小林治氏が亡くなったコロナ禍の春に、伊是名夏子氏が鉄道に行った「ソーシャルハック」の反響について考えてみる。

 さて、又三週間が経とうとしています。

 なんかもう、この行き場のなさというかストレスの高さみたいなものには本当に困ったものだと思いつつ…。
 コロナに関してもどこもかしこも現実を踏まえない話ばかりがはびこってますし、この国の人達には自殺願望がはびこってるのだろうか。とか考えてしまいつつ、文章を書いていたのですが(先週日曜の18日)に。

 …と書いていたら、アニメ作家の小林治さんが57歳で亡くなられたという話が飛び込んできて、私、好きな作品が多い方なので(魔法遣いに大切なこと〜夏のソラ〜とか、BECKとか…)、あまりに唐突な訃報であったのでショックを受けてしまい、書いてる中身のプロットのようなものが吹き飛んでしまったのです。

https://mainichi.jp/articles/20210418/orc/00m/200/030000c

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202104180000520.html

 本当に見ず知らずの方に対してもこんなことってあるんだな。と実感する羽目に。

 何しろ、新宿ロフトや下北沢シェルターに代表される音楽系ライヴハウスの(最低でも90〜00年代の)場の雰囲気というか、ステージだけでなく客席やお目当てのアーティストが来るまで外で時間つぶしして駄弁ったりタバコ吸ったりしてる人の感じまで、凄く空気感を再現していたBECKとか、再開発が始まる前の下北沢の雰囲気や空気感を残したいかのように冷凍保存した夏のソラとか…その他の個性的な作品とかも凄く好きで…本当に惜しい方が亡くなられてしまったと思います。

https://www.nbcuni.co.jp/rondorobe/anime/sora-mahou/top.html


 合掌。


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社民党・伊是名夏子氏が行った「問題提起」が、極めて大きな反響と反発を招いてる。

 さて、前回の文章を書いた直後に、又大きな騒動が起こりました。

 最近社民党の常任幹事にもなった伊是名夏子氏が…彼女は重い障害を抱えて車椅子を使ってる訳ですが…小田原から熱海の近くの来宮駅に旅行目的で行って、JR東日本と色々悶着があった上で、どうしてそうなったのかとネットで問題提起したら、猛反発を受けて炎上した訳です。

https://mainichi.jp/articles/20210422/ddm/012/040/084000c

http://blog.livedoor.jp/natirou/archives/52316146.html

https://bunshun.jp/articles/-/44948

 まず、個人的な思いみたいなのを書いてしまいますけど、伊是名氏のものの言いかたとか態度とかが、世間ずれしてるのはあるし、そこに対する感情的な反発とかは出るだろうな。とは思いますし、無理筋で弁護しようとする人達にもものすごくうんざりしてはいて、ああいう人達のお蔭で世の中の差別意識が悪くなるんだよな。と怒りすら感じてはいるんですけど、

 しかし、彼女がああいう行動で問題を示す必要があったとは思うし、問題提起した中身は本人の人格とかものの言いかたとかとは切り離していけないものか。ああいうソーシャルハックはきちんと見ないとダメなんじゃないか。と言うふうに思ってるんですね。

https://news.mynavi.jp/itsearch/article/security/4043

http://www.arsvi.com/2000/0700hs.htm

https://news.yahoo.co.jp/articles/c4a898aa776b197df85b2cf0be7ad2e5d4ac14ab

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伊是名氏の「ソーシャルハック」に対する、世論のえげつないまでの反発や怒り。

 今回の騒動、伊是名氏の最初のブログや動画が、かなり刺激的だと多くの人に見られたようで、要はこのコロナ禍のご時世に旅行行くとは何様だとか、JR東日本が準備できてなかったので職員の人達に100キロ以上ある車椅子をもたせて階段降りたのが、職員の人達を虐げてるから許せない。とか、障がい者の為に企業がコスト負担を増すのはおかしいとか、そういう話で一気に「世論」が沸騰したんですよね。

 周りにいる、一部の人達が「差別されてきてる人が言ってるんだから文句言うな」「批判するやつは差別者だ」みたいな、無理筋の擁護を重ねたりしてることも、反発の火に油を注ぐ結果になってる。

https://togetter.com/li/1694190

https://togetter.com/li/1694762

https://togetter.com/li/1692580

昨今の自称フェミニストや自称リベラルの乱暴狼藉への怒りが、あまり関係ないはずの伊是名氏への集中砲火になる、不条理。

 しかも、最近特に、フェミニズムやリベラルを掲げる人達がやりたい放題していて・多くの人達をコケにしてるだけでとどまらず、色々な人や物を攻撃して燃やして葬り去るようなことをしつつ、自分達は弱者だから許されるとか、社会から虐げられてる別の属性の人達…例えば「弱者男性」とか…に対して弱者じゃないと言う事を手を変え品を変え言って憎悪をむき出しにしたりしてきてる事に対しての、世の中の怒りというかうっぷんというかがものすごく溜まってパンパンに膨らんだ風船のような状態になっていた人がものすごくたくさんいたのも災いして、爆発した鉾先が、伊是名氏に向けられてしまった訳ですよ。

https://togetter.com/li/1693027

https://togetter.com/li/1692151

https://togetter.com/li/1640535

 元々、自称フェミニストたちや一部のリベラルたちが、「自分達が弱者だと思ってる人間以外が弱者だと名乗るのはおこがましい」とか「お前等には罪があるんだから悔い改めるべきだし人権制限されないとダメだ」的な話を繰り返してて・法制度にも影響を及ぼしていたものだから…。

 伊是名氏という「”あちら側”の上に態度が気に入らない人間」が現れたので、色々落ち度を見つけては叩くし、それは、社民党であったりを貶めようという人達や障がい者を排除しようという人達にとってはボーナスステージにもなる訳ですね。元々パンパンに膨らんでて爆発した人達を、自分の都合いいように動かすために「怒り」の方向性を誘導するのがものすごくやりやすくなる。

伊是名氏の「駅員さんを虐げてる」と言われた行動は、法制度へのソーシャルハックである。

 伊是名氏が何を言おうとしていたか。というと、バリアフリー法が最近改正されていろいろ改善のための予算がつくとは言っても、まだまだ、障がい者にとっては不十分だ。と云うことと、JR東日本にせよ政府にせよ、現場で働く人たちに負担を強いる事で国や会社の負担を減らしてるという問題があるという事を言いたかった(から、炎上商法的な手に出た)のだと思うのです。要は、制度のセキュリティ・ホールを突いて世に知らしめて、改善を求めるために、わざとあのような動きをしたのではないかと

https://www.asahi.com/articles/DA3S14123715.html

https://e-if.jp/news/20210401-revised_barrierfree_law/


 実際、JR東日本は京浜東北線や横浜線のようにお客さんが沢山いて黒字の路線ですらワンマン車両にしようとしてますし、横浜線なんかでも無人駅を増やしてる訳ですよ。いくつもの駅で、駅員さんがいなくされはじめてる。

https://diamond.jp/articles/-/242039

https://news.yahoo.co.jp/byline/kobayashitakuya/20190514-00125833/

https://www.jreast.co.jp/press/2013/20131215.pdf

 そもそも、神奈川県内ですら、JR東日本の駅でエレベーターなどのバリアフリー設備がきちんと整備されてないのに駅員さんが常駐しなくなり・警備員さんもいなくなった駅なんてのも、相模線などには出始めてるわけですよ。

http://www.ekisya.net/A-GENEKI/012-SAGAMI/012-SOBUDAI.html

 バリアフリー法が改正されて、よりお客の少ない駅でもバリアフリー化の為の予算がつくようにはなりました。でも、人減らしや「法律で定められてる最低限の整備」と言う物では、車椅子で動く人達にとっては全然不十分だ。と言う問題が表に出てきてなかったのが、今回の騒動で表に出てきている訳ですよ。

https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr2_000017.html

皆が得するバリアフリー化事業や公共交通に、国が費用負担を渋り続けてる現実。

 そこはきちんと、みんな踏まえてものを言ったり動いたりしていかないと、結局は自分も損するんですよね。

 バリアフリー化って、何も車椅子の人達だけが得をするんじゃなくて、怪我をしたり足腰が弱ったりしている人にも助かるし、カート引きずったり大きな荷物を抱える羽目になった人や、子育て中でベビーカーなどを押したり幼い子供を歩かせたりしてる親御さんたちにも、大きな得がある話ですからね。

 中途半端だと、それだけ、バリアフリー設備が「無駄」になってしまう。

 で、この問題、伊是名氏のエキセントリックさというか「人柄の悪さ」と、伊是名氏を擁護する人達の世間ずれの酷さに皆さん起こってしまって見えない話になっちゃってますけど、日本のバリアフリー化が中途半端で(使う当事者からしたら)ペースが遅いのは、鉄道に限らず公共交通の制度の問題が大きいんですよ。

https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/341/

https://mainichi.jp/articles/20210412/k00/00m/040/151000c

 バリアフリー化にせよ、基本的には国と地元市町村と鉄道会社が、1/3づつおかねを出し合って設備を作って、鉄道会社か地元市町村が維持費を負担する。と言う建て付けになってるんですよね。

https://traffic.north-tt.com/09_article.php?article=931

http://www.yamazoetaku.com/kokkai/3993

 要は、儲かってない会社とか財政が良くない自治体が絡んだ駅などだと、それだけ遅れてしまうし、設備の維持や運用の費用負担で揉めたり地域全体に負担が強まったりするような制度なんですね。

 更には、国交省が「バリアフリー化のために運賃値上げせよ」と言い出す始末。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000213723.html

 これでは、バリアフリー施設や駅員さんの助けがないと鉄道を利用できないような障害者の人たちと、それらを使わないでも鉄道を使えてしまう「健常者」と呼ばれる多くの人達が、無駄に対立していがみ合ってしまうだけなんですよね。国交省にせよ、それを狙って値上げ云々と言い出したのではないかと私は疑ってますけど。


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地方自治体と公共交通の会社・ひいては住民とはたらく人たちにだけ、コストの多くを負担させる法制度に問題がある。

 この件でおかしいのって、地方を問わず・鉄道会社や設備の運営会社を問わず、バリアフリー化設備を整備すべきだという法律で、2/3を国以外が負担してる。と言う建て付けなんですよね。

 自治体なり会社なりの「善意」でやるなら、そういう建て付けもありでしょうけど、実際の所、全国津々浦々で同じように利用できるようにしないとだめだ。ってなってるんだから、まずは国が建設費用や運営費用の大半を負担する義務があるはずだと思えてならないのですが。

 駅員さんや運転士さん・車掌さんの件だって、ものすごい勢いで各社とも減らしてる訳ですよ。けして安い運賃でもないし利用しやすいような本数運転してる路線なんて、本当に限られてて、関東ですら東京の周り以外は悲惨なことになってる路線だってちらほら出始めてる。東北地方などではかなり悲惨な運用間隔で、「これじゃ利用率上げようがないよね」というような感じの路線が少なくない。

 伊是名氏のやったことが、駅員さんや運転士さん・車掌さんに大きな負担を強いてしまう結果になったのも、要は、鉄道会社が人減らしを進めすぎてるのや、国がそれを推し進めてることが大きく影響してるように見えもしますし。

「規制緩和」と「なんでも民営化」「小さな政府」論が招いた、今の惨状。

 電車にせよバスにせよ、なんでこうなってるかよくよく考えたら、1980年代末から90年代にかけてしきりに言われてた「規制緩和」で、国が、公共交通全般の面倒を見なくなったのが大きい訳です。昔は、バス停を数十メートル動かすだけでも複雑な書類申請を国に対して出さなければいけなかったかわりに、「空気を運んでる」と馬鹿にされるような路線にも、国が維持費用を出してくれたので、ひどい本数になったりすることもなければ、廃線にもならなかった路線が結構あったんですよね…特に、地方の路線では…。

https://www.mita-hyoron.keio.ac.jp/features/2020/07-3.html

https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20201012-00202632/

 でも、「規制緩和」と同時に「小さな政府」が目指されるようになって、その頃、自民党と政府が国鉄民営化を国民を騙して行ったり・「連合」のような形で労働組合をどんどん政府が飼いならすようなこともやったのですね。

 結果として、バスや電車などの会社が、昔よりもずっと「利益」を得ることに厳しくなり、特に地方では使い勝手が極めて悪くなったし、財政がどうにか出来る自治体は会社に補助金出して路線を維持してるにせよ、財政が厳しくなった時に補助金が減ったりなくなったりして、路線廃止とか会社がなくなる場合も、特に00年代前後にたくさん出た訳ですよ。

 国が、自分達…実際には、自民党や公明党のような大手の政党の人たちと、霞が関の偉い人たちと、財界や大企業の偉い人たちや外資などの投資家たち…が、「公共」と言うか人々に対してお金を出さなくなった・投資しなくなった結果として、この状況が起こってる訳ですよ。

https://www.jri.co.jp/column/medium/shimbo/globalism/

http://www.zenshin.org/zh/f-kiji/2017/06/f28480201.html

「無駄を省いた」政府が、上級国民と外資に浮いたお金を流し続けた結果への、ソーシャルハック要素。

 そして、浮いたお金がどこに行くかと言えば、もっぱら、お金を出さなくなった人達が自分達の懐に入れてしまってる。上級国民と外資の投資家企業が、国の将来のおかねを、自分達の目先の儲けの為に独占して国全体を細らせてるという現実と、バリアフリー化の問題って、実は結構つながってる話なんですよね。

 だから、伊是名氏の人格とかものの言いかたとか、世間ずれしまくってる感覚の問題は別として、伊是名氏が今回やった「ソーシャルハック」的なことはきちんと受け止めた上で、「なぜ、現場の労働者が危険を強いられるのか」と言うのを、正確にみてほしいなと思うんです。JR東日本という会社であったり・国であったりがケチンボきわまりないから、自分達の利益を増やすために現場の労働者に危険や辛さを押し付けているんだ。と言う視野を持って、話が進んでほしかったな。と思うんです。

https://mainichi.jp/articles/20210411/ddl/k41/070/237000c

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