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最新のお仕事|『ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵』展図録+内覧会に行きました
千葉市美術館で開催されている「ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵」(2022年1月12日〜3月6日)の展覧会図録の編集をいたしました!
ひさしぶりの編集のお仕事だったので、記号の全角変換とか数字の半角変換とかボロクソでほんとごめんなさいでした。。。
展覧会のあらまし
「陶磁器の包み紙に使われていた浮世絵が西洋で芸術作品として評価された」という話はよく聞きますよね。その辺は、太田記念美術館さんがnoteで詳細にリサーチされています。
海を渡った浮世絵は、西洋にジャポニスム旋風を巻き起こしました。これまでなかった新しい技法や視点を日本美術のなかに見出して、自身の作品に取り入れて発表することで、西洋美術史に風穴を開けたんですね。
本展では、西洋の芸術家たちが浮世絵のどこに目新しさを感じ、自身の作品に取り入れていったのかを、プロローグ・エピローグ+8章に分けて紹介、浮世絵の特性と魅力を再発見する内容となっています。
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本来であれば、東京オリンピック・パラリンピックと開館25周年、リニューアルオープンに合わせて2020年に開催するはずでしたが、コロナ禍での外出自粛や海外渡航の制限でのびのびになってしまい、やっと開催にこぎつけた展覧会です。欧米やロシアから作品を借りてきているので、ギリギリまでバタバタだったそうです。おつかれさまでした・・・!
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内覧会レポート
1月11日の内覧会にもお邪魔させていただきました!
千葉市美のリニューアル後、初の訪問でした。今回は企画展とショップをちょっと覗いただけなのですが、常設やワークショップエリアなど、今度じっくり堪能したいです。
本展では、葛飾北斎「富嶽三十六景」や歌川広重「東海道五十三次」、ロートレックやヴァロットンの版画といったおなじみの名作から、あまり観たことのない面白い、可愛らしい作品がたくさん出品されています。
写真撮影OKな作品も10点ほどありましたので、バシバシ宣伝していただきたいです!
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こちらの作品を元にしたゴッホの油彩画《Courtesan (after Eisen)》、本作が画中画(絵の中に描かれた絵)として登場する《タンギー爺さん》は、アムステルダムのゴッホ美術館にあります。
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ダイナミックな渦潮を描いた広重の作品。西洋では、歴史画や宗教画などに比べて風景画の地位は低く、海の景色ではなく、波のさまざまな形態を特色とする描き方はジャポニスムの影響と言えます。
クールベも波に魅せられて執拗に描いていますが、本展の出品作品のようにキャラ立ちさせるというほどでもなかったですしね。
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黒を影ではなく色彩のひとつとして扱うのも、浮世絵の特色です。闇の向こうにはどんな風景が広がっているのか、想像を掻き立てる豊かな黒ですね。
春信は代表作の《雪中相合傘》も出品されています。
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仲睦まじい母子のモチーフも、西洋の人々の目には新鮮に映りました。キリストと聖母マリアを描く聖母子像は古くから描かれてきましたが、一般人の母子は風俗として描かれたとしても、温かみを感じさせるような描かれ方はされてきませんでした。印象派のメアリー・カサット(出品あり)のような女性画家の登場を待たなくてはなりません。
ハイドは来日して狩野友信に日本画の手解きを受け、日本人の摺師・彫師との協働して、日本の母子を題材にした木版画作品を複数制作しています。
私の注目作3選
※以下、撮影不可の作品ですが、内覧会のため特別に撮影させていただきました
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パリの多色摺木版画協会の創立メンバーでもあるホプキンズ。色面と色面の間を彫って絵の具がつかないようにする「ホワイト・ライン」という技法が使われています。
鮮やかな色の組み合わせとホワイト・ラインの白い縁取りが、絵本のような雰囲気でかわいらしいですね。
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墨のグラデーションで、霧が立ち込めて遠景が霞むさまを表現しています。長谷川等伯《松林図屏風》の表現に似ていますが、本作の場合は樹木や崖の形はフルで彫り、摺師が絶妙な塩梅で墨をつけて摺っているんですね。
忘れがちですが、浮世絵は分業制でつくられます。国貞の下絵を木版画で再現する、名も知らぬ名工の腕には脱帽です。
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フクロウやミミズクは、目を見開いて何を考えているかわからない顔をしているイメージですが、このミミズクはなんとも愛らしい仕草です。まるでインコですね。
ゲラ段階から気になって、本物を観てみたいと思っていました。
しかも個人蔵! 欲しくなっちゃう気持ちわかる〜!
内覧会のお土産
今回、献本ではなく会場での引き換えで図録をいただいたのですが、新年らしいお土産付きでした。嬉しいサプライズ!
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米粉のサブレは、きな粉と胡麻入りが和の風味で美味でした。でっかい。
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大吉! やったぜ!
「早起きするとラッキーなことがありそう!」
在宅ワークにかこつけて寝坊してるので、なるべく早起きします。。。
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