ピーター・ドイグ展
東京で国立近代美術館で開催されているピーター・ドイグ展を鑑賞しました。
ピーター・ドイグは、スコットランド・エジンバラ生まれの現代アーティスト。年表記載のとおり、ロンドン、カナダ、トリニダード島へ何度か移住を繰り返しており、カナダやトリニダード島の美しい光景は彼の作品にも幾度となく描かれています。しかしながら、それらは見たままを描写しているのではなく、写真、絵ハガキ、ポスター、広告、映画などをモチーフとして時にはロマンティックに、時にはミステリアスに描かれているのが特徴です。
今日、世界で最も重要なアーティストの一人と言われているピーター・ドイグ。
日本、初個展となります。
1959年、スコットランドのエジンバラ生まれる
1962年 カリブ海の島トリニダード島へ父の仕事の関係で移住
1966年 カナダへ移住
1979年 ロンドンに移住 ファインアートを学ぶ
1986年 カナダに移住 舞台美術などの仕事で生計を立てる
1990年 ロンドンに戻る 修士号を取得。ターナー賞にノミネートされ注目を浴びる
2002年 トリニダード・トバゴに拠点を移す
スキージャケット 1994年
お父様から送られた写真をモチーフに描かれたカナダのスキー場。
その写真、なんと日本の観光局が北海道のスキー場を紹介したものでした。
この絵は写真を忠実に再現したものだそうで、元々は、縦長の右側のみの作成でした。この縦の構図は彼に日本の掛け軸を思い出させ、より一層制作意欲を掻き立たせたのです。
また、ドイグは写真の中のスキーヤー達にも興味を持ちました。雪に足をすくわれない様必死になっている様が、エキスパートではなくビギナーを想像させる点に共感したそうです。ドイグの制作過程でも同じ様な経験があったのでしょうか。
ゴッホが浮世絵に影響を受けたように、ドイグも日本文化に影響を受けて描いていたと知り、興味深い作品となりました。
ロードハウス 1991年
この絵をみると横に3分割されているのが見て取れます。この手法はドイグの作品によく使われているものです。上段の空は中段の景色の一部なのかとも思えるのですが、中段にもまた違った色彩の空が存在するため、ストーリーとしては繋がっていないのかも知れません。そして、下段の河は配色的に中段から続く野原、若しくは水面のようだと言われていますが、手前の配色があまりにも赤く、また下段の黒く描かれた木が中段の木の形とことなることから、個人的には、中段・下段にも違ったストーリーが存在するのではないかと思っています。見方によっては一つの絵に3つのストーリーが存在するため、自分なりに物語を想像しながら鑑賞するのも面白いのではないでしょうか。
スタジオフィルムクラブ
ドイグが2003年に友人たちと始めた映画上映会です。このドローイングは、周囲の住人等に映画上映会を告知するために作成されました。開催されたきっかけは、ドイグがロンドンで通っていた文化的施設がトリニダードにはなかった為だと言われています。かなりの数のドローイングを観ることができ、中には羅生門やhanab等もありました。ドイグの日本文化の関心の高さがうかがえます。
作品1枚1枚がとても大きく見ごたえがあります。日本ではまだまだ知名度は高くありませんが、その価値はても高く1枚数十億円で落札された作品もあるそうです。
国立近代美術館は東西線竹橋駅3分の好立地にあり、近隣には皇居、少し歩くと丸の内、東京があり、秋のお出かけルートとしても最適です。この機会に足を運んでみては如何でしょうか。
10月11日まで。。。