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20arts|ライゾマティクス_マルティプレックス(東京都現代美術館)

2021年に設立15周年を迎えるrhizomatiks(ライゾマティクス)の個展に行ってきました! オンライン会場もあるので、休館中・遠方の方はこちらからも楽しめます。
※今回アートファン&Perfumeファンとして書いてるので感想が偏っています

オンラインでデバイス付きチケットなるものを購入。会場入口で、カチューシャ型デバイスと専用アプリの入ったiPhoneを受け取り、展示室を巡ります。音声ガイドのような鑑賞の補助をしてくれるのではなく、鑑賞者の位置情報を分析するためのものだそうです。

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最初の展示室では、ライゾマの活動を振り返る《Rhizomatiks Chronicle》と、今話題のCryptoArt(クリプトアート/ブロックチェーン技術を用い、唯一無二性を担保したデジタルアート)の流通状況を可視化した《NFTs and CryptoArt-Experiment》が壁一面に投影されています。
かっこよくデータを見せる系の展示、正直わかりにくいんですよね……。これはそこまででもなかったのですが。

CryptoArtについてはライゾマも販売プラットホーム(β版)を開設し、Perfumeの3人をモチーフにした作品も近日販売予定です。新しいテクノロジーや表現の可能性を探究するライゾマのこれまでとこれからが提示されていると言えます。

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《Rhizomatiks × ELEVENPLAY "multiplex"》では、手前にダンスカンパニー「ELEVENPLAY」のパフォーマンス映像が流れ、奥では映像と連動して舞台装置が動きます。
キューブとカメラ、ダンサーがそれぞれ動きながらも接触しないように計算されています。ダンサー不在のままキューブが滑らかに動き、カメラを搭載した台も間を縫って駆動するインスタレーションは、さながらキューブによるダンスショーでした。

MIKIKO先生の振り付けは、モデルが断続的にポージングを変えながら撮影する様子を舞踏に発展させたようで、白いキューブは彼女たちを鑑賞する展示台のようにも見えました。いつかMIKIKO先生の展示やってほしい。

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廊下側に出ると、R&D(リサーチ&ディベロップメント)のコーナー。新しい表現や技術、プラットフォームの諸問題を考察するためのアートプロジェクトが紹介されています。

上の写真は映像に合わせて点滅するLED。オンライン・ライブでも一体感や高揚感を演出できるデバイスは、時代の要請に応えるプロダクトでしょう。下の写真は、衛星によって現在地を測位できる機械が中庭を走行している様子。時折人工衛星に向かってレーザーを放つらしいです。

展示されているのは現在開発中もしくは進行中のもの。今後どのように社会に実装されていくのか楽しみですね。

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Rhizomatiks Archive & Behind the sceneでは、国内外で行われたコラボレーションやクライアントワークなどが、使用された機器の実物や映像で紹介されています。ELEVENPLAYのパフォーマンスで使われたドローンやPerfumeがライブで使っているライトセーバーを間近でみられるのは感激でした。
電気刺激で顔の表情を変えるメガネやアーティストによるパフォーマンス、フットウェアといった成果物からは、アート、サイエンスよりのものからポップカルチャーにまでテクノロジーを反映する応用力を感じます。

こうした機器やパーツを見ると、機械が得意な人なら秋葉原で部品を買って頑張れば作れそうと思ってしまうのですが(多分そんなことないぞ)、機械に詳しい方が見ると、また違った情報量と驚きだろうと思います。
この展示室の入口でも、「欲しいのは偶然の成功ではなく失敗の原因」という取締役の真鍋大度氏の言葉が紹介されています。ライゾマのクリエイティビティはスタイリッシュで洗練されていますが、実は汗水垂らして製作する泥臭い現場なのかもしれません。

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《particles 2021》は螺旋状のレールを白い球が走るインスタレーション。真っ暗な展示室にはボールを上へ運ぶ機械の音や球の走行音が響き、走る球が規則的に光り出します。これは球自体が光っているのではなく、球の位置をトラッキングしてレーザーで光を当てているのです。もー!また動くものに光当ててー!

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写真がひどいな。

既視感があったので調べてみたのですが、NTTインターコミュニケーションセンター[ICC]で展示していたものをアップデートした作品とのことです。点滅する光と周囲への反射、音が空間を満たし、意識が遠くにいくような感覚がしました。

このように、(動くものに光を当てるのは大変だと思いますが)シンプルな機構で大きな効果を引き出すのは、細部へのこだわりであり、緻密な計算の賜物であり、腕の見せ所なのかもしれません。

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最後の展示室であるEpilogueは、これまでみてきた作品の仕組みやデータなどがモニターに映し出される種明かしエリア。ライブでシステムを動かすときは、こういった画面を見ながら機械を制御するのでしょうね。これもきっと、詳しい方が見れば「ふんふん、なるほど〜」「なんと、こんなことが!」となる展示だと思います。

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そして捕捉される鑑賞者たちもモニターに映し出されていました。四角い枠の中はモザイクでプライバシーに配慮されています。

記録映像や機械の実物を間近で見られる上に、作品のデータまで公開されている本展。こんなにも手の内を見ることができるのは、とても贅沢で貴重な機会なのではないでしょうか。
また、ポップカルチャーでのお仕事はライゾマの一部ではありますが、好きなアーティストのライブ映像・舞台装置が後世に美術館で展示される可能性を考えると、感慨深いです。

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浅野靖菜|アートライター
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