「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」音声ガイドの魅力をご紹介!
皆さんこんにちは。アートアンドパートnote編集部です。
一気に冷たい風が吹くようになりましたね。
東京・上野公園の国立西洋美術館にて、企画展「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展—美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が開催されています。
近現代の西洋美術における美術運動の中でも「キュビスム」を真正面から取り上げる大規模な展覧会が国内で開催されるのは、じつに50年ぶり。
今回は、この大変レアな機会といえる展覧会と、お貸出し中の音声ガイドの魅力についてご紹介いたします。
「キュビスム」と聞いて、皆様、最初に何が脳裏に浮かびますか? やはり草分けとなるピカソやブラックの絵画が真っ先によぎる、という方も多いかも知れませんね。
ただ「結局キュビスムでは何が起こったのか」はあまりよく知らない・・・という意見もこれまた多そうです(事実、筆者がそうでした)。
展覧会の最初では、まずキュビスムが誕生するにいたる道のりが、豊富な絵画と彫像で丁寧に説明されています。
音声ガイドでご案内役を務めるのは、声優の三木眞一郎さんと、伊駒ゆりえさん。
どこかで会った事があるような・・・ミステリアスで、けれど親しみやすい語りの三木さんと、活き活きとした好奇心溢れる伊駒さんの声と共に、展示室に入っていきましょう。
いわゆる西洋美術の歴史の中では、「人や花、果物など描く対象」「美しい景色の遠近感」などを「いかにそっくりに描いているか」「いかに自然な奥行きか」を追求することがお約束であり、時代ごとの流行に左右されながらも、多くの画家達がその価値観に沿って絵を描いてきました。
ですがその価値観が長らく続いてきたのは、「絵画」が当時の「写真」のような役割を果たしていたから、という事情があったから。19世紀末ごろから写真の技術が大いに発達し、有名なコダック社をはじめ、どんどん手軽に撮れるカメラが表れてきたことで、「絵画」の役割は揺らぎ始めます。
「写真」に出来ない、絵画でしかできない表現はないだろうか、と新しい価値の創造に舵を切ろうとしたのですね。
その試みとして、セザンヌやアフリカ彫刻などの影響のもと、ピカソ達が行ったのが、
「目に見えるものや風景を、面と線に分解して、もう一度組み合わせる」という事。
その結果、見えたとおりそっくりの絵にならないのは承知の上。今までの西洋絵画で守られ続けてきたお約束を一度取り払ってしまおうという試み、それがキュビスムの成した事だったのです。
(この辺りの下りについては、本展音声ガイドの山田五郎さんによる「キュビスム・トーク」で大変分かりやすく話しています。必聴!)
そんな挑戦的なキュビスムはやがて世に広まり、他の画家達に刺激を与えることになるのですが、認められるようになるまでは紆余曲折の歴史が・・・・いつの世も、常識に挑戦する存在はときに怪しい目を向けられるものです。
そんなエピソードも、音声ガイド内で三木さんと伊駒さんの語りでご紹介しています。どうぞお楽しみに。
キュビスムを実際に取り入れてみた芸術家は想像以上に多く、中には、「えっ、あの芸術家も!?」と思われるような面子もちらほら。
キュビスムと言われればピカソとブラック、と思っていらっしゃる方にこそ是非見てほしい、キュビスムに対する解釈が広がりまくりの展覧会となっています。
見どころたっぷりの本展覧会を、どうぞお見逃しなく。まだ知らない「キュビスム」の世界を覗きにいらしてはいかがでしょうか。
音声ガイドは会場での機材のお貸出しの他、弊社音声ガイドアプリ「iMuT (いつでもミュージアム・トーク)」でも配信中。アプリは一度ダウンロードすれば期間中はいつでも、どこでもスマホで解説がお聞きいただけるのでおトクです。
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