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食べること、味わうこと、その色気

フランス人の男子は料理好きが多い。わたしが引き寄せているだけなのかもしれないけれど、出会う人出会う人、料理好き、食べること大好き。

なぜかわたしは若い時から、食べること、味わうこと、その時の感覚というものに執着があり、気づけば、食べることとセックスをすることに共通する独特の感覚を覚えるようになった。そして、30歳手前あたりから、その感覚を一緒に共有できる人としか恋愛ができない体質になってしまった。
出会って、話をして、どれだけ話が盛り上がったとしても、食事を共にしてある種の誘惑的感覚を共有できる相手としか、その先に進めないのだ。

南仏にいた時は、なぜか料理関係の知り合いが異様に多かったので、料理好き男子に出会うことはまあ自然な流れだったのだけど、パリに来てからもそれが続いている。パリでは料理とは関係なく、どちらかというと芸術やデザイン関係のパリジャン男子と出会うことが多いのだけれど、全員に共通していることが、料理好き。

ワインをごくごく飲みながら、鶏一匹にガリガリと塩を揉み込んで、タイムを摺り込んでいく彼の姿を、とてもセクシーだと感じてしまう。とても。

鴨肉をじゅうっと指でフライパンに押し付けて焼いているその手から目が離せなくなってしまう。

わたしも料理をすることが好きなので、彼が仕事をしている間にわたしがキッチンで野菜を切り始めていると、知らぬ間にわたしの隣でじゃがいもを剥き始めていたりする。ベランダ栽培のローズマリーを切ってきて鍋に放り込んできたりする。

こういうのが苦手な人だってもしかしたらいるんだろうけど。
食前酒よりも何よりも、彼が料理をしている姿に、わたしの食指が動く。

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