はにわに見るお茶目な人や動物にキュン!「笑顔で魔除け」とは?古墳時代ライフの魅力炸裂@東京国立博物館「特別展「はにわ」
いまから1750年ほど前の古墳時代の人々も、今の私たちと同じように懸命に生きていた!その様子を生き生きとよみがえらせてくれているのが、あの「はにわ」たちです。ほのぼのとした姿形なのですが、実は想像以上に表情豊か。人間の上下関係や親子関係など、現代にも通じる普遍的な姿に思わず共感するのではないでしょうか。動物たちとの共存関係も垣間見えて微笑ましいです。一方で、笑っているようにしか見えない埴輪たちが実は魔除けだったという不可思議な古墳カルチャーにも遭遇。東北から九州まで全国の「はにわ」が空前の規模で大集合している東京国立博物館の「特別展はにわ」についてレポートします。会期は2024年12月8日まで。
改めて「はにわ」とは?
今回の「特別展はにわ」を訪れて、改めてその形や大きさのバリエーションに驚きました。2メートルもある筒形の埴輪や、人間の等身大の蓋付き棺埴輪もあり、「これもはにわなの?」というものもありました。そこで改めて「はにわって何?」と思いましたので、簡単に最初にご説明しておきます。
ひとことで言うと、3世紀から6世紀の「古墳に配列される焼き物」が埴輪で、形の種類は大きく分けると2種類。「円筒埴輪」と、何かをかたどった「形象埴輪」だそうです。ただ、時期によって登場する形が違い、いちばん最初に出てきたのが古墳を囲んだりする円筒埴輪、2番目は家形埴輪、そして道具の埴輪である器財埴輪、動物や人物が出てくるのは、5~6世紀とのこと。私たちが「埴輪」と聞いてパッと思い浮かべる人物や馬形の埴輪は、古墳時代の最後の方に出てきたものだったのですね。また、私は、埴輪は副葬品なので、お墓の中に埋められているものだと思っていたのですが、古墳の周りを囲むように外側に置いてあったものだということを今回初めて知りました。みなさんご存じでしたか?
そして、埴輪は、日本の北から南までかなり広範囲に出土していたことも知ることができました。
さて、「はにわ」とは何かをざっくりと把握したところで、ここからはユニークかつ心に刺さった作品たちをご紹介していきます。
上司へのおもねり、ファッションリーダー、親子の愛、など現代に通じる感覚
まず最初に、今も昔も変わらないんだなとつくづく感じた埴輪は「埴輪 ひざまずく男子」です。
首長に忠誠を誓いかしこまっている様子。私たちも、上司などに対してはこんな感じでしょうか?人間の上下関係というのはやはりいつの世にもあるもの!古代もこのような演出が上手な人たちが出世したのかしら?
こちらは古墳時代のファッションリーダーとも言えるような方だったようです。大振りのイヤリングや2連のブレスレットなどを粋にまとい、裾の大きいドレスもエレガント。
このようなスカート(裳(も))を装着できるのは高貴な女性だったとのこと。今で言うセレブだったのですね。髪型は島田髷!王を前に盛装したようです。果たして王様のウケはどうだったのでしょうか?
1750年前の親子愛を目の当たりにして心温まった作品が「犬猿の円筒埴輪」です。地上から追ってきた犬から子を守るために背中に背負って木に登った母猿の様子です。母の愛に感動しつつも、猿の赤ちゃんがほにゃほにゃのフクロウみたいな顔をしているので笑っちゃいました。
笑顔で威嚇?
今回の埴輪たちを見ていて、現代の感覚からすると一番不思議に思えたのが、「笑顔で威嚇している」という表情です。
結構いろいろあって、その友好的で感じの良い笑顔にほっこりしていたところ、「笑顔で邪をはらう」という説明が書かれていてびっくり。こんなに人懐っこい笑顔なのになぜ?図録には、「目や耳、口を大きく表し笑ったような表情を見せる場合もあるが、これは悪しきものを避ける威嚇の意味が込められている」という解説がありました。そう言われてみてもやっぱりゆるくて平和な笑顔にしか見えない。現代的な笑顔の解釈から逃れられなかった私でした。
しかしながら、同じく図録にあった「笑う門には魔が来ない」という言葉はなんとなく腑に落ちました。魔にとっては、笑顔が世にも恐ろしい表情なのかもしれませんね。私たちも笑顔を絶やさず生きていきましょう!
動物埴輪にハートを射抜かれる
仲間でもあり、食べ物でもあった動物たちへの古墳時代人の愛情がビンビン伝わってくるのが動物埴輪のコーナーです。
先頭の子馬をはじめとして、こんなにけなげで可愛い動物たちに見つめられたらキュンキュンです!それにしても、小馬や猪は、全然似ていないので思わず笑ってしまう。こんなに似てない、ゆるかわ埴輪を作った古墳時代人ってお茶目だし、現代に通じるデザインセンスがあったに違いない。
こちらは、バクかと思ったらイノシシだった。狩人に追われているところのようですが、切迫感が全然感じられない!このキュートさを武器に乗り切ってね。
この水鳥さんも、首のくねりが絶妙でキャラが立っています。水鳥は、「王の魂を運ぶ」と考えられていたそうです。
そしてこの見返り鹿のまなざしにズキューン。狩人の気配を感じて振り返っているようです。このような目で見つめられたら撃てない!
展示室には詳しい解説もありますので是非読んでみてくださいね。
埴輪のスーパースターも勢揃い
押しも押されぬ埴輪のスーパースター「埴輪 踊る人々」と「埴輪 挂甲の武人」が大集合している点も、今回の展覧会の見所です。
改めて「はにわ」と「古墳時代」 を知り、長い年月を経ても普遍的に流れる感覚を共有できるチャンスです! ぜひ訪れてみてくださいね!
【展覧会基本情報】
タイトル:挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」
会場:東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園13-9)
会期:2024年10月16日(水)~12月8日(日)
開館時間:9時30分~17時00分
(毎週金・土曜日、11月3日(日・祝)は20時まで開館)
(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日、ただし11月4日(月)は開館、11月5日(火)は本展のみ開館
観覧料:一般2,100円/大学生1,300円/高校生900円
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://haniwa820.exhibit.jp
公式X:https://twitter.com/haniwa820_ten
公式Instagram:https://www.instagram.com/haniwa820_ten/
巡回情報:九州国立博物館 2025年1月21日(火)~5月11日(日)
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