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みなもとあるた
2020年10月9日 21:55
「私には分かりましたよ、この事件の犯人が!」探偵は、そう高らかに宣言しなかった。なぜなら存在していないからだ。ここは太平洋に存在するとある無人島。無人島であるということはすなわち島に誰もいないということであるから、そんなことを言う探偵はもちろん存在しない。人間が誰もいないから、当然殺人事件も起きないのである。いるのはせいぜいが野生生物くらいだ。だから事件など起こりようもないし、ましてや解決
2020年10月9日 21:49
薬の過剰摂取で亡くなった被害者。その原因は致死量を超える6錠の睡眠薬。ただしそれを飲ませたのは別々の6人で、投与のタイミングが重なったのは全くの偶然だった。被害者が亡くなったのは誰のせい?そして、罰を受けるべきなのはいったい誰?Aの証言「確かに俺の行動が原因で先生が亡くなったのは分かってますが、それを言うならほかの五人もそうなんじゃないですか?俺だって先生を殺したかったわけじゃないです
2020年10月9日 21:47
「そ、そんな…なんで…」目の前にあるものが何なのか、彼にははじめ理解できなかった。目の前にあるそれは、何者かによってトリックを伏線ごと貫かれていた。そしてプロローグの辺りをガムテープでふさがれていたが、そこから漏れだすように地の文が零れ落ちている。あとがきは無残に乱れ、周囲に投げ出されているのは粉々に砕かれたノックスの十戒。この絶海の孤島、その屋敷の一室にて殺人事件が殺害されていた
2020年10月9日 21:46
「犯人は安木さん、あなたです」「はは、何を言ってるんですか探偵さん。こんな状況で僕が殺人を犯せるなんて大した想像力だ。小説家にでもなったらいかがですか?」一瞬は驚きの表情を見せた安木ではあったが、どうやら相当の自信があるらしく、突然の名指しにも慌てふためく様子を見せない。探偵は構わず先を続けた。「では、この事件を最初からおさらいすることとしましょう」安木も、それ以外の者も、全員が息を
2020年10月9日 21:41
私はもともと推理小説が好きでした。小学校高学年ぐらいの時から読みはじめて、赤川次郎や綾辻行人のような正統派から東川篤也のようなコメディ要素の強いもの、舞城王太郎のような奇作まで、累計で200作くらいは読んだんじゃないかと思います。でも推理小説を何冊も読んでいると、よりひねりの強いものや奇抜なものが面白いと思えるようになってきました。最初は私の好みが変わってきただけなんだろうとしか思わなかっ