「この作品に描かれている貌は作家自身を表し、イチゴは生命を象徴しているんですよ」とお話ししてくださいました。解説パネルにもそう書いてくださっています。トークセッションで、直にこういった話が出ると、パネルを読む以上に心に留めていただけそうな気もしました。

 平塚市美術館「こどもたちのセレクション」は2022年9月19日まで開催中です!

https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/20162006_00019.html

(本稿は美術館ご担当者様に確認いただき掲載しております)


 

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